神奈川県横浜市旭区にて特殊詐欺受け子で接見禁止①
特殊詐欺事件で受け子の役をになってしまい、接見禁止が付いた場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市旭区在住のA(21歳・無職)は、1年前に大学を中退してから仕事も勉強もしておらず、生活費も底をつきてしまいました。
そこで、何らかの方法で金を稼ぐ方法がないか、SNSで探していました。
すると、「時給2万円で簡単なお仕事」と書かれた投稿を見つけました。
Aは、違法な仕事なのではないのかと思いながらも、金が稼げるのであればいいだろうと考え、連絡を取りました。
すると、Aが連絡した相手Xは、Aに対して①横浜市旭区にある一軒家に向かい②自分が○○(Vの孫の名前)の上司であり、電話でお話した物を受け取りに来たとだけ言って荷物を受け取り、③受け取った荷物を指定された場所に送る、という指示を受けました。
実際にAはXの指示どおりにV宅へ行き、Vから中身の見えない紙袋を手渡されました。
Aは、これはテレビなどでよく見る特殊詐欺なのではないかと思いながらも、聞かない方が良いだろうと思い、指示に従って対応しました。
後日、Aの家に横浜市旭区を管轄する旭警察署の警察官が自宅に来て、Aを特殊詐欺の受け子をしたことによる詐欺罪で通常逮捕しました。
Aの両親は、成人したとはいえAの顔を見たいと思い警察署に連絡しましたが、接見禁止決定が下されているために面会はできないと言われました。
Aの両親は、Aと面会をする方法がないかと考え、刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼したうえで接見禁止決定が下った事件で面会する方法について質問しました。
(フィクションです。)
【特殊詐欺の受け子について】
特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及び隙を見てキャッシュカード等を窃取する窃盗を含む。)の総称をいいます。(警視庁―特殊詐欺対策HPより引用)
いわゆる振り込め詐欺や、還付金詐欺などがこれに当たります。
警視庁や各都道府県の警察署のほか、政府広報でも落語家・林家たい平師匠などをCMに抜擢して特殊詐欺の注意喚起を行っています。
それでも、特殊詐欺の被害はなくなっておらず、昨年1年間における特殊詐欺の認知件数は17,844件で、被害総額は約382億円以上になっています。
ケースのようないわゆる振り込め詐欺事件などの特殊詐欺事件では、電話をかけて被害者を騙し、錯誤に陥れる「かけ子」、振り込まれた銀行口座からお金を引き出す「出し子」、被害者宅を訪問して現金を受け取る「受け子」など、複数名が関わり合うという場合が多くあります。
そして、ケースのAは被害者Vの家に現金を受け取りに行っていますので、「受け子」という立場に当たります。
そもそも詐欺罪は①欺罔行為によって②相手を錯誤に陥れ③相手が財物を交付する、ことで成立する罪です。
これらの行為は基本的にかけ子が行っていて、受け子はそれらの行為をしていないため、直接詐欺罪が問えるわけではありません。
ただし、受け子が「被害者から受け取るものが現金(あるいはキャッシュカードなど)である」と分かった場合には、受け子についても詐欺罪が適用される可能性があります。
なお、特殊詐欺事件では、たとえ受け子の初犯であっても起訴されて裁判になる場合が多いです。
【接見禁止について】
≪明日のブログに続きます≫