神奈川県鎌倉市で再度の執行猶予②

神奈川県鎌倉市で再度の執行猶予②

昨日に引き続き、執行猶予期間中に再度刑事事件を起こしてしまったという場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県鎌倉市在住の会社員であるAが、懲役6月執行猶予1年6月の判決を言い渡された後、執行猶予期間中に窃盗事件を起こしてしまったという事件です。
Aの家族は、再度の執行猶予を求めて刑事事件専門の弁護士に弁護活動を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【窃盗罪について】

ご案内のとおり、万引き行為は窃盗罪に当たる可能性があります。
詳細については≪昨日のブログをご覧ください。

なお、窃盗事件を軽い事件だと考えておられる方もいるようですが、窃盗罪で実刑判決を受けて刑事収容施設(いわゆる刑務所)に行くという場合もあります。
窃盗事件をやらないことは勿論、万が一窃盗事件を起こしてしまった場合には適切な弁護活動を依頼することをお勧めします。

【いわゆる窃盗症について】

昨日のブログをご覧ください。≫

【執行猶予とは】

窃盗事件を起こしてしまった場合、逮捕・勾留されたり裁判になったりする可能性があります。
裁判では、無罪を言い渡すか有罪であればどのような刑罰に処するかを裁判官が決定します。
そして有罪の場合の刑罰としては、死刑・懲役刑(無期懲役と有期懲役があります。)禁錮刑・罰金刑・拘留・科料の6種類と、それに付随する没収があります。(これは厳しい順番になるため、「禁錮以上の刑」であれば死刑・懲役刑・禁錮刑を指します。)
そのため、通常であれば懲役刑を受けた場合には刑事収容施設(いわゆる刑務所)で決められた刑期を過ごすことになります。

ただし、一定の刑については、裁判官の判断によってその刑を猶予するという制度があります。
これが執行猶予です。
例えば、「懲役3年、執行猶予5年」といった執行猶予付き判決を受けた場合、その被告人は本来であれば刑事収容施設に3年間入る必要がありますが、その刑を5年間猶予することになるため、判決を言い渡された時点では刑事収容施設に入る必要がありません。
そして、刑の言い渡しから5年の間に再度刑事事件等を起こさなかった場合、刑の言い渡しの効力を失うことになります。
執行猶予については刑法25条1項に規定がありますが、どの事件でも執行猶予に処されるわけではなく、①禁錮以上の刑に処されたことがない場合、又は②禁錮以上の刑に処された場合でも、刑の執行が終わってから5年以内で懲役や禁錮に処せられたことがない、という方が対象です。
そして、①又は②の方が3年以下の懲役刑・禁錮刑又は50万円以下の罰金刑の言渡しを受けた場合に、1年以上5年以下という期間の範囲内でその刑の執行を猶予できます。
執行猶予付き判決を受けた場合、懲役刑や禁錮刑については刑事収容施設に行く必要はなく通常の社会生活を送ることが出来ますし、罰金刑についてはすぐに納付する必要はありません。

ただし、執行猶予期間中に再度何かしらの刑事事件を起こしてしまった場合、執行猶予は取り消される可能性があります。
具体的には、①執行猶予期間中に禁錮刑以上の刑に処された場合には、必ず執行猶予は取り消され(必要的取消し・刑法26条)、②執行猶予期間中に罰金刑に処された場合には執行猶予が取り消される可能性があります(裁量的取消し・刑法26条の2)。
例えば前回の刑が「懲役3年、執行猶予5年」で執行猶予期間中の事件での裁判にて「懲役2年」の判決が言い渡された場合には、3年+2年で5年間刑事収容施設にて受刑することになります。

刑法25条1項  次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

【再度の執行猶予を求めて弁護士へ】

執行猶予期間中に起こしてしまった事件で、判決言渡しの時点でいまだ執行猶予の期間中である方について、再度の執行猶予を求めるには上記の執行猶予より厳しい要件が科せられます。
具体的には、①今回の事件での判決が「1年以下の懲役又は禁錮」であること(よって、罰金刑以下の場合は対象となりません。)、②保護観察中ではなく、③情状に特に酌量すべきものがあるときに認められることになります。

刑法25条2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

繰り返しになりますが、再度の執行猶予は容易に認められるものではありません。
よって弁護側は、例えば②の要件を満たすために「今回の事件が特に軽微であること」や、「更生の見込みがある」ことなどを公判で主張していく必要があります。
そのために、弁護士は被疑者が起訴される前から再犯防止のための取組みとして専門家の外来受診をしたり、家族などと協同して環境調整を図ったりといった指導を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで窃盗と思われる、あるいは窃盗症の診断を受けた方の弁護活動についても数多くの実績がございます。
神奈川県鎌倉市にて窃盗症の疑いがあるご家族の方が執行猶予期間中に窃盗事件を起してしまい、再度の執行猶予をお求めである、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

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