無許可・無届出のフードデリバリーサービス

無許可・無届出のフードデリバリーサービス

無許可・無届出のフードデリバリーサービスについて,弁護士法人あいち刑事事総合法律事務所横浜支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,フードデリバリーサービスの男性配達員をしていました。
Aさんは,国へ必要な手続きをせずに,250ccのバイクや軽自動車,普通自動車を使って料理を有償で配達しました。
Aさんは,神奈川県秦野警察署の警察官により秦野警察署内で,貨物自動車運送事業者法違反の容疑で話を聞かれたといいます。
Aさんは神奈川県秦野警察署の警察官に対して,「法律で禁止されていることを知らなかった」と話したといいます。
神奈川県秦野警察署の警察官は,Aさんに対して,「この後は検察に送るだけだから」と言われたといいます。
(2021年8月2日にSTVに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【貨物自動車運送事業法で定められていることとは】

貨物自動車運送事業法2条2項
この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは,他人の需要に応じ,有償で,自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって,特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。

貨物自動車運送事業法2条4項
この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。

貨物自動車運送事業法2条2項,4項では,一般貨物自動車輸送事業と貨物軽自動車輸送事業の定義が定められています。
これらの違いは,前者が「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)」を使用する場合を規定しているのに対して,後者が「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)」を使用する場合を規定しているという点にあります。

貨物自動車運送事業法3条
一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。

貨物自動車運送事業法36条
貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,営業所の名称及び位置,事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

貨物自動車運送事業法では,他人の荷物を有償で運ぶ際,「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)」を使用する場合は,国の許可を得ることが義務付けられています(貨物自動車運送事業法3条)。
これに対して,「自動車(3輪以上の軽自動車及び2輪の自動車に限る。)」を使用する場合は,国への届出が必要であるとされています(貨物自動車運送事業法36条)。

【貨物自動車運送事業法違反の罪とは】

貨物自動車運送事業法70条
次の各号のいずれかに該当する者は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
1号:第3条の規定に違反して一般貨物自動車運送事業を経営した者

貨物自動車運送事業法76条
次の各号のいずれかに該当する者は,100万円以下の罰金に処する。
9号:第36条第1項の規定に違反して,貨物軽自動車運送事業を経営した者

貨物自動車運送事業法に違反した場合は,刑事罰が科される可能性があります。
具体的には,貨物自動車運送事業法3条の規定に違反した場合は,「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」が科されます。
貨物自動車運送事業法36条1項の規定に反した場合は,「100万円以下の罰金」が科されます。

【「法律で禁止されていることを知らなかった」との弁解について】

刑事事件例では,Aさんは,「法律で禁止されていることを知らなかった」との弁解をしていますが,このような弁解は通るのでしょうか。

この点,昭和26年11月15日に出された最高裁判所判決では,「法の不知はゆるさず」,つまり違法性の意識の湯無は犯罪の成否に無関係であるとの考え方を採用しました。
その後,判例や学説で様々な争いがありましたが,今日では,国が合理的な方法で公知を図った以上,国民,特に業務者などが一定の行為をする場合には,その関係法規を知るように努めるべき義務があるとされ,法律を知らない場合であっても,基本的には犯罪が成立すると考えらえています。

そのため,刑事事件例のAさんがした「法律(貨物自動車運送事業法)で禁止されていることを知らなかった」との弁解は通らないことになります。
刑事事件例のAさんは,犯罪が成立してしまうことを前提に,寛大な処分寛大な判決を得るための刑事弁護活動を採るべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
無許可・無届出のフードデリバリーサービスでお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら