会社の金を横領していた事件で、当事者同士で弁済の約束をしたものの書面化しておらず、具体的に返済した金額なども管理されていなかったという事例をもとに、弁護士による示談交渉のメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県横浜市緑区在住のAさんは、横浜市緑区内の会社で勤務していましたが、4年前に得意先を訪れた際に本来は振込みでの入金がなされる売掛金約400万円について「今月は銀行に行く時間がないから、お宅の経理の人に渡しておいてよ」と言われ現金で預かりました。
しかし、Aさんはその現金を経理担当者に渡すことなく横領(着服)してしまいました。
Aさんの横領に気付いた会社代表は、Aさんに対して頭金として100万円に加え、毎月5万円を給料から天引きすることで刑事事件化を回避するという約束をしました。
とはいえ口約束だけで書面などにはしておらず、Aさんとしては会社にいくら支払っていたか、分からない状況でした。
そのような状況が4年間続いたものの具体的にあといくら弁済すれば良いのか分からないという状況で、Aさんは、解決方法がないかと悩み、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料相談を受けました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【横領事件と業務上横領事件】
他人から預かるなどして自分のもとにあるモノやカネを着服した場合には、
・(単純)横領罪
・業務上横領罪
のいずれかが成立すると考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(横領罪)
刑法252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
(業務上横領罪)
刑法253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
Aさんの場合は仕事中に行った横領行為ですので、業務上横領罪が成立するように思えます。
しかし、業務上横領罪のいう業務とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務を指します。
経理の担当者や経営者などが分かりやすい例ですが、Aさんの場合はそのような職務を任されているわけではなく、得意先を訪れた際にたまたま受け取ったお金を着服したため、業務上横領罪は成立せず、横領罪の成立に留まります。
【弁護士による示談交渉】
Aさんの事例では、横領した金額の弁済については口約束だけで、頭金の支払い及び給与の天引きというかたちでなされていました(なお、給与は全額払いが原則で、天引き行為については別途問題が生じる場合があります。)。
口約束だけでは、後々の蒸し返しなどが生じてしまう恐れがあるため、示談書などの書面の締結は必要不可欠です。
しかし、法律の専門家ではない一般の方同士で示談書の取り交わしを行うことは、容易ではないでしょう。
示談交渉を行う場合、弁護士に依頼することをお勧めします。
横領事件の場合、示談書には
・Aさんが起こしてしまった事件の内容
・Aさんが支払う義務がある金額の総額
・Aさんが支払う時期・期限と金額(例えば、毎月末までに10万円ずつ支払う、等)
・遅延した場合の遅延損害金
・被害届を提出しない、あるいは提出した被害届を取下げる等の約定
を書面化する必要があります。
今回のAさんの事件ではこれが出来ていなかったため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は先方との示談交渉を行い、上記各内容を書類に纏めることで、Aさんが弁済するべき金額が明確化するとともに、蒸し返しを防止することができました。
神奈川県横浜市緑区にて、横領などの事件を起こしてしまい示談によって刑事事件化を避けたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
また、ご家族が横領事件などで逮捕されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービス(有料)をご活用ください。
初回接見についてはコチラ。