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児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県横浜市旭区に住むAさんは,同区に住むVさん(15歳の女子高校生)に対して,Vさんが18歳未満であると知りながら,裸などの画像を撮影させ、会員制交流サイト(SNS)を通じて自分に送信させました。
Aさんは,神奈川県旭警察署の警察官により,児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)の容疑で逮捕されました。
(2020年7月30日に中国新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【児童ポルノ製造にはどんな類型があるのか】
児童ポルノ製造の類型には4種類あります。
児童ポルノ禁止法7条3項
前項に掲げる行為(注:児童ポルノの提供)の目的で,児童ポルノを製造し,…た者も,同項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
1つ目は,児童ポルノを提供する目的で,児童ポルノを製造する場合です。
児童ポルノ禁止法7条4項
前項に規定するもののほか,児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者も,第2項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
2つ目は,児童に法定の姿態(後述)をとらせ,その姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合です。
この児童ポルノ禁止法7条4項の「姿態をとらせ」る行為とは,被疑者の方の言動等により,被害者の方(児童)が姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと考えられています。
この2つ目の児童ポルノ製造の類型は,被疑者の方の注文に応じて児童に姿態を取らせ,写真等を撮って送らせる行為であると考えることができます。
なお,「姿態」とは,①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの,③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものをいいます(児童ポルノ禁止法2条3項)。
児童ポルノ禁止法7条5項
前2項に規定するもののほか,ひそかに第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者も,第2項と同様とする(注:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する)。
3つ目は,ひそかに児童の姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合です。
この児童ポルノ禁止法7条5項の「ひそかに」とは,被害者の方(児童)に知られないようにすることをいうと考えられています。
児童ポルノ禁止法7条7項
前項に掲げる行為の目的(児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列する目的)で,児童ポルノを製造し…た者も,同項と同様とする(注:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する)。
4つ目は,児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し,又は公然と陳列する目的で,児童ポルノを製造する場合です。
【刑事事件例の児童ポルノ製造はどの類型か】
刑事事件例では,Aさんは,Vさんに裸などの画像を撮影させ、会員制交流サイト(SNS)を通じて自分に送信させています。
上記の児童ポルノ製造の類型の中では,2つ目の類型である,児童に法定の姿態をとらせ,その姿態を写真等に描写することにより,児童ポルノを製造する場合に当たります。
よって,Aさんには,児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)として,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されることになります。
【児童ポルノ製造事件を起こしたらどうなるのか】
児童ポルノ製造事件を起こしてしまった場合,児童ポルノ製造事件の被疑者の方はどうなるのでしょうか。
この点,前科などがない場合,執行猶予が付いた判決や罰金処分を得られる可能性があります。
執行猶予の付いた判決や罰金処分を得られた場合,実刑として刑務所へ収容されることはありません。
そして,執行猶予の付いた判決や罰金処分を獲得する可能性を高めるためには,児童ポルノ製造事件の被害者の方(児童)との示談をまとめたり,児童ポルノ製造事件の被疑者の方が反省していることを裁判所や検察官にしっかりと示していったりすることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件に関する経験豊富な刑事弁護士が在籍しています。
児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)事件でお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
女子高校生への強制わいせつ事件
女子高校生への強制わいせつ事件
女子高校生への強制わいせつ事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,神奈川県横浜市戸塚区の路上において,帰宅途中だった女子高校生のVさんに後ろから抱きつき,胸を触りました。
帰宅したVさんから話を聞いたVさんの母親が神奈川県警察戸塚警察署に通報し,付近の防犯カメラの映像からAさんによる強制わいせつ事件が明らかになりました。
Aさんは,神奈川県警察戸塚警察署の警察官から「同時期に似た手口の強制わいせつ事件が数件発生している。他の強制わいせつ事件に関与していないか。」と追及を受けています。
(2021年4月7日にtvkニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【強制わいせつ罪とは】
刑法176条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6月以上10年以下の懲役に処する。
刑法176条は,13歳以上の者に対して,「暴行又は脅迫」を用いて,「わいせつな行為」をした者には,強制わいせつ罪が成立します。
強制わいせつ罪の「暴行又は脅迫」とは,被害者の方の反抗を著しく困難にする程度の暴行又は脅迫を指します。
また,強制わいせつ罪の「わいせつな行為」とは,性欲を刺激,興奮又は満足させ,かつ,普通人の性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいうと考えられています。
刑事事件例のように,胸を触る行為などは強制わいせつ罪の「わいせつな行為」に該当すると考えられます。
そして,胸を触るという強制わいせつ罪の「わいせつな行為」が不意の性的暴行であれば「暴行又は脅迫」にも同時に該当すると考えられています。
以上の各要件を満たす場合,Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
【強制わいせつ事件の取調べについて】
強制わいせつ事件で逮捕された場合,刑事事件例のように「他の強制わいせつ事件に関与していないか」などと厳しい追及を受ける可能性があります。
他の強制わいせつ事件に関与している場合,積極的に警察官による他の強制わいせつ事件の捜査に応じて反省の態度を示したほうが良いのか,それとも黙秘権を行使した方が良いのかということについては,本件強制わいせつ事件にかかわる様々な具体的事情によって判断が変わってくるところです。
そのため,刑事弁護士に事前によく相談して,警察官による取調べに対してどのように応じていくのかを決めることが重要であると考えられます。
また,他の強制わいせつ事件に関与していない場合は,黙秘権を行使したり否認したりすることが効果的であると考えられますが,警察による厳しい取調べによって,精神的に大きな負担がかかり,黙秘や否認が難しい場合も考えられます。
その場合,刑事弁護士が接見を重ね,強制わいせつ事件の被疑者の方に法的助言を与えたり,強制わいせつ事件の被疑者の方を精神面からサポートしたりすることが重要になります。
その際,刑事事件に関する専門的な知識を有する刑事弁護士を選任し,強制わいせつ事件の被疑者の方やご依頼者の方と信頼関係を構築していくことが大切になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
女子高校生への強制わいせつ事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。
同意の上での性交で逮捕
同意の上での性交で逮捕
13歳未満の少女への強制性交等罪で逮捕された事件がありました。
刑務官 強制性交の疑いで逮捕
Yahoo!ニュース(KKB鹿児島放送)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~交際していた~
この事件は、刑務所の刑務官が、SNSで知り合った13歳未満の少女とみだらな行為をしたとして逮捕された、というものです。
少女の祖父が警察に相談し、逮捕に至ったとのことです。
逮捕されたのが刑務官であるという点も驚きかもしれません。
さらに刑務官と少女は、「交際していた」と話しているとのこと。
つまり、みだらな行為をすることについて、少女も同意していたと思われます。
しかし今回、刑務官は、強制性交等罪の疑いで逮捕されました。
なぜでしょうか。
ここで、刑法の条文を見てみましょう。
刑法177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
この条文の1文目は、13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて性交等をした場合に、5年以上の有期懲役(上限は余罪がなければ20年)になると書かれています。
一方、2文目には、暴行や脅迫といった文言はなく、単に13歳未満の者に対し性交等をした場合に、同じく5年以上の有期懲役になるということが書かれています。
つまり、13歳未満が相手の場合には、暴行脅迫を使わなくても、いくら相手が同意していたとしても、強制性交等罪が成立することになってしまうのです。
今回のように、交際していた者同士だったとしても、犯罪となってしまうということです。
もちろん、本当に交際しているのであれば、少女の側がみずから警察に相談するということは考えにくいでしょう。
しかし今回のように、少女の家族が警察に相談して、事件化するということは十分考えられます。
とてもリスクがある行為だと言えます。
なお、13歳以上18歳未満が相手の場合も、たとえ同意の上で性交等をしていても、今度は各都道府県が制定する青少年保護育成条例といった名称の条例に違反するとして検挙される可能性があります。
神奈川県の条例を見てみましょう。
神奈川県青少年保護育成条例
第31条1項
何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
第53条1項
第31条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
俗に淫行条例とも言われているものです。
強制性交等罪に比べると罰則が軽いですが、それでも逮捕されるなど大ごととなる可能性があります。
さらに、同意の上での性交等の中でも、お金を渡して性交等をする、いわゆる児童買春の場合には、条例よりも重い罰則があります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第4条
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
このように、18歳未満の者との性交等は、たとえ同意があったとしても、様々なリスクが存在することになります。
~心配な場合は弁護士にご相談を~
もしあなたや、あなたのご家族が、18歳未満との性行為について、逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、あるいは事件化しそうで心配といった場合には、ぜひお早めに、弁護士にご相談ください。
具体的な事情をお聞きした上で、今後どのような展開になりそうか、どのような対応を採るべきかなど、疑問点にお答えいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。
医師が盗撮で逮捕
医師が盗撮で逮捕
医師が盗撮で逮捕された事件がありました。
順天堂大医師を盗撮で逮捕「やめられなかった」神経学会の第一人者が犯した罪とその手口
FNNプライムオンライン
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~10年以上前から~
この事件は、東京都内の交差点で信号待ちをしている女性に対し、医師の男性が背後から近づき、靴に取り付けられたカメラで下着を盗撮したというものです。
その不審な動きに気が付いた目撃者が警察に通報し、駆け付けた警察官が医師の男性に事情を聴いたところ、犯行を認めたため逮捕となったということです。
警察の取調べで男性は、10年以上前から盗撮をしており、やめられなかったといった供述をしているとのこと。
盗撮などの性犯罪は、悪いことだとわかっていても、やめられなくなってしまうことがあるわけです。
このような盗撮をすると、各都道府県が制定する迷惑防止条例に違反することになります。
今回の事件は東京都内で起こっていますので、東京都の迷惑防止条例違反で逮捕されました。
仮に神奈川県内で起こった場合には、神奈川県迷惑行為防止条例に違反したことになります。
条文を見てみましょう。
神奈川県迷惑行為防止条例
第3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 省略
(2) 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
罰則は、原則として1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
常習者として扱われると、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
今回の事件の男性のように、余罪が多数ありそうだからといって、必ず常習者として扱われるわけではありません。
盗撮の前科がある場合には、常習者として扱われる可能性も上がるでしょう。
~逮捕されるとどうなる?~
犯罪をして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄を拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判を受け、執行猶予とならない限り、そこで判断された刑罰を受ける流れになります。
一方、比較的軽い事件などでは、検察官が不起訴処分をすることがあります。
不起訴処分とは、刑事裁判にかけないという判断をすることです。
今回は大目に見てもらうということで、刑罰も受けず、前科も付かずに手続きが終わることになります。
しっかり反省態度を示し、被害者の方に謝罪・賠償して示談を成立させると、不起訴処分となる可能性が上がるでしょう。
また、盗撮を繰り返している場合には、依存症のような状態になっており、再犯が懸念されるところです。
そこで、専門的な治療やカウンセリングを行っている病院を受診するといった対策を取ると、再犯の可能性を下げることができますし、不起訴処分などの軽い結果につながる可能性を上げることもできます。
~弁護士にご相談ください~
あなた自身やご家族が、何らかの犯罪で逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けそうか、どうやって示談をしたらよいのか、職場の処分や資格はどうなるのかなど、わからないことが多いと思います。
事件の具体的な事情をもとにご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。
盗撮したと因縁付け逮捕
盗撮したと因縁付け逮捕
盗撮をしたと因縁を付けて、恐喝罪で逮捕された事件がありました。
「女性盗撮したでしょ、示談で決着したら」横浜駅周辺で因縁付け恐喝 容疑の男2人逮捕
Yahoo!ニュース(神奈川新聞社)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~盗撮バスター~
この事件は、横浜駅周辺で、「女性を無断で撮影した」などと因縁を付けて現金を脅し取ったとして、住所不定・無職の26歳の男と、61歳の男が逮捕されたというものです。
横浜駅周辺では、「盗撮バスター」などと称される同様の被害が複数確認されていたとのこと。
今回の具体的な逮捕容疑は、
「女性の姿を撮っていたでしょ。大事になったらまずいよ。示談の形で決着したらどう」
などと言って、現金5万円を脅し取ったという恐喝の容疑です。
ここで恐喝罪の条文を見てみましょう。
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、10年以下の懲役です。
執行猶予が付く可能性はありますが、それより軽いとされている罰金で済む可能性はありません。
それだけ重い犯罪であるということです。
ちなみに恐喝罪や恐喝未遂罪は、本当の被害者が、加害者に対し金銭を要求した場合でも成立しうる犯罪です。
もちろん、穏当な方法で適切な金額を要求するだけでは成立しませんし、相場より高い金額を支払うよう要求しただけでも、通常は成立しません。
しかし、たとえば、
「家族や職場にばらすぞ」
「職場に乗り込むぞ」
「痛い目に合わせるぞ」
「知り合いの暴力団員に相談するぞ」
など、相手が恐怖を感じるような言葉を使うと、恐喝罪や恐喝未遂罪が成立する可能性があります。
また、暴力を用いた場合には恐喝罪または恐喝未遂罪の他、ケガをさせれば傷害罪が、ケガまではしなくても暴行罪が成立する可能性があります。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
さらに、暴行・脅迫の方法がかなり強度のものだった場合には、より重い強盗罪・強盗致傷罪が成立する可能性もゼロではありません。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
なんら理由がないのに因縁をつけて金銭を要求することはもちろん、要求する理由があったとしても、方法には注意しなければなりません。
~お早めに弁護士にご相談を~
逮捕された後の手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【刑事事件の流れ】
あなた自身やご家族が、何らかの犯罪で突然逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。
事件の具体的な事情をもとに、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。
地下鉄での盗撮で逮捕
地下鉄での盗撮で逮捕
地下鉄で盗撮して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県横浜市に住む男性Aさん。
通勤などで、横浜市営地下鉄ブルーラインを利用していました。
ある日、目の前に立っている女性のスカート内を、スマホで盗撮しました。
しかし、その不審な動きから女性に盗撮が見つかり、次の駅で降ろされ、駅事務所に連れて行かれました。
そして駆け付けた神奈川県南警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~盗撮は迷惑防止条例違反に~
電車内での盗撮行為は、ほんの出来心でしてしまう場合から、悪いことだとはわかりつつもやめられないといった場合まで、色々なパターンがあります。
再犯があまり心配ない人から、再犯が予想されてしまう状況なので何らかの治療やカウンセリングなどが必要と言う人まで様々です。
まず前提として、電車内で盗撮をすると、各都道府県が制定する迷惑防止条例に違反したことになります。
神奈川県の条例を見てみましょう。
神奈川県迷惑行為防止条例
第3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 省略
2号 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
省略した1号は痴漢の規定です。
そして2号が盗撮・のぞき見の規定ということになります。
罰則は、1年以下の懲役または 100 万円以下の罰金となっています。
盗撮の前科があるなど、常習者として扱われると、2年以下の懲役または 100 万円以下の罰金となります。
~逮捕後の流れは?~
逮捕されたとなると、ご本人はもちろん、ご家族などにとって、今後どうなってしまうのかとても心配なところでしょう。
逮捕されると、まずは最大で3日間、警察署の留置場等に入れられ、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~早期解決を目指す~
逮捕後は、まずは早期釈放を目指した上で、軽い刑罰または不起訴処分になることを目指します。
不起訴処分とは、前述の起訴の反対で、検察官が被疑者を刑事裁判にかけないと判断することです。
比較的軽い犯罪で、前科がない(あるいはかなり昔に軽い犯罪をしたのみ)といった場合になされることがよくあります。
今回は大目に見るということで、裁判を受けず、刑罰を受けず、前科も付かずに終わることになります。
もちろん、今回の犯罪の内容や前科の状況等によっては、不起訴処分とはならないこともあります。
しかしその場合でも、裁判所の法廷で行われる裁判はせず、簡単な手続きで罰金を納付して終わる略式起訴となることもありえます。
犯罪の内容や前科は変えられませんが、不起訴処分や略式起訴、早期釈放を目指すために、すでに犯罪をした後に出来ることとして重要なのは、被害者に謝罪・賠償をして示談を結ぶことです。
とはいえ、性犯罪の被害者の方は、加害者本人やその家族と直接連絡を取ることに抵抗を覚えることも多く、連絡先を教えてもらえないことも多いです。
また、何と言って示談をお願いしたらいいのか、示談金はいくらにしたらいいのか、示談書の内容はどうしたらいいのかなど、わからない点が多いと思います。
事件の詳しい内容によっても変わってくるところですので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行い、その後ご家族などに内容をご報告する初回接見サービスのご利用をお待ちしております。
また、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
警察官がレイプで書類送検
警察官がレイプで書類送検
警察官がレイプをしたとして書類送検された事件がありました。
ホテルで強制性交疑い、男性巡査長を書類送検 神奈川県警は公表せず
Yahoo!ニュース(神奈川新聞社)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
~強制性交等罪に問われた~
この事件は、神奈川県警所属の警察官が、飲食店で女性に声を掛け、その後ホテル内で性的な暴行を加えたという疑いが持たれているというものです。
警察官と女性は当時、相当程度の酒を飲んだ状態だったようです。
この警察官は、強制性交等罪という罪に問われています。
条文を見てみましょう。
刑法177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
いわゆるレイプをした場合に成立するのが、この犯罪です。
5年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)という重い刑罰が定められています。
~なぜ逮捕されないのか?~
この事件で、被疑者(ヒギシャ。犯罪をしたと疑われている人)である警察官は、逮捕されていません。
ニュースのタイトルにもなっている「書類送検」とは、事件が起きた時に最初に捜査をする警察から、次に捜査をする検察に対し、被疑者の身柄は送られず、捜査書類のみが送られたことを意味します。
なぜでしょうか。
一般的に、犯罪をしたとしても必ずしも逮捕されるわけではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがあったり、住所不定の場合などに逮捕されます。
比較的軽い犯罪の場合には、逃亡や証拠隠滅まではしないであろうと判断され、逮捕されずに在宅事件として捜査が進むこともよくあります。
今回、問題となっている強制性交等罪は重い刑罰が定められている犯罪ですから、重い刑罰から逃れたいという思いから、逃亡や証拠隠滅のおそれが認められるとして、逮捕されることも多い犯罪です。
そうなると、警察官だから、身内をかばって逮捕しなかったのではと疑問に思う人もいるかもしれません。
たしかに、警察官に限らず、仕事や身分がしっかりしていると見られるような人だと、その地位をなげうってまで逃亡したり、証拠隠滅に走ったりしないのではないかという判断が働き、逮捕されないという結果につながる可能性はゼロではありません。
しかし、単純に、目撃者のいない密室での犯罪なので、本当に犯罪が成立しているのかはっきりせず、逮捕はしていないということも十分考えられます。
~弁護士にご相談を~
いずれにしろ、強制性交等罪は重い犯罪であることに変わりはなく、逮捕されるリスクは高いですし、執行猶予が付かず刑務所行きになる可能性も十分考えられる犯罪です。
あなたやご家族が、強制性交等罪などの犯罪に問われ、無罪を主張したい場合はもちろん、相手に謝罪・賠償して示談を結び、少しでも軽い結果に終わりたいといった場合には、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
具体的な事情をお伺いした上で、今後の見通しをご説明致します。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
痴漢が準強制わいせつ罪で逮捕
痴漢が準強制わいせつ罪で逮捕
電車内で痴漢をした男性が、準強制わいせつ罪で逮捕された事件がありました。
東横線の電車内で女子大生の体を触った容疑 男を逮捕
Yahoo!ニュース(神奈川新聞)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~痴漢で成立する犯罪は?~
この事件は、東急東横線の電車内で、眠っていた18歳の女子大学生の下着内に手を入れて胸を触るなどした、というものです。
その様子を目撃していた男子大学生が、容疑者を取り押さえ、戸部警察署の警察官が現行犯逮捕するに至ったということのようです。
電車やバスなどで痴漢をした場合、①迷惑防止条例違反、②強制わいせつ罪、③準強制わいせつ罪などが成立する可能性があります。
一番多いのは、①迷惑防止条例違反でしょう。
神奈川県の条例を見てみます。
神奈川県迷惑行為防止条例
第3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
犯罪の中では比較的軽い刑罰が定められています。
服の上から身体を触ったといった場合には、この条文に違反したとして刑事責任を問われることになるでしょう。
しかし、一口に痴漢と言っても様々な犯行方法の事件があります。
下着の中に手を入れて直接体を触るといった、より悪質と言える事件では、②強制わいせつ罪に問われることもあります。
刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
罰則が、6ヵ月以上10年以下の懲役という重いものになっており、罰金で済む可能性もありません。
また、下着の中に手を入れて触るケースの中でも、今回のように相手が眠っている場合には、③準強制わいせつ罪という犯罪が成立することもあります。
刑法第178条
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
この準強制わいせつ罪というのは、睡眠・飲酒・薬物などの影響により、気を失わせたり抵抗できない状況にさせて、あるいは元から気を失っていたり抵抗できない状況にあることを利用して、わいせつな行為をした場合に成立します。
通常の強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いて無理やりわいせつ行為をした場合に成立するので、犯行方法が異なるわけです。
とはいえ、わいせつ行為をしたこと自体には違いがないので、罰則は176条の強制わいせつ罪と同じく、6ヵ月以上10年以下の懲役となります。
今回の事件では、被害者は電車で眠っており、気を失っている、抵抗できない状況にあったと言えます。
その被害者の下着の中に手を入れて身体を触ったので、準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたわけです。
~お早めに弁護士にご相談を~
逮捕後の刑事手続きの流れについてはこちらをご覧ください。
刑事事件の流れ
痴漢などの犯罪で逮捕されると、ご本人もご家族も、どんな犯罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、いつ釈放されるのか、取調べではどう受け答えしたらよいのか、示談はどうやったらよいのか、報道されるのか、仕事・学校への影響など、わからないことも多いと思います。
事件内容に応じて、今後の見通しの説明やアドバイス致しますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
交際相手の娘へのわいせつ行為で逮捕
交際相手の娘へのわいせつ行為で逮捕
交際相手の娘に対し、わいせつ行為をして逮捕されたという事件がありました。
交際女性の娘2人にわいせつか 男を再逮捕
Yahoo!ニュース(テレビ神奈川)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~強制わいせつ罪などの疑いで逮捕~
この事件は、交際相手の不在時を狙い、自身の下半身を4歳の女の子に触らせたり、小学2年生の女の子にわいせつな行為をした上、その様子を動画撮影したという疑いで、男が逮捕されたというものです。
この男は、別の女子児童への性的暴行で既に逮捕・起訴されていたことから、今回のニュースのタイトルでは「再逮捕」となっています。
ニュースによると、男は強制わいせつ罪などの疑いで逮捕されたということです。
こういった事件が起きた場合に、どんな犯罪が成立する可能性があるのか、見てみましょう。
まずは強制わいせつ罪の条文から。
刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
被害者が13歳以上であれば、暴行・脅迫という手段を用いてわいせつな行為をした場合に成立するのが、この強制わいせつ罪です。
ただ、今回の事件の被害者は13歳未満ですので、暴行・脅迫という手段を用いなくても、たとえ形式的には女児の同意があったとしても、わいせつな行為をした以上は、強制わいせつが成立することになります。
~強制性交等罪の可能性も~
また、身体を触る、触らせるといったわいせつ行為だけでなく、性交までしていれば、強制性交等罪が成立することになります。
第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
~監護者わいせつ罪・監護者性交等罪も問題に~
強制わいせつ罪と強制性交等罪はともに、被害者が13歳以上の場合には、暴行・脅迫を手段として用いた場合にのみ成立しますが、例外があります。
加害者が被害者の親であるなど、被害者を監護する者であった場合には、被害者が18歳未満でさえあれば、暴行・脅迫を手段として用いなくても、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪という犯罪が成立します。
第179条1項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
第2項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
親などの影響力がある人にわいせつ行為などをされた場合、被害者はなかなか抵抗できないことも多いです。
そうすると暴行・脅迫を用いずに、わいせつ行為や性交等が出来てしまうのです。
こういった場合に対処するため、近年、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪が制定されました。
監護者わいせつ罪の罰則は強制わいせつ罪と同じ、監護者性交等罪の罰則は強制性交等罪と同じになっています。
今回のニュースの事件では、被害者が13歳未満でしたので、暴行・脅迫がなくても、単純に強制わいせつ罪や強制性交等罪に問えるので、監護者わいせつ罪や監護者性交等罪は問題とならないでしょう。
ただ、仮に13歳以上18歳未満であった場合には、被害者の母親の交際相手の男性が監護者と言えるかを生活実態から検討し、言えるという場合には、監護者わいせつ罪や監護者性交等罪に問われることになるでしょう。
~児童ポルノ禁止法違反にも~
さらに今回の事件では、わいせつ行為の様子を動画撮影していたので、児童ポルノ禁止法違反も成立しているでしょう。
18歳未満の者のわいせつ行為の画像や動画は、児童ポルノに当たります。
児童ポルノを作り出す行為は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
(条文が長いので引用は省略します)
~弁護士にご相談を~
このように、今回のニュースのような行為には、様々な犯罪が成立することになります。
しかも加害者と被害者は親戚関係、あるいは知り合いにあるということで、被害者の心のケアも含めた事件の解決は容易にはいかないでしょう。
もし、あなた自身はもちろん、ご家族がこのような行為をしてしまったという場合、関係者だけで解決することは難しく、法律や医療の専門家を頼る必要が出てくると思います。
法律分野については、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に、ぜひお早めにご相談下さい。
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東海道線での痴漢で逮捕
東海道線での痴漢で逮捕
電車で痴漢をして逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県川崎市に住む男性Aさん。
普段、通勤で東海道線を利用していました。
朝晩の満員電車の混雑する車内でAさんは、女性の足やおしりを触る行為を繰り返していました。
ある日、いつものように女性を触ったところ、女性が、
「やめて下さい」
と声を上げました。
周りの乗客の手助けもあり、Aさんはあっという間に駅事務所に連れていかれました。
そしてAさんは、駆け付けた川崎警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~痴漢をするとどんな犯罪が成立するか?~
Aさんのように電車などで痴漢をした場合、痴漢の方法によって、①各都道府県の迷惑防止条例違反になる場合と、より重い②刑法の強制わいせつ罪が成立する場合があります。
まずは①について、神奈川県の条例を見てみましょう。
神奈川県迷惑行為防止条例
第3条1項
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
第15条1項
第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
これが痴漢事件の多くで成立することになる、迷惑防止条例違反の条文です。
他の都道府県でも、似たような条文が定められています。
罰則は、神奈川県の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ただし、痴漢の前科があるなどの理由により、常習者として扱われると、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となってしまいます(懲役の上限が2倍)。
次に、②刑法の強制わいせつ罪の条文を見てみましょう。
刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
こちらは条例と違い、全国どこでも適用されうる条文です。
罰則は6カ月以上10年以下の懲役です。
罰金で済む可能性がなく、懲役の期間も迷惑防止条例に比べて格段に長くなっています。
~どちらの罪に問われるのか~
定められた刑罰の重さの違いにも表れている通り、痴漢の中では悪質さが低いという場合には①迷惑防止条例違反に、より悪質な痴漢の場合には②強制わいせつ罪に問われることになります。
具体的にどこのラインで区別されるのかは難しい問題ですが、たとえば、服の上から身体を触るという方法だった場合、①迷惑防止条例違反となることが多いです。
ただし、服の上からでも激しく触るなど、悪質と判断されれば②強制わいせつ罪になる可能性も否定はできません。
一方、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは②強制わいせつ罪が成立する可能性が高くなります。
~お早めに弁護士にご相談を~
逮捕後の刑事手続きの流れについてはこちらをご覧ください。
刑事事件の流れ
痴漢など何らかの犯罪をしたとして逮捕されると、ご本人やもちろん、ご家族にとっても、どんな犯罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、いつ釈放されるのか、取調べにはどう対応したらよいのか、示談はどうやったらよいのか、仕事・学校への影響など、わからないことも多いと思います。
事件内容に応じてアドバイス致しますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております