神奈川県横浜市南区の傷害事件
傷害事件として立件される可能性がある方が正当防衛を主張する場合に問題となる点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市南区在住のAは、横浜市南区内の会社を経営する経営者です。
Aは横浜市南区にあるスナックの常連で、事件当日もスナックで酒を飲んでカラオケをしていました。
そこに、横浜市南区在住のVが入店し、Aのカラオケを聞いて「そんな汚い声で歌うな」などとAに対して暴言を吐きました。
AはVに対して「悪酔いしているなら帰れ」と言ったところ、VはAに対して近くにあった灰皿を投げつけようとしました。
そこでAは危険だと思い、灰皿を振りかぶったVの手を掴み、馬乗りになるようにして押さえつけました。
その際、打ちどころが悪かったVは腕を骨折しました。
後日、横浜市南区を管轄する南警察署の警察官からの連絡を受けたAは、Vから傷害罪の被害届を受理した旨の説明を受けました。
Aは、自身の行為は正当防衛に当たるのではないか、刑事事件専門の弁護士に無料相談をしました。
(フィクションです。)
【傷害事件について】
傷害事件を起こした場合、傷害罪の適用が考えられます。
傷害罪は人の身体を傷害することで成立する罪で、判例の立場に立つと、傷害とは人の生理機能に傷害を与えること又は人の健康状態を不良に変更することとされています。(生理機能侵害説)
例えば皮膚の表皮が剥奪される行為でも傷害罪と認められるため、ケースのように相手が骨折した場合は傷害罪となります。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
【正当防衛を主張】
ケースのように相手が危害を加えようとする前後に逆に危害を加えたという場合には正当防衛を検討する必要がある場合があります。
正当防衛の条文は以下のとおりです。
刑法36条1項 急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
急迫とは、現に権利侵害が行われている場合だけでなく、権利侵害が間近に迫っている場合も含まれます。
不正とは、違法と同じ意味と考えられています。
権利とは、一般的な権利だけでなく広く法律上保護に値する利益を含むと考えられているため、生命・身体・自由・名誉・信用・財産・肖像権・住居の平穏など様々です。
ケースについて見ると、Vが灰皿を投げつけようとしていたことから、A自身の身体を侵害する行為から防衛を図るためにやむを得ずした行為として処罰されないことが考えられます。
【正当防衛が成立しないケースもある】
ただし、正当防衛は必ずしも認められるというわけではありません。
例えば、条文では正当防衛の要件として「急迫不正の侵害」と定められているため、例えば殴られた後に殴り返すなどの行為については正当防衛として認められません。
また、たとえばケースのAがVを取り押さえたうえで腕を踏みつけるなどした結果Vが骨折をした場合、灰皿を投げつけようとした相手に対して押さえつけたうえで骨折するほどまでの力で腕を踏みつける行為は「防衛の程度を超えた行為」過剰防衛が適用される可能性があります。
過剰防衛の条文は以下のとおりです。
刑法36条2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減刑し、又は免除することが出来る。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、在宅事件の場合には全国13か所ある弊所の事務所にて、刑事事件専門の弁護士が無料でご相談を行います。
神奈川県横浜市南区にて傷害罪で被害届を出されてしまい、ご自身の行為が正当防衛に当たらないのか分からないという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。