神奈川県座間市の強制性交等罪(強姦罪)が時効に
【ケース】
神奈川県座間市在住のAさんは、就職先で知り合ったVさんと親密になり、よくお互いの自宅を行き来しては食事をしたりしていました。
ある日、Aさんは酒に酔ってVさんと性行為をしたいと思い、Vさんが明確に拒否しなかったことからAさん宅で性交に及びました。
その後2人は疎遠になりましたが、5年経ってAさんが別の女性と結婚することになったところ、突然Vさんから連絡がありました。
連絡を受けてAさんがVさんと会ってみると、Vさんは5年前の性行為が強姦だったと主張し、座間市を管轄する座間警察署に被害届を出すと言い始めました。
その場はなんとか収めたAさんでしたが、もし被害届が出されたらどうなるのかと思い、時効のことを含めて弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)
【強制性交等罪について】
刑法第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
平成29年の刑法改正により、かつて強姦罪と言われていた罪は強制性交等罪と呼ばれるようになりました。
強制性交等罪となるに当たっては、①肛門性交および口腔性交の追加、②法定刑の引き上げによる厳罰化、③非親告罪化という重要な変更が加えられました。
これにより、被害者の性別に囚われない処罰、強姦事件の重大性の見直し、告訴を行う余裕がない被害者の救済が実現されるに至りました。
上記改正以外の事項は、改正前の強姦罪と同様だと考えられています。
強制性交等罪における「暴行又は脅迫」は、強姦罪と同様、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものでなければならないと考えられています。
ただし、実務上はその場の状況に関する様々な要素が考慮されるため、暴行等の程度が軽いことから直ちに強制性交等罪の成立が否定されるとは限りません。
ちなみに、既に生じている反抗不可能な状態を利用した性交等は、強制性交等罪と法定刑が同じである準強制性交等罪となります。
【強制性交等罪の公訴時効】
罪を犯してから相当程度の月日が経過している場合、その罪について公訴時効が完成している可能性があります。
公訴時効とは、検察官による公訴提起(裁判を行う意思表示)が許される期限を指します。
公訴時効の存在により、検察官は犯罪の終了から一定期間内に公訴提起を行わなければ、もはやその犯罪について裁判を行うことができなくなります。
これを被疑者の側から見ると、犯罪の終了から一定期間を経過すれば、その罪について有罪判決を受けて刑を科される余地はなくなるということになります。
公訴時効の期間は全ての犯罪において一律というわけではなく、犯罪の重大さによって異なる期間が定められています。
具体的には刑事訴訟法250条に定められており、①人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるものと、②それ以外とで分けて規定されています。
有期懲役には20年という上限が存在するため、強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の懲役です。
そうすると、強制性交等罪は「長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)であるため、公訴時効は10年ということになります。
上記事例ではまだ5年しか経過していないことから、強制性交等罪の公訴時効は未だ完成しておらず、起訴の危険があると言えます。
特に、被害届の提出を宣言されているのであれば、昔のことだからと油断せず早めに弁護士に相談すべきです。
時が経っているとなると証拠収集にも様々な影響が及ぶので、早いうちに動き出して損をするということはないでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件に強い弁護士が、強姦事件においても緻密な弁護活動を行うことをお約束します。
法令の知識はもちろん、取調べ対応や証拠収集などの実務上の知識にも詳しいので、どんな事件でも弊所弁護士なら充実した活動を行うことができます。
もし強姦をしてしまい強制性交等罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(座間警察署までの初回接見費用:38,700円)