神奈川県横浜市南区のストーカー事件①
【ケース】
神奈川県横浜市南区に住むAは、横浜市南区内を中心とした運送業のアルバイトをしています。
ある日、Aが配達のために横浜市南区内のマンションを訪ねたところ、Aの好みのタイプの女性Vが受け取りのために玄関先に出てきました。
AはVに好意を抱き、配達時に利用するラベルに記載されているVの個人情報を勝手に見たうえで、Vに電話をかけました。
電話を受けたVは、配達をしていたAからの連絡と知り、自宅を知られて気持ちが悪いと思い「電話してこないでください」といって切りました。
それでもAは、朝晩構わず、計約120回Vに電話をしたほか、Vの住むアパートの周りをうろつくなどしました。
困ったVは、神奈川県横浜市南区を管轄する南警察署の警察官に相談し、被害届を提出しました。
南警察署の警察官はAの行動を確認したところ、ストーカー行為等の規制等に関する法律に違反する行為であると判断し、Vに説明しました。
そこでVは、ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく禁止命令等の申し出を行い、Aに対する禁止命令等が下されました。
それでもAはVに対する連絡やアパートの周りをうろつく行為を止めなかったことから、南警察署の警察官は、Aを逮捕しました。
Aの家族は、ストーカー行為等の規制等に関する法律違反の場合に示談が可能なのか、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談しました。
(フィクションです。)
【ストーカー規制法について】
ストーカーという言葉は、広く一般に利用されている言葉です。
法律上ストーカー行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称、ストーカー規制法)によって何がストーカー行為に当たるか定義され、ストーカー行為を禁止されています。
ストーカー規制法は、平成11年に埼玉県桶川市で発生した桶川ストーカー殺人事件(被害女性が交際中の相手に別れ話をしたところ逆上され、ストーカー行為を繰り返された上に殺人事件に発展したという事件。)を契機に、議員立法によって成立されました。
【ストーカーの定義について】
ストーカー行為とは「同一の者に対し、つきまとい等…を反復してすることをいう」と定められています。(ストーカー規制法2条3項)
そして、「つきまとい等」の定義についてはストーカー規制法2条1項にて以下のような内容の規定をされています。
特定の人に対する恋愛感情や行為の感情、あるいは恋愛が成就しなかったことによる逆恨みのような目的で、行為を抱いた相手やその配偶者、家族等の関係者に対して、下記のようなことをすることを指すとしています。
①(1)つきまとい(2)待ち伏せ、(3)住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近での見張り、(4)住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②行動を監視していると思わせるような事を言ったり、実際に知り得る状態に置いたりすること。
③面会、交際など、義務のないことを強要すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤(1)無言電話(2)拒否された後も何度も電話をかけたりFAXを送信したり、電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体など、極めて不快あるいは嫌悪感を催すような物を送付したり、そのような物が見える場所などに置いたりすること。
⑦名誉を害することを言う等のこと。
⑧(1)性的羞恥心を害することを言う等(2)性的羞恥心を害する文書や絵、DVDやBD、データ等といった物を送付する等(3)(2)のデータ等を送信する等。
≪明日のブログに続きます。≫