背任罪

背任罪

他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法247条)。

「他人のためにその事務を処理する者」とは、委託者のために財産上の事務処理をする者をいいます。

「任務に背く行為」とは、事務処理者として行為時の事情下で委託者のために信義則上当然行うべく期待される行為に反することをいいます。

例えば、融資担当者による不正融資・不良貸付、粉飾決算などが挙げられます。

「財産上の損害を加えたとき」とは、判例上、「経済的見地において本人の財産状態を評価し、被告人の行為によって、本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかったときをいう」(最決昭和58・5・24)とされています。

「経済的見地において」という点が重要なのですが、例えば金融会社の担当者による不良貸付(返済の見込みがない相手に貸付を行うこと)についてみると、貸付である以上、法律上は金融会社には「貸したお金を返してください」という債権が生じています。

とすると、金融会社には法律上、損害はないとも思えます。

しかし、その債権を経済的見地からみた場合、回収の見込みがない以上、会社には「財産上の損害」が生じていると判断されるのです。

したがって、背任罪が成立しうることになります。

 

事例

X銀行の取締役であるAさんは、あるとき、懇意にしていた知人が経営するY社に対して、多額の無担保での貸付を行いました。
このとき、Aさんは、すでにY社が返済するだけの資力を有していないということについて知りながら、融資をしました。
1か月後、Y社は倒産し、Aさんがした貸付の債権は回収不能となってしまいました。
Aさんのこの貸付について、背任罪は成立するのでしょうか。

 

(解説)

貸付をする銀行にとっては、一般的には、担保がないよりはあった方いいといえるでしょう。

かといって、貸付担当者による無担保の貸付が全て背任罪における「任務に背く行為」にあたるかというとそうでもありません。

本人としてはあくまで誠実な職務遂行と思ってした貸付が、結果的に銀行に損害を与えるような結果を招いてしまう場合もあるでしょう。

「任務に背く行為」、つまり事務処理者として行為時の事情下で委託者のために信義則上当然行うべく期待される行為に反する行為にあたるといえるか判断するにあたっては、行為者の立場、職務の内容、背任と疑われる行為の態様、行為者の認識など様々な事情を丁寧に検討する必要があります。
  
今回のケースでは、Aさんは当時Y社が十分な資力を有さないことを知っているにもかかわらず、あえて無担保で融資を行っているため、この場合担保を取るべきという銀行が信義則上Aさんに当然期待するところに反しているといえ、背任罪の成立が認められる可能性が高いと言えそうです。

 

背任事件における弁護活動

1 不起訴処分・無罪判決の獲得

身に覚えがないにもかかわらず、また自分としては誠実な事務処理をしていたはずなのに、背任の容疑をかけられて捜査対象になってしまう場合があります。

そんな時は、決して偽の自白をしたりせず、速やかに弁護士に依頼し無実を証明してもらいましょう。

弁護士は、依頼者に背任罪が成立しないことなどを、証拠に基づき捜査機関や裁判所に主張し、嫌疑不十分による不起訴処分や無罪判決を勝ち取ることを目指します。

 

2 示談交渉

背任罪にあたる行為をしたことに争いがない場合、早期に示談を成立させて事件化を防いだり、事件化した後も示談による不起訴処分や執行猶予・減刑を目指すこととなります。

背任の容疑により逮捕・勾留されている場合にも、示談が成立すれば、早期の釈放・保釈の可能性が上がります。

 

3 情状弁護

背任罪の疑いに争いがないまま裁判になってしまった場合、事件や被告人に関する様々な事情を主張し、執行猶予・減刑を目指します。

背任事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士に一度ご相談ください。

刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

 

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