放火未遂事件で逮捕
放火未遂事件で逮捕された場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは,神奈川県横浜市都築区にある神社において,自ら用意した衣服などに火をつけ,壁を燃やそうとしたとして,非現住建造物放火未遂罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは自ら用意した衣服に火をつけた段階で警備員に確保されたため,神社に火が放たれることはなかったといいます。
Aさんは,神奈川県都築警察署の警察官による放火未遂事件に関する取調べに対して,非現住建造物放火未遂罪の容疑を認めています。
(2021年5月26日にFNNプライムオンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【非現住建造物放火未遂罪とは】
刑法109条1項
放火して,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない建造物…を焼損した者は,2年以上の有期懲役に処する。
刑法112条
…第109条第1項の罪の未遂は,罰する。
非現住建造物放火未遂罪とは,非現住建造物放火罪の実行に着手し(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行い),非現住建造物放火罪の成立要件の一部を満たしたものの,結局,非現住建造物放火罪の結果が発生しなかったため,非現住建造物放火罪が未完成に終わった段階を犯罪の一つと規定したものをいいます。
まず,非現住建造物放火未遂罪の目的物(の一つ)は「現に人が住居にしようせず,かつ,現に人がいない建造物」です。
この非現住建造物放火未遂罪の「現に人が住居にしようせず,かつ,現に人がいない建造物」であるというためには,建造物を物理的・機能的に見て,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がないといえる必要があります。
これは,建造物を物理的・機能的に見て,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がある場合には,人の生命・身体に危険が生じる可能性が高いとして,現住建造物放火未遂罪が成立するからです。
刑事事件例では,神社を物理的・機能的に見たときに,人の住居や現に人がいる部分に延焼する可能性がないとして,非現住建造物放火未遂罪の目的物にあたると考えられたのでしょう。
次に,非現住建造物放火未遂罪は,上述のように,非現住建造物放火罪の実行に着手し(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行っ)た場合に成立します。
具体的には,目的物への直接の点火,又は媒介物(例えば新聞紙)への点火があれば,非現住建造物放火罪の実行の着手(非現住建造物放火罪に予定された結果が発生する現実的な危険を含む行為を行うこと)があったと考えられます。
この場合,非現住建造物放火未遂罪の「放火して」という要件を満たすことになります。
刑事事件例では,Aさんは,神社に放火するために,自ら用意した衣服などに火をつけており,ここに非現住建造物放火未遂罪の「放火して」という成立要件を満たす行為があったと考えられます。
そして,非現住建造物放火未遂罪は,上述のように,結局,非現住建造物放火罪の結果が発生しなかったため,非現住建造物放火罪が未完成に終わった場合に成立します。
具体的には,火が媒介物を離れ,目的物が独立して燃焼を継続するに達しなかった場合,非現住建造物放火罪の「焼損」という結果が発生しなかったと考えられます。
この場合,非現住物建造物放火罪が未完成に終わったといえ,非現住建造物放火未遂罪が成立することになります。
刑事事件例では,Aさんは,結局神社に火をつけることができずに終わっているため,火が媒介物を離れ,目的物が独立して燃焼を継続するに達しなかった,すなわち現住建造物放火罪の「焼損」という結果が発生しなかったといえると考えられます。
以上より,Aさんには非現住建造物放火未遂罪が成立すると考えられます。
【放火未遂事件の刑事弁護活動とは】
刑事事件例のように,非現住建造物放火未遂事件を起こしてしまった場合の刑事弁護活動について解説します。
非現住建造物放火未遂事件を含む放火事件は,公共の危険を生じさせる重大犯罪の一つと考えられます。
そのため,非現住建造物放火未遂罪で起訴されると実刑判決を受けてしまう恐れもあります。
そこで,刑事事件に強い刑事弁護士を選任することで,不起訴処分や執行猶予付き判決を得られるようにしていく必要があります。
刑事弁護士を選任することで行い得る刑事弁護活動の一つとしては,非現住建造物放火未遂事件の被害者の方と示談をすることが挙げられます。
非現住建造物放火未遂事件の被害者の方は,重要な建造物が焼損してしまう危険のある行為をした被疑者の方に対して,強い処罰感情を抱いている可能性があります。
刑事事件例においても,先代から引き継ぎ,守ってきた歴史と伝統のある神社を燃やそうとした非現住建造物放火未遂事件の被疑者の方に対して,強い敵対心や猜疑心を持っているとも考えられます。
そこで,第三者的立場を有する刑事弁護士に間に入ってもらい,円滑に示談交渉を進めることが大切です。。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
放火未遂事件で逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。