【解決事例】痴漢事件で検察官送致を回避
痴漢事件で捜査を受けたものの、早期の弁護活動により検察官送致を回避したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県川崎市中原区在住で地方公務員のAさんは、川崎市中原区内を走行する鉄道車両に通勤のために乗車した際、Vさんの臀部(お尻)を触る痴漢行為をしました。
その際は駅員や警察官等を呼ばれるトラブルは生じませんでしたが、後日、川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官が職場に来ていることを知りました。
そこで、Aさんは当事務所の弁護士による無料相談を受け、その後弁護を依頼されました。
弁護士は、中原警察署の警察官に連絡し、Aさんが罪を認めて反省していることを伝え、被害者であるVさんに対し謝罪や賠償を行いたいので連絡先を交換させて頂くよう取次をお願いしました。
その後、弁護士はVさんと連絡を重ね、Aさんが反省していることや賠償を行いたい旨は勿論のこと、Aさんが性依存症を専門とする医師の診察やカウンセリングを受けること等を誓約し、示談に応じて頂くことができました。
最終的に、Vさんは被害届を取り下げ、Aさんは検察官送致されることなく事件が終了しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫
【痴漢行為で問題となる迷惑防止条例違反】
今回Aさんが行った、Vさんの臀部を触るという行為は、俗に痴漢と呼ばれます。
痴漢は、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。
今回のAさんの事例は、神奈川県川崎市中原区での事件ですので、神奈川県迷惑行為防止条例が問題となります。
対償となる条文は以下のとおりです。
神奈川県迷惑行為防止条例3条1項 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
罰条:「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(同条例15条1項)
【検察官送致を回避する弁護活動】
刑事事件では、最初に警察官等の司法警察員が捜査を行い、その記録を検察官に送致し、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断する場合が一般的です。
身柄拘束されている事件では、警察官等は逮捕から48時間以内に身柄と書類を検察官に送致しなければいけませんが、Aさんのように在宅事件の場合は特に時間の制約はありません。
いずれの場合も原則としてすべての事件を検察官送致する必要があるのですが、
①微罪処分に付するとき
②これ以上の捜査が必要ではないとき
については、警察官は検察官送致することなく事件の捜査を終了します。
①について、これは各都道府県の検察庁が予め微罪処分に付することができる罪名が決められていますが、概ね
・比較的軽微な犯罪であること
・前科前歴がなく常習性がないこと
・被害者が刑事処罰を望んでいないこと
が要件になると考えられます。
微罪処分の場合も、所管の検察庁に書類で報告が行われますが、それにより検察官から取調べを受ける等は基本的にありません。
次に②については、
・真犯人が別にいた
・捜査の結果、当該行為が罪に当たらないと判断された
・被害者が告訴を取り消した
・被害者が被害届を取り下げた
等の場合に、捜査を終了することが考えられます。
このうち告訴取消について、親告罪(名誉毀損罪や過失傷害罪などが対象で、痴漢は親告罪に非ず)の場合は刑事告訴がなければ検察官は起訴することができないので、警察の捜査段階で告訴取消を受けた場合は検察官送致をしなくても良いと判断される場合があります。
他方で被害届については、被害届が提出されなかったとしても捜査機関は捜査し起訴することが出来ますが、警察官が「被害者が被害届を取下げているため刑事処罰を求めないのだろう」と判断して、検察官送致することなく捜査を終結することが考えられます。
今回のAさんの痴漢事件の場合、性犯罪ですので微罪処分の対象になるとは考えにくいです。
よって、被害届取下げにより被害者の処罰感情がなくなったと警察官が判断したため、検察官送致することなく事件の捜査を終了したと考えられます。
この被害届の取下げ(あるいは刑事告訴の取消)を示談交渉で求める場合、当事者同士での話し合いで解決することは法的には可能です。
しかし、捜査機関としては「当事者同士で示談をして被害届を取下げたのは、加害者の脅迫や強要により被害者が仕方なくしたのではないか」と疑念を抱かれる可能性があります。
そのため法律の専門家であり第三者である弁護士に弁護を依頼して、示談交渉を行い、被害届を取り下げることで、検察官送致を回避することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、痴漢事件などの性犯罪事件を数多く経験してきました。
検察官送致を回避するためには、警察官の捜査が終了する前に弁護活動を行う必要があるため、すぐに弁護士に相談した方が良いでしょう。
神奈川県川崎市中原区にて、痴漢事件で捜査を受けていて検察官送致を回避したいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。