強姦事件で同意を主張して否認
相手と性交渉をしたものの強姦だと言われ被害届を提出されたり告訴されたりした場合について、自身では同意があったとして否認する場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市緑区在住のAは、横浜市緑区内の会社に勤める会社員です。
Aは、仕事帰りに会社の同僚らと酒を飲んでいたところ、共通の趣味を有する異性のVと話が弾み、Aの自宅で飲みなおそうという話になりました。
そしてAはVと酒を飲みながら話をしていましたが、Vは次第に呂律が回らなくなり、意識が朦朧とし始めました。
Aとしてはその前後のやり取りなどからVと性交渉をしても問題がないと考え、Vの服を脱がせて性交渉を行いました。
性交渉後、Aは寝てしまい、よく朝目覚めたら自宅にVの姿がありませんでした。
その後、横浜市緑区を管轄する緑警察署の警察官が自宅に来て、Aを逮捕しました。
逮捕の際、警察官はAに準強制性交等の罪で逮捕すると説明しましたが、Aは同意の下で性交渉をしたと主張しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【強姦について】
いわゆる強姦は、以前は刑法上も「強姦罪」と規定されていましたが、平成29年の法改正により「強制性交罪」という名称に変更されました。
また、内容についても変更があり、①客体(被害者)が女性ではなく男性でも成立することになった、②検察官は被害者による告訴がない場合にも起訴できるようになった、③法定刑が「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」となったため、執行猶予付き判決が極めて出にくくなりました。(執行猶予付き判決は執行猶予3年以下でなければ付けることができません。)
強制性交等罪の条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者のも、同様とする。
また、ケースについて見ると、暴行や脅迫などをしていないもののVが酒に酔っている状況に乗じて性交渉を行ったと考えられます。
相手が拒絶できない状況で性交渉をした場合については、準強制性交等という罪に当たり、強制性交等罪と同じ扱いを受ける可能性があります。
刑法178条2項 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
【否認事件について】
否認事件とは、被疑者や被告人が被疑事実を認めていない状況の事件を指します。
否認には、そもそも犯人が別にいるという犯人性否認や、自身の行為が罪に当たらないことを主張する否認など様々です。
実際にやっていない事件の嫌疑をかけられた場合に否認することは当然のことのように思えます。
しかし、否認事件の場合には被疑者・被告人にとって事実上の不利益が生じる可能性があります。
例えば、認め事件であれば在宅捜査が進められるにもかかわらず、否認事件では証拠を隠す恐れや逃亡する恐れがある等の理由により逮捕・勾留される可能性があります。
また捜査機関は、否認事件で客観証拠が少ない場合等には自白調書を作成したいと考えることも少なくないため、より厳しい取調べが行われる可能性があります。
実際の裁判でも、我が国では刑事裁判の99%以上が有罪判決であるため(もちろん、この数字には認め事件が多く含まれていますが)無罪判決を獲得することは極めて難しいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部には、否認事件でのご依頼についても少なからず寄せられてきます。
否認事件では、認め事件以上に必要な弁護活動がある上、早期の対応が必要となります。
神奈川県横浜市緑区にて強姦をしたことにより強制性交等罪、あるいは準強制性交等罪の嫌疑をかけられていて、逮捕されそう、あるいは既にご家族がそのような状況で逮捕されているが否認を続けているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。