ストーカー規制法とは
特定の人に対する恋愛感情など好意の感情や、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情をみたす目的で、「つきまとい等」をする行為については、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)により規制されています。
ストーカー規制法は、同一の人に対し、「つきまとい等」を反復してすることを「ストーカー行為」と定義し、「ストーカー行為」をした者に対する罰則を定めています。
また、「つきまとい等」をして人に不安を覚えさせた者に対し、公安委員会はそのような行為の禁止命令を発令することができ(通常、禁止命令に先立ち警告がされますが、緊急の場合は警告を挟まずに禁止命令が発令される場合もあります。)、禁止命令に違反した者には、罰則が科されます。
「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」、下の①~⑧いずれかの行為をすることをいいます。
①つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがる、住居・勤務先・学校等の付近での見張り押し掛け・みだりなうろつき
②行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又は行動を知り得る状態に置く行為
③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求する行為
④著しく粗野又は乱暴な言動をする行為
⑤無言電話、拒まれたにもかかわらず連続して電話・FAX・電子メール送信・SNSを用いたメッセージ送信・ブログやSNS等の個人ページにコメント等送信をする行為
⑥汚物、動物の死体等を送付する行為、又はその知り得る状態に置く行為
⑦名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置く行為
⑧性的羞恥心を害する事項を告げ、又は性的羞恥心を害する文書・図画・電磁的記録やその記録媒体等の物を送付し若しくはその知り得る状態に置く行為
罰則が科される「ストーカー行為」とは、上の①~⑧の「つきまとい等」を反復して行うことをいいます。
ストーカー規制法における罰則
ストーカー規制法においては、以下の表のとおりの罰則が定められています。
罪となる行為 | 罰則・法定刑 |
「ストーカー行為」をした場合 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
禁止命令に違反して「ストーカー行為」をした場合 | 2年以下の懲役又は200万円以下の罰金 |
禁止命令に違反したがその行為が「ストーカー行為」にはあたらないとき | 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
非親告罪化
ストーカー規制法違反の罪は、従前は親告罪(告訴がなければ検察官が起訴することができない罪)でした。
しかし、平成28年の法改正により、ストーカー規制法違反の罪は親告罪ではなくなりました。
したがって、示談により被害者の方に告訴を取り下げていただいても、情状次第で、起訴される可能性は残ることとなります。
ストーカー規制法違反事件における弁護活動
示談交渉
被害者と示談を成立させることができれば、不起訴処分といった寛大な処分で早期に事件が解決する可能性が高まります。
もっとも、ストーカー事件では、被害者が恐怖や憎悪の気持ちを抱いていることが多く、加害者本人が直接示談交渉をすることは不可能な場合がほとんどでしょう。
示談を成立させ円満な解決を図るためには、示談交渉の経験豊富な弁護士にできるだけ早く相談することが重要です。
身柄解放活動
ストーカー事件では、被害者との接触が懸念されるため、逮捕や勾留による身体拘束が長期化しやすい類型の犯罪です。
しかし、事件ごとの事情に応じて、証拠隠滅や逃亡の可能性がないことを証拠に基づき検察官や裁判官に主張し、早期の身柄解放に向けた弁護活動をします。
示談が成立したということは、釈放・保釈の可能性を大きく上げますから、身柄解放との関係でも、弁護士は速やかな示談成立を目指します。
情状弁護
ストーカー事件の事実に争いがなく有罪が免れない場合でも、被害者との示談が成立している、再犯可能性が低いなど、被告人に有利な事情を証拠に基づき主張して、罰金、執行猶予付き判決といった寛大な刑事処分を目指します。
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