【解決事例】リベンジポルノ防止法違反で公正証書の取り交わし
交際中などに撮影した性的な動画や画像などをネット上にアップロードしたことでリベンジポルノ防止法違反の罪に問われ、公正証書の取り交わしにより事件化を阻止できたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県川崎市川崎区在住のAさんは、川崎市川崎区の会社に勤める会社員です。
Aさんには3年間交際した相手Vさんがいましたが、Vさんの浮気が発覚しました。
Aさんは怒ってVさんと別れましたが、怒りが収まらず、交際中に撮影していたVさんの性器などが映った動画をインターネット上に投稿しました。
投稿に気付いた川崎市川崎区在住のVさんは、川崎市を管轄する川崎警察署の警察官に相談しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【いわゆるリベンジポルノ防止法違反について】
誰しもが当たり前のようにスマートフォンやタブレット端末を持っている昨今、動画や画像を撮影することが容易になっています。
そこで、心を赦した交際相手などから求められ、性行為や性的な部位を動画や画像で撮影するという方も少なくないようです。
このような動画や画像について、被写体が第三者に提供したり、インターネット上にアップロードしたりすることについて同意していれば良いのですが、被写体に同意を得ずに第三者に提供したり、インターネット上に投稿したりする行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通称:リベンジポルノ防止法)によって禁止されています。
条文は以下のとおりです。
リベンジポルノ防止法3条
1項 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2項 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
(以下、略)
【公正証書の取り交わし】
リベンジポルノ防止法違反のように被害者のいる事件では、被害者との示談交渉が重要な弁護活動のひとつに挙げられます。
示談交渉は、当事者同士でもできますが、刑事弁護での示談交渉は弁護士が代理人になって締結する場合が一般的です。
ここで取り交わす示談書は、弁護士が代理人として関与していたとしても、私文書として扱われます。
示談書では、当事者が誰か、どのような内容を定める文章か、示談金がある場合にはいくらか、等の約定が設けられます。
当然、示談書を取り交わした場合には、当事者間に法的拘束力が認められます。
しかし、示談条項は時として反故にされます。
反故にされた場合、「○○さんに示談書の約定を反故にされた」と主張して請求などを行うのですが、私文書の場合、そもそも示談書自体が有効であるかなどの確認が必要となるため、請求に時間を要します。
例えば、示談金が比較的安い金額で一括で支払われるような場合には示談書は私文書で構わないと考えられますが、示談金が高額で分割での支払いが求められる場合などでは、途中で支払われなくなるなどのリスクがあります。
そのようなリスクがある場合に、債権者(示談金を要求する被害者の方)としては、公正証書を取り交わすことで安心する場合があります。
公正証書とは、公証人という公務員が提供する法的サービスの一つです。
公正証書は、作成までの手続きに時間や労力を要しますが、公務員が作成する公文書になるため、証明力が高く約定を反故にされた場合に速やかに差押えなどの請求に踏み切ることができます。
よって、被害者としては、通常の示談書を取り交わす場合に比べ、公正証書にして取り交わすことで安心して示談に応じることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件のみを扱っている弁護士事務所です。
リベンジポルノ防止法違反の中でも「インターネット上で動画や画像を公開」するような事案では、被害者の方の被害感情が大きく示談金も高額になる可能性がありますが、公正証書の取り交わしによって被害者の方が安心して示談に応じてくださる場合もあります。
神奈川県川崎市川崎区にて、リベンジポルノ防止法違反で捜査を受けていて、示談交渉や公正証書の取り交わしについて知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料相談をご利用ください。