【解決事例】飲酒運転同乗事件で不適切な取調べに抗議
酒を飲んだ人が運転する車に乗ることで成立する飲酒運転同乗罪に問われた方が神奈川県警察署警察官による不適切な取調べを受けたために抗議をしたという事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAさんは、横浜市保土ヶ谷区にて友人と酒を飲んでいた際に泥酔してしまい、気が付いた時には車に乗っていました。
実は、Aさんが乗っていた車は同じ席で飲酒していた者が運転していて、更には人身事故を起こしていました。
その後の捜査により、Aさんは横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官により飲酒運転同乗罪で逮捕されました。
依頼を受けた弁護士が接見をしたところ、Aさんは勾留中、不適切な取調べが行われていたことが発覚しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【飲酒運転同乗罪について】
一定以上のアルコールが体内に入っている状態で問題となる飲酒運転について、運転手本人は勿論のこと、
①飲酒者に車を提供した人
②その後運転をすることが分かっている人に酒を提供した人
③飲酒運転の車に同乗した人
も処罰対象となります。
Aさんの場合は飲酒運転の車に同乗していたことから、③に該当し、飲酒運転同乗罪に問われることとなります。
飲酒運転同乗罪に関する関係する条文は以下のとおりであり、
・運転手が酒酔い運転だった場合には3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・運転手が酒気帯び運転だった場合には2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
と、それぞれ罰条が定められています。
≪参考条文≫
・道路交通法65条1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
同4項 何人も、車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
・同法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
同第6号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)
・同法117条の3の2 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
同第3号 第65条第4項の規定に違反した者(当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転し、又は身体に第117条の2の2第3号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両を運転した場合に限るものとし、同条第6号に該当する場合を除く。)
【不適切な取調べで抗議】
Aさんは事件後、自身の行動についてとても反省をしていて、取調べに対しても真摯に受け答えしていました。
しかし、取調べを担当する警察官は、取調べの最中に実際にはAさんが話していないことを供述調書に盛り込んで「あなたの言うことは要するにこういうことだから」と言ったり、署名捺印を保留して弁護士に相談したいと言ったAさんに対して「そんなことを言う人は今までにいなかった」等と言って、強引に署名捺印を迫りました。
一昔前の刑事ドラマなどを見ていると、刑事が取調べの際に被疑者に対して暴行を加えたり机を殴ったりするなどの方法で威嚇し、自供にこぎつけるという取調べが出てきます。
このような取調べは、少なくとも現代においては、極めて少ないと言えます。
しかし、捜査機関は被疑者の無知に乗じ、時として違法・不適切な取調べが行われます。
ケースのAさんも同様で、自身が供述していない内容が録取されたり、そのような供述調書への署名捺印を拒否した際に弁護士への相談する前に強引に署名捺印を迫るという不適切な取調べがなされていました。
Aさんの事件を担当した弁護士は、接見の中でそのような不適切な取調べがなされていることを聞き、すぐに詳細をAさんから聞いて把握しました。
そのうえで、担当する検察官に対し、Aさんに対する警察官の取調べが不適切であり、速やかに改善がなされるよう書面で厳しく抗議しました。
その結果、以降は不適切な取調べはなされませんでした。
こんにちでは、我が国の至る所に防犯カメラが設置されたり、メールや検索などの履歴が残ったりするなどして客観的な証拠の収集が比較的に容易となり、被疑者・被告人の供述は必ずしも重要とは言えない状況下にあります。
とはいえ、今なお供述に偏重する傾向にあり、捜査機関にとって都合の良い供述を引き出すべく違法・不適切な取調べは存在します。
自身が受けた取調べは違法・不適切なのではないか、あるいは家族が逮捕・勾留されていて違法・不適切な取調べが行われていないか不安である、という方は、すぐに刑事事件専門の弁護士に連絡することをお勧めします。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、ご家族が飲酒運転同乗罪に問われている場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士がご家族のもとへ初回接見に行き、事件の内容や違法・不適切な取調べが行われていないか等を確認して参ります。(初回接見は有料です。)