公務執行妨害罪で無罪主張

公務執行妨害罪で無罪主張

神奈川県大和市在住のAさんは、深夜に近所の公園付近を歩いていたところ、大和警察署の警察官に声を掛けられました。
目的は職務質問のようでしたが、警察官はAさんを不審者と決めかかって質問を行い、遂にはAさんが持っていた鞄を無理やり奪い取りました。
警察官は鞄のチャックを開けて中に手を入れたため、Aさんはそれを制止しようと鞄を掴んで強く引きました。
すると、警察官から「公務執行妨害罪だ」と言われ、現行犯逮捕されて警察に連行されてしまいました。
接見で一連の流れを聞いたAさんの弁護士は、今回の件で公務執行妨害罪が成立せず、無罪の主張ができるのではないかと考えました。
(上記事例はフィクションです)

【公務執行妨害罪について】

公務員が職務を行う際に暴行や脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
典型的なケースだと警察官を相手方とするものが思い浮かびますが、公務員であればその他にも様々な者が対象となりえます。
たとえば、私立病院に勤務している医師を相手方とするものもあれば、公務員の補助をする非公務員の民間人を相手方とするものもあります。

公務執行妨害罪は、国または公共団体の事務の円滑な遂行を妨げる点で違法だと考えられています。
そのため、暴行・脅迫の程度がさほど強くなくとも、公務の円滑な執行を妨げるおそれがあったとして公務執行妨害罪となる可能性があります。
上記事例においても、鞄を取り返そうとするAさんの行為が公務執行妨害罪における「暴行」と捉えられる可能性はあると言えます。

公務執行妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
更に、仮に暴行により公務員に傷害を負わせた場合、公務執行妨害罪だけでなく傷害罪が成立することもあります。
これは、人の身体の傷害が公務執行妨害罪に当然に含まれるとは言えず、傷害罪として別個に評価すべきだという考え方によるものです。
その場合、傷害罪の法定刑である15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれが生じてきます。

【違法な公務と無罪主張】

上記事例の警察官は、Aさんの鞄を奪い取ってチャックを開け、中に手を入れて物色しています。
警察官は犯罪を予防する一般的な責務を負っていることから、職務質問やそれに付随する所持品検査を行う権限が認められています。
しかし、そうした活動は、よほど軽微でない限り対象者の同意がなければできず、強制的に行うのであれば捜索許可状などの令状を要するところです。
そうすると、警察官によるAさんの鞄の物色は、本来行うことが許されない違法な捜査に当たる可能性があります。

以上を踏まえると、Aさんは公務執行妨害罪が成立せず無罪になる余地があると言えます。
その理由は、公務執行妨害罪の性質にあります。
先ほど説明したように、公務執行妨害罪は円滑な公務の執行を保護するために定められたものです。
しかし、国家が刑罰を科して人権を侵害することの重大さに鑑みれば、違法な公務まで公務執行妨害罪による保護の対象にすべきではないと考えられます。
こうした考えから、公務執行妨害罪が成立するのは、飽くまでも暴行・脅迫の対象が適法な公務の場合に限られるとされているのです。
ただし、そもそも無罪の主張というのは容易に受け入れてもらえませんし、警察官を相手方とする公務執行妨害罪については尚更です。
もし無罪の主張をお考えなら、ぜひ弁護士に事件を依頼してきちんと弁護活動をしてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の名に恥じない弁護士が、無罪の獲得に向けて知識と経験を総動員します。
ご家族などが無罪にもかかわらず公務執行妨害罪を疑われたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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