【解決事例】窃盗事件で不処分に

窃盗事件での弁護活動と、少年事件で不処分を目指す付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市泉区在住のAさん(当時20歳未満)は、横浜市泉区内にある会社で臨時のアルバイトをしていました。
その際、会社に所属する正社員Vさんが持っていた私物のタブレット端末があり、Aさんはそのタブレット端末に入れていた漫画に興味を持っていました。
そこで、Vさんが数日間休暇を取るタイミングを狙って、タブレット端末を自宅に持ち帰り漫画を読んでいたところ、Vさんが急用で時間外に事務所に出勤してきて、タブレット端末がないことに気付きました。
Vさんは横浜市泉区を管轄する泉警察署に相談しようとしていたところ、Aさんがタブレット端末を持ち帰ったことを認め、事件化しました。

Aさんの保護者は、Aさんに対し保護処分が課されない「不処分」にならないか、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に相談しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【窃盗事件について】

他人の物を盗んだ場合には、窃盗罪が成立します。
条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

但し、Aさんの場合、タブレット端末を盗むというよりは、一時的に借りてすぐ返すつもりでした。
一見するとAさんの行為は窃盗罪のように思われますが、窃盗罪の成立には「不正領得の意思」が必要とされています。
不正領得(不法領得)の意思とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいう」とされています。
確かに、Aさんは権利者であるVさんの所有権を排除して占有を移転しています。
しかし、Aさんは自分の物としてタブレット端末を使おう、あるいは転売しようとして盗んだわけではなく、あくまで返却の意思があったうえで一時的に持ち出しという主張をすることで、窃盗罪の成立について争う余地があります。
不法領得の意思は、対象物を持ち出した期間や用途などの諸事情を検討する必要があります。

【不処分を求める活動】

Aさんは事件当時20歳未満の未成年者だったため、少年法の定義する「少年」にあたります。
通常、少年事件の場合は、捜査機関の捜査が終わると家庭裁判所に送致され、最終的に家庭裁判所の審判によって処分が決定します。
家庭裁判所の審判で下される処分には、少年院送致や保護観察処分、都道府県知事又は児童相談所長送致、などがあります。
一方で、少年自身が充分に反省している、家庭環境の調整などにより少年の更生が十分に期待できる、などの事情から、処分をしない「不処分」と判断される場合もあります。
法務省が発表している平成30年版の犯罪白書によると、少年保護事件のうち一般保護事件(交通事件事故を抜いた事件)のうち不処分とされた事件は全体の16.7%です。

不処分の判断を受けるためには、少年が反省している点や、事件後に保護者が少年に対して真剣に向き合って更生に向けて取り組んでいる点などを、付添人弁護士がしっかりと主張する必要があります。

神奈川県横浜市泉区にて、お子さんがアルバイト先で他の従業員の私物を持ち出すなどして窃盗罪を疑われていて、不処分を求める弁護活動・付添人活動について知りたい場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら