神奈川県茅ケ崎市の詐欺事件
大学3年生のAさんは、インターネット上で「簡単なのに高収入!?」と書かれた求人を見つけ、すぐに連絡をして面接を受けることになりました。
面接後、即日採用されたAさんは、アルバイトの内容が他人名義のキャッシュカードを使ってお金を下ろすというものであることを知りました。
それが最近流行りの詐欺だと気づき、辞退の連絡をしましたが、「君の住所とか知ってるから。今更引き返せないよ」と脅されました。
結局Aさんはバイトをすることになり、神奈川県茅ケ崎市にある銀行を訪れお金を下ろした際に、茅ケ崎警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの親は、Aさんが詐欺事件に関わったと警察に聞かされ、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)
【詐欺罪について】
詐欺罪は、ご存知のとおり他人を欺いて財産を交付させた場合に成立する可能性のある罪です。
詳しく言うと、①欺く行為、②相手方の誤信、③相手方による財産の交付、④財産の受領、という各過程を辿ることで成立します。
これらの行為に加えて、自身が上記行為を行っていることの認識が必要です。
たとえば、真実だと思っていたことが実は嘘で、そのことを知らないまま他人を欺いて財産を受け取っても、詐欺罪として刑事上の責任を問われることはありません。
詐欺事件の中には、複数の者が犯行に関わる共犯形態のものが少なくありません。
たとえば、甲の指示のもと、乙がメンバーを集め、丙が電話で高齢者を騙してお金を振り込ませ、丁がお金を下ろす、といったかたちです。
上記事例において、Aさんは指示を受けてATMからお金を下ろす役を担っています。
たとえこれ以外に何らの行為を行っていなくとも、詐欺事件の一環として行われている以上、罪に問われて重い刑が科される可能性があるのです。
ちなみに、こうしたケースでは、詐欺罪ではなく窃盗罪に問われる可能性があります。
なぜなら、お金を引き出す時点では既に詐欺罪が終了しており、単にお金が銀行から自身の手元に移転したに過ぎないと見られるからです。
ただ、共犯形態の詐欺事件の一端である以上、その責任は個人がお金を盗むというものより重くなることが見込まれるでしょう。
【示談を実現するには】
詐欺罪や窃盗罪といった罪は、被害者との示談が量刑に大きな影響を及ぼします。
その理由は、示談により物理的・精神的な補填がなされれば、わざわざ国家が重く処罰する必要はないと考えられるからです。
ですので、振り込め詐欺に加担したという場合にも、基本的に示談の締結は重要な弁護活動の一つと言って差し支えないでしょう。
ただ、共犯形態の詐欺事件においては、示談に当たって注意すべき点があります。
それは、示談の際に他の共犯者の動向を伺わなければならない場合があるということです。
共犯事件は、法律上、共犯者全員が被害者に対して損害を与えたものとして扱われます。
これにより生じる損害賠償責任は特殊なもので、事件において果たして役割の大小にかかわらず各人に全額の支払い義務があるものです。
つまり、誰かが支払えば被害者に対する責任はなくなる一方、些細な手助けをした程度でも裁判で損害の全額を支払うリスクがあるのです。
以上で見たように、共犯事件における示談には、法律上何かと複雑な問題があります。
一般の方がそうした問題をクリアするのは困難が伴うので、少しでもスムーズに示談交渉を行うなら、やはり弁護士に事件を依頼すべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、示談をはじめとする効果的な弁護活動を行います。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回相談料:無料