傷害事件で正当防衛を主張したい②
傷害事件で正当防衛を主張したい場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
この記事は,傷害事件で正当防衛を主張したい①の続きになります。
【自ら正当防衛状況を招いた場合,正当防衛が認められるか】
ここで,刑事事件例では,Aさんは,Vさんが殴ってきたからやり返したのだとして正当防衛を主張していますが,事件の経緯を遡って観察してみれば,Vさんが殴ってきたのは,Aさんが最初にて手を出したからであると分かります。
このように,被疑者の方が,相手方の侵害を挑発する結果となった場合,この相手方の侵害に対して正当防衛として反撃行為を行うことは正当防衛として認められるのでしょうか。
この問題については,最高裁判所決定平成20年5月20日では,相手方の方の攻撃は,被疑者の方の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被疑者の方は不正の行為により自ら侵害を招いたといえるから,相手方の攻撃が被疑者の方の暴行の程度を大きく超えるものではないなどの事実関係においては,傷害事件の被疑者の方の傷害行為は,何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないというべきである旨示されています。
ただし,相手方の軽微な反撃行為が予想される挑発に対して相手方が予想以上に重大な法益を侵害する行為をしてきた場合等には,これに対し防衛行為を行うことは,正当防衛が成立する余地があると考えられています。
つまり,自招行為の態様やその際の被疑者の方の認識,自招行為と相手方の侵害との時間的場所的接着性,侵害行為の程度等を考慮して,正当防衛が成立する可能性があると考えられています。
刑事事件例では,Aさんの当初の暴行行為がVさんの暴行行為を招いています。
このVさんの行為が「予想以上に重大な法益を侵害する行為」にあたれば正当防衛が成立する余地があるといえることになります。
反対に,Vさんの行為が「被疑者の方の暴行の程度を大きく超えるものではない」場合には正当防衛は成立しないことになると考えられます。
このような事情は,刑事弁護士が被疑者の方から詳しい傷害事件の経緯を聴取しないことには,なかなか傷害事件の真相や詳細が判明せず,正当防衛の成否も断言できません。
そこで,傷害事件で正当防衛を主張したい場合には,まずは刑事弁護士に接見を頼み,被疑者の方から傷害事件を起こしてしまった経緯について聞いてもらえるように手配することが必要であると考えられます。
初回接見は,刑事弁護士が逮捕勾留されて身体拘束されている被疑者の方から刑事弁護に関する重要な情報を聞き出したり,反対に,被疑者の方にとって必要な知識や情報を伝えたりする重要な機会です。
そして,このような趣旨から,初回接見は何よりもスピードが大切であり,初回接見をすみやかに行ってくれる刑事弁護士に依頼することが必要不可欠であるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件で正当防衛を主張したい場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。