【解決事例】有印公文書偽造事件で執行猶予

【解決事例】有印公文書偽造事件で執行猶予

有印公文書偽造等の罪で起訴されたものの執行猶予判決を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県小田原市在住のAさんは、小田原市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、過去にいじめを受けて実名をインターネット掲示板に書き込まれた過去があり、実名を避ける生活を送っていました。
生活をするうえで身分証明書を提示する必要があることから、Aさんは本名で作成した運転免許証に上から違和感のないように書き込むことで、本名とは異なる名前の運転免許証として所持していました。
ある日、Aさんは自宅で宅配便の荷物を受け取ることができず小田原市内の配送センターに赴き荷物を受け取ろうとしたところ、身分証明書の提示を求められ、偽造した身分証明書を提示したところ従業員が不正に気付き、警察に連絡をしました。
通報を受けて臨場した小田原市内を管轄する小田原警察署の警察官は、Aさんに事情を聞き、有印公文書偽造罪で在宅捜査を行うことにしました。

Aさんからの依頼を受けた当事務所の弁護士は、Aさんが罪を認めていることを前提として、Aさんの主張を丁寧に聞き取った上で取調べで誤解を招かないためのアドバイスを行いました。
有印公文書偽造罪には罰金刑が用意されていないため、Aさんは公判請求され刑事裁判になりましたが、弁護士による弁護活動の結果Aさんは執行猶予判決となりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【有印公文書行使罪について】

文書を偽造・変造したり、偽造・変造された文章を使った場合、刑法第17章の文書偽造の罪に定める各罪に問われる可能性があります。

政府や公務員などの肩書きをもって作成された文書は、「公文書」として扱われます。
公文書には、住民票・戸籍謄本・パスポート・運転免許証・健康保険証などがあります。
公文書は社会的な信用性が高いことから、それ以外の文書である私文書に比べ法定刑が重く設定されています。
条文は以下のとおりです。

(公文書偽造等)


・刑法155条
1項 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2項 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3項 前2項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

(偽造公文書行使等)

・刑法158条 
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

公文書偽造罪は、公務員の肩書での署名や押印がなされている書類を「有印」、それ以外を「無印」として取り扱われ、
・有印の場合には刑法155条1項の有印公文書偽造罪に問われ、1年以上10年以下の懲役
・無印の場合には刑法155条3項の無印公文書偽造罪に問われ、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金
それぞれ処されます。

また、仮に自身で偽造をしていない場合でも、偽造した有印公文書を利用することは偽造有印公文書行使罪に問われます。

【有印公文書偽造罪での弁護活動】

有印公文書偽造罪については、その目的がどのようなものだったのかという点が問題となります。
例えば、詐欺などを行う際に使用する目的で公文書を偽造した場合、悪質であると判断され、厳しい刑事処罰が科せられる可能性があります。
それに対して、Aさんの場合は詐欺などの目的ではなく、恐怖体験から本名の使用を恐れてしまったというもので、悪質とまでは言えないという主張を行いました。
裁判官は、そのような事情を汲んだうえで、Aさんに対し執行猶予判決を下しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
有印公文書偽造罪のような、ともすれば厳しい刑事処罰を科せられる事件についても数多く対応してきました。
神奈川県小田原市にて、有印公文書偽造罪で捜査され執行猶予の付いた判決を目指したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合は初回接見サービスをご案内いたします。(有料)

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