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【報道解説】女性に抱きついて逮捕 暴行罪と不同意わいせつ罪

2024-07-02

【報道解説】女性に抱きついて逮捕 暴行罪と不同意わいせつ罪

淫行

面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県逗子警察署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、逗子市内の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している
署によると、エレベーターには2人しかいなかった。
面識はなかったという。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道を参考に、場所等の事実を変更したフィクションです。)

【抱きつきは暴行罪になる?】

今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【抱きつきは不同意わいせつ罪になる?】

報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の不同意わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては不同意わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

令和5年7月13日の刑法改正によって、以前は「強制わいせつ罪」とされていた罪が「不同意わいせつ罪」と改定されました。

不同意わいせつ罪とは、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をすることを処罰するとしています。
具体的な行為や事由として、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること等」、「アルコールやは薬物を摂取等」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益」の8項目が列挙されています。

不同意わいせつ罪が成立すると、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑が科されます。

そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の不同意わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。

このように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、不同意わいせつ罪や未遂罪が成立する可能性があります。

【抱きつきで刑事事件化したら】

取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。

先ほど説明した暴行罪と不同意わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱き着いて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

2024-06-28

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

神奈川県で業務上横領の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

「会社の口座から自身の口座に振り込み入金し、現金を着服したとして、神奈川県警本部と山手署は1日、業務上横領の疑いで、麺類製造・販売会社元経理担当で自称パート従業員の男(48)=横浜市=を逮捕した。」
(令和5年2月2日に埼玉新聞で配信された報道より、事実を一部変更したフィクションです。)

【意外に罪が重い業務上横領罪】

今回取り上げた報道では、男性が業務上横領罪の疑いで逮捕されています。

業務上横領罪は刑法253条に規定する犯罪で、「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立する犯罪です。
業務上横領罪が成立する場合としては、会社から割り当てられた業務として会社の備品を管理する業務を担っていた人が管理している会社の備品を転売した場合や、経理として会社の口座を管理している人が会社の口座から自分の口座へと送金して会社の資金を着服した場合などが考えられます。

このような業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっています。
法定刑に罰金が定められていませんので、仮に検察官が業務上横領罪で起訴するという判断をした場合は、略式起訴することができず正式な裁判が開かれることになります。

【業務上横領罪が会社に発覚したら?】

会社の資金を着服してしまったなどの業務上横領罪に当たる行為をしてしまった場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
業務上横領罪については、まず最初に会社内部で調査が行われて、調査の結果、会社が業務上横領罪について刑事告訴をしたところで警察などの捜査機関が捜査に乗り出すという流れで刑事事件化することが多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に寄せられる業務上横領の相談事例についても、まず会社側が業務上横領の事実を認識し、横領が疑われている方と会社側で話し合いを行い、横領した金額を返せば、会社側は被害届や刑事告訴を行わないと申し入れるケースが見受けられます。

そのため、業務上横領罪について会社が被害届や刑事告訴する前に、弁護士を通して会社に対して謝罪や横領金額の返金などの示談交渉をして、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった形で会社と示談を締結することができれば、警察が業務上横領罪について捜査に乗り出す前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。

また、被害を受けた会社側も、少しでも横領された金額が返金されることを望むことが多いので、横領を疑われている方の段階的な財産処分を通じて被害弁償をすることで、事実上の示談が成立することもあり得ます。

このように業務上横領罪を刑事事件化する前に当事者間で示談ができれば業務上横領罪の前科を付けずに事件を解決することができるでしょう。
そのような解決を目指すには、業務上横領罪が会社に発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県で業務上横領罪が会社に発覚してお困りの方や、業務上横領罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】大麻栽培の大麻取締法違反で逮捕

2024-06-24

【事例解説】大麻栽培の大麻取締法違反で逮捕

神奈川県茅ケ崎市の大麻栽培で大麻取締法違反で逮捕された刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例紹介】

神奈川県茅ケ崎市の自宅で営利目的に大麻草を栽培していたとして、中国人の留学生の男2人が逮捕されました。
大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのは、茅ケ崎市に住む中国人の留学生A容疑者(23)ら2人です。
警察によりますと、2人は15日、茅ケ崎市内の自宅で、大麻草それぞれ1本を栽培した疑いが持たれています。
2人は容疑を否認しているということです。
2人の自宅からは大麻草の鉢や小分けにするための道具などが押収されていて、警察は2人が大麻を密売していた可能性があるとみて調べています。
(令和5年9月18日のテレ朝NEWSの記事を元に、場所等の事実を改変したフィクションです。)

【大麻栽培の罪と営利目的の加重】

大麻取締法では、大麻について所持していたり、譲り渡したり、逆に譲り受けたりといった、大麻に関係する様々な行為を規制の対象にしています。
このような大麻取締法で規制される行為のひとつには大麻を栽培した場合も含まれています。

具体的な規定を見てみますと、大麻取締法24条1項では、「大麻を、みだりに、栽培し…た者は、7年以下の懲役に処する」と規定しています。
また、大麻取締法24条2項では、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300百万円以下の罰金に処する」と規定されています。

【薬物犯罪の捜査の特徴】

上記刑事事件において、被疑者らは大麻取締法違反の疑いで逮捕されたと報道されましたが、おそらく、逮捕に引き続きさらに10間の身体拘束(勾留)が決まる可能性が高いと見込まれます。
勾留とは、被疑者が住所不定であったり、逃亡や、罪証隠滅(証拠隠滅)をする恐れが見込まれる場合に、検察官が請求し、裁判官が認めることで、10日間の身体拘束を決定する手続きを言います。
さらに、勾留の満期にあたり、さらに最大10日間の勾留延長が決定した場合、合計20日間の身体拘束となる可能性もあります。

大麻取締法違反の薬物犯罪では、薬物の売買等の犯行の広がりから、複数犯あるいは組織的な犯罪になる可能性が高く、口裏合わせ等による罪証隠滅が強く疑われる傾向があります。

また、仮に釈放してしまった場合、薬物は軽量で可燃性であるため、他の犯罪に比べて証拠隠滅が比較的容易とされています。
それゆえ、薬物犯罪は、一般的に罪証隠滅が強く疑われる性質があり、勾留が決定しやすい犯罪類型と言われています。

また、勾留が決定した場合、通常であれば、勾留された被疑者は家族等との面会が許されるのに対し、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると判断した場合は、被疑者が弁護人以外の人と面会することをを禁止したり、弁護人以外の人と手紙のやり取りをすることを制限することができ(刑事訴訟法81条)、これを「接見等禁止」と呼ぶことがあります。

上記の薬物犯罪の共犯や組織犯罪に結びつく性質から、薬物犯罪の刑事事件では、一般的に、勾留決定にあたって接見等禁止決定が付くことが多いとされています。

【接見等禁止決定が付されている家族と面会したい方は】

接見等禁止決定が付されて長期間にわたって面会できないという状況は、身柄を拘束されているご本人様や、身柄が拘束されている被疑者のご家族様にとって、大変重い苦痛であると思います。
そのため、接見等禁止決定が付されて大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

接見等禁止決定が付されている場合、弁護士は、接見等禁止決定の全部または一部を解除するように裁判官に申立てることができます。
このような接見等禁止決定の全部または一部の解除決定は、刑事訴訟法上に具体的な規定が置かれているわけではありませんが、弁護士が裁判官に働きかけて、裁判官の職権の発動を促すという形になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県茅ケ崎市で大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県横浜市戸塚区の電車内の乗客同士の喧嘩で傷害罪 現行犯逮捕で身柄解放

2024-06-20

【報道解説】神奈川県横浜市戸塚区の電車内の乗客同士の喧嘩で傷害罪 現行犯逮捕で身柄解放

破壊

電車トラブルによる傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道解説】

神奈川県在住の会社員男性A(25歳)は、会社帰りのJR東海道線の電車内で、同じ車両にいた会社員V(40歳)の顔を殴って鼻骨骨折させたとして、傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
神奈川県警戸塚警察署の調べでは、Aは電車内で座り込んでいたところ、Vに「電車内で座るな、邪魔だ」と言われ逆上し、Vに暴行を加えたとのことで、Aは逮捕容疑を認めている模様です。
(令和4年6月23日の神奈川新聞「カナコロ」の記事をもとに、犯行場所等の事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪は刑法第204条に規定されています。
傷害罪は、「人の身体を傷害した」場合に成立し、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。

刑法に規定する暴力犯罪において、傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯と言われています。
つまり、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立し、その結果「人の身体を傷害した」場合に傷害罪が成立することになります。

ここで言う「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」とされており、上記刑事事件例のように、人の顔を殴るという行為は、明確に「暴行」に該当し、その結果鼻骨骨折という傷害の結果が生じているため、傷害罪が成立することになります。

【電車トラブルから発展した傷害罪】

本来、犯罪行為が行われたからといって、すべての犯罪を警察が逮捕権を行使する訳ではありません。
警察は、逮捕のような強制処分ではなく任意の方法で捜査を進めることが原則とされており、逮捕が必要な場合には、裁判所が逮捕を必要と判断し、逮捕を許可して逮捕状を発行することが必要とされています(通常逮捕)。

しかし、上記刑事事件例のように、電車トラブルによる傷害罪という事案では、多くの人の目の前で傷害罪という犯罪が行われるため、逮捕状の発行を必要としない「現行犯逮捕」される可能性が非常に高いと言えます。
電車トラブルによる傷害罪で現行犯逮捕されてしまうと、そのまま警察の留置場で身柄を拘束されることになるため、それ以後、会社や学校に行けなくなる等の社会的不利益が生じます。

【傷害罪の刑事弁護活動】

そのため、電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕された場合、まずは早期に身柄を解放してほしいというニーズが考えられます。

被疑者が逮捕されると、警察は事件を検察官に送致します。
検察官は、逮捕に引き続いて被疑者の身柄を最大10日間拘束する「勾留」の必要の有無を判断し、検察官が勾留請求してこれを裁判所が認めると勾留が決定していまいます。
さらに勾留の満期において、さらに最大10日間の勾留延長が可能であるため、被疑者は最大20日間勾留されることもあり得ます。

これだけ長期間身柄が拘束されると、会社を解雇されたり、会社を辞職せざるを得なくなったり、その他重い懲戒処分を受けたり、様々な生活に支障をきたすことになるでしょう。
このような逮捕事案では、逮捕された段階ですぐに刑事事件の経験豊富な弁護士に弁護を依頼し、勾留が決定されることを回避する活動をしてもらうことで、早期に身柄が解放できるよう手を打つことをお勧めします。

【傷害罪の刑事弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪等の逮捕事案を数多く受任し、勾留阻止のための活動を数多く経験し、勾留阻止による早期釈放の実績を多数挙げております。
電車トラブルの傷害罪で逮捕されお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。

飲酒運転を疑われて遠方で逮捕されたらどうなる?考えられる不利益は?報道事例を踏まえて検討

2024-05-09

飲酒運転を疑われて遠方で逮捕されたらどうなる?考えられる不利益は?報道事例を踏まえて検討

自動車事故

神奈川県に住む男性が宮城県石巻市での飲酒運転の嫌疑で逮捕されたという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【報道】

5日午後、宮城県石巻市の市道で酒を飲んで乗用車を運転したとして神奈川県に住む男が逮捕されました。
男は観光で宮城を訪れ、車はレンタカーでした。
男は「酒を飲んだが車は運転していない」と容疑を否認しています。

酒気帯び運転の疑いで逮捕されたのは神奈川県に住む自称会社員の男(44)です。
警察によりますと、男は5日午後1時半頃、石巻市千石町の市道で酒を飲んで乗用車を運転した疑いが持たれています。
男がパーキングから車を出そうとした際、ゲートバーに衝突する事故を起こし飲酒が発覚しました。
警察に対し男は「酒は飲んだが車は運転していない。飲酒運転の事実は何かの間違いだ」と容疑を否認しています。
男は観光で宮城を訪れ、車はレンタカーでした。警察が当時の状況などを詳しく調べています。

≪TBS NEWS DIG  2024年5月6日(月) 07:14「飲酒運転は何かの間違い」観光で訪れレンタカーで事故起こし飲酒発覚 44歳の男を酒気帯び運転容疑で逮捕 宮城・石巻市≫

【飲酒運転で問題となる罪】

ご案内のとおり、飲酒運転が法律に違反します。
では、どのような罪にあたりどのような刑罰に処されるのでしょうか。
以下で解説します。

・酒気帯び運転
飲酒運転事件の場合、基本的に運転中あるいはその前後を捜査機関に目撃された後、その場で呼気検査を行うことで罪に当たるのか確認します。
その結果、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上だった場合、酒気帯び運転とされます。
なお、Aのように停車中に発覚した場合であっても、居酒屋付近の防犯カメラの映像や居酒屋店員の供述次第で、停車していた場所まで飲酒運転をしていたという立証を行うことができれば、捜査機関が酒気帯び運転を現認していなかった場合でも立証することはできると考えられます。

酒気帯び運転に関する条文は以下のとおりです。

道路交通法65条1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
道路交通法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
同4号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

・酒酔い運転
酒酔い運転は、酒気帯び運転より酷く酒に酔った状態で運転をした場合に成立します。

飲酒運転が酒気帯び運転なのか酒酔い運転なのかについては、呼気検査で呼気に含まれているアルコールの量や、応答の様子、歩行検査(直線を、ふらつかず直進で歩行できるかどうか)等により判断されます。
ここで注意したいのは、酒酔い運転のアルコール基準値自体はないという点です。
酒酔い運転で捜査される方の多くは酒気帯び運転の基準値の数倍が検出されて検挙に至る場合が多いですが、アルコールにとても弱い人などが呼気検査を受けて0.15mg/L未満だった場合でも、歩行検査や応答の様子が明らかに酒酔いの状況であると判断された場合、酒酔い運転として捜査の対象になります。

酒酔い運転に関する条文は以下のとおりです。

道路交通法117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
同1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

【県外で逮捕されたらどこで拘束される?在宅だった場合は?】

まず、飲酒運転のような事件では、警察官が最初の捜査を行い、検察官に送致することになります。
検察官は国家公務員ですが、警察官は都道府県単位の地方公務員です。
そのため、基本的に事件が発生した場所を管轄する警察署の警察官が捜査を行うことになります。

今回の事例であれば、飲酒運転を疑われている男性は神奈川県にお住まいとのことですが、飲酒運転を疑われている場所は宮城県石巻市ですので、宮城県警察が捜査を行うことになります。
そのため、逮捕された場合、宮城県内の警察署の留置施設や拘置所に身柄拘束されることになると考えられます。
そして逮捕から72時間以内に宮城県の検察官が裁判所に勾留請求をして勾留が認められれば身柄拘束が続き、勾留請求をしないあるいは勾留請求が却下された場合には、釈放されて在宅で捜査されます。
逮捕・勾留されて起訴されれば、原則として現地の裁判所で裁判を受けることになります。
今回のケースで仮に勾留され起訴された場合、仙台地方裁判所あるいはその支部にて裁判を受けることになると考えられます。

一方、在宅で捜査を進められる、あるいは釈放されて捜査が進められる場合、現地の警察署で捜査が行われます。
被疑者(容疑者)の方が現地の警察署に行って取調べを受けるか、警察官が被疑者の家の近くの警察署に出張して取調室を借りて取調べが行われます。
そして事件は管轄の検察庁の検察官に送致されますが、その後、被疑者の住所地を管轄する検察庁の検察官に「移送」されることもあります。
移送された後は、被疑者の自宅近くの検察庁で改めて取調べが行われ、起訴された場合には自宅近くの裁判所で裁判を受けることになります。
よって、仮に今回のケースで勾留されずに起訴された場合、宮城県警察の警察官が捜査し、仙台地方検察庁あるいはその支部の検察官に事件送致されたのち、神奈川県の横浜地方検察庁あるいはその支部に移送され、そこで取調べを受けることになります。

【当事務所の強み】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌から福岡まで全国12支部体制で刑事事件・少年事件の弁護活動を行っています。
当事務所では各支部間で連絡・協力し乍ら事件処理をしているため、
●移送されたら弁護士が一から対応する必要がある
⇒他支部との連携ができるため移送された場合もスムーズに対応できる
●対面で弁護士に話を聞きたいが遠方なので難しい
⇒他の都道府県で家族が逮捕・勾留されていても、最寄りの弁護士が対面で説明できる
など、他の都道府県で家族が身体拘束されている場合でも極力不利益が生じないよう事件対応を進めています。

神奈川県にお住まいの方で、飲酒運転などの嫌疑で家族が他の都道府県で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
まずは逮捕・勾留されている場所の最寄りの支部から弁護士が初回接見サービス(有料)を行い、今後の見通し等について御説明致します。

建物などへの放火はどのような罪に問われる?放火事件を起こして自首した場合にはどうなる?

2024-05-06

建物などへの放火はどのような罪に問われる?放火事件を起こして自首した場合にはどうなる?

放火

神奈川県川崎市にて建物に放火したという事例を想定して、成立する罪と自首について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が記述します。

【ケース】

神奈川県川崎市在住のAさんは、川崎市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、イライラしていたところVさん宅(一軒家)の前を通ろうとしたとき、子どもが自転車で飛び出してきてAさんは轢かれそうになりました。
沸点が最高潮に達したAさんは、自身が持っていたライターのオイルをVさん宅の門扉にかけて、火を付けました。
その後すぐにその場を離れたAさんですが、罪悪感に駆られ、弁護士による無料相談を受けて成立する罪と自首することのメリットについて質問しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【放火はどのような罪?】

今回、ケースのAさんはVさん宅の門扉に火を付ける、放火と呼ばれる行為をしました。
放火をした場合に問題となる罪については、火をつけたものが何で、それが自分の所有している物であるか否かにより異なります。

・現住建造物等放火

人が住んでいる家やアパート、あるいは現に人がいる建物などに放火をした場合、現住建造物等放火罪に当たります。
現住建造物等放火罪の条文は以下のとおりです。

刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

・非現住建造物等放火

人が住居として使用していない建物などに放火をした場合には、非現住建造物等放火罪に当たります。
非現住建造物等放火罪の条文は以下のとおりです。

刑法109条1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。

・自己所有非現住建造物等放火

自分が所有している空き家などを放火した場合、自己所有非現住建造物等放火罪が適用されます。
ただし、公共の危険がない場合(不特定・多数の生命・身体・財産に脅威を及ぼす状態)であれば罰しないとされています。

刑法109条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

・建物等以外放火

車や鉢植えなど建造物以外のものを放火した場合は、建造物等以外放火罪に当たる可能性があります。
建造物等以外放火罪の条文は以下のとおりです。

刑法110条1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

・自己所有建造物等以外放火

建物以外の物で、自分の持ち物を放火した場合には、自己所有建造物等以外放火罪に当たる可能性があります。
自己所有建造物等以外放火罪の条文は以下のとおりです。

刑法110条2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

今回のAさんの場合、対象物が門扉であることから、建造物等以外放火罪の成立が考えられます。
門扉は住宅の壁やドアとは異なり、建造物の一部とは認められないためです。
但し、門扉と自宅が極めて近く、門扉に火を付けたことで建造物にも延焼することを想定して放火した場合、現住建造物等放火未遂罪に当たります。

【自首とは?】

今回のAさんは、捜査機関から連絡が来る前に弁護士事務所に相談のうえ、警察署に行きました。
捜査機関が捜査を行う前に捜査機関に自ら出頭した場合、自首が成立します。
自首については、刑法で以下のとおり規定されています。

刑法42条1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

捜査機関から連絡が来ていない場合でも、既に捜査機関が犯人を「被疑者」と特定して捜査が行われていた場合には、自首が成立しません。
自首が成立することにより、
・「刑を減軽」されるかもしれない
・いつ逮捕されるか分からないという不安におびえなくて良い
・自首することで逃亡や証拠隠滅のおそれがないとして、逮捕・勾留されるリスクが下がる
というメリットがあります。

しかし、自首した場合には前科調書が作成され、捜査機関のデータベースに犯歴として残るいわゆる前歴が生じるというリスクがあります。
自首する前に、捜査機関から捜査を受ける可能性、自首のメリットを知りたいという場合、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に無料相談を受けることをお勧めします。

神奈川県川崎市にて、御自身が放火の罪を犯してしまい自首を検討している場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
無料法律相談を行ったうえで、自首の同行や弁護士への依頼について丁寧にご説明致します。

道路にいたずらでセメント製のブロックを置いたらどうなる?自首の効果は?架空の事例を通じて成立する罪について検討

2024-04-30

道路にいたずらでセメント製のブロックを置いたらどうなる?自首の効果は?架空の事例を通じて成立する罪について検討

自動車事故

神奈川県茅ケ崎市にて、いたずらで公道にブロックを置いたという架空の事例を踏まえ、成立する罪と自首の意味について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県茅ケ崎市在住のAさんは、茅ケ崎市の会社に勤める会社員です。
Aさんは、ストレス発散のためいたずらをしようと考え、深夜、茅ケ崎市内の公道にセメントで出来ているブロックを路上に置きました。
その日の午後、家でテレビを見ていたAさんは、茅ケ崎市内で自身が置いたであろうブロックに原動機付自転車を運転していた新聞配達員のVさんが気づかず接触してしまい、Vさんは転倒して意識不明の重体に陥った旨を知りました。
不安になったAさんは、自首を検討し、その前に弁護士に相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【路上にセメント製のブロックを置く行為で問題となる罪】

ケースのAさんは、公道に大きなセメント製のブロックを置いています。
これが危険な行為であることは言うまでもなく、刑事事件として取り扱われることとなります。

■往来妨害罪

刑法124条1項
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

路上での往来を妨害した場合、往来妨害罪が適用される可能性があります。
ケースについては道路、すなわち陸路の往来の妨害をしたと評価されます。
陸路の往来とは、高速道路や国道・都道府県道・市町村道に限らず、事実上人が通行するための道路であっても対象となるため、公共性を有する私道などについてもその対象となります。
ただし、要件が「損壊」又は「閉塞」とされているため、大きな石やブロックを1個置いた程度では、この要件を満たさない可能性があるため、仮に往来妨害罪で捜査が開始されたとしても、最終的には往来妨害罪で起訴されないということも考えられます。

なお、歩行者や自動車等ではなく鉄道と船舶の往来を妨害した場合、往来妨害罪や道路交通法違反ではなく、より重い往来危険罪や鉄道旅客営業法などにより処罰されます。

■道路交通法違反

道路交通法76条3項 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

ケースのAさんは「セメント製のブロック」を道路に置いていることから、サイズや質量などを考慮し、交通の妨害となる恐れがあると評価され、道路交通法違反となります。
罰条は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」(同法119条1項12の4号)とされています。

■道路法違反

道路法43条 何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
2号 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。

故意に道路上に交通に支障を及ぼすおそれのある物を置いた場合、道路法に違反します。
違反した場合の罰条は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。

【自首する前に弁護士へ】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部で行っている無料相談(要予約)では、既に捜査を受けているという方だけでなく、自首をしたいと考えて無料相談に来られる方もおられます。
自首についての条文は以下のとおりです。

刑法42条1項 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

そのため、例えば捜査機関の捜査対象になっていた場合には自首は成立しません。
あくまで、捜査機関が
・そもそも事件が起こったこと自体把握していない
・事件があったことは把握しているが、誰が被疑者(犯人)なのか特定できていない
という場合にのみ、自首は成立するとされています。

自首した場合には逮捕される場合と、在宅で捜査が進められる場合があります。
いずれの場合でも、警察官などの捜査機関は自首したことについての調書を作成する必要があります。(刑事訴訟法245条、同241条、同242条)
また、自首した際に警察官が員面調書(司法警察員面前調書、俗に供述調書)を作成することが多いです。
員面調書は被疑者の他に関係者が対象となる場合がありますが、被疑者の場合、員面調書の作成に際して取調べが行われるため、その前に弁護士に相談・依頼をすることをお勧めします。

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、線路や道路に石やブロックを置くなどして刑事事件に発展したという事件の経験がございます。
神奈川県茅ケ崎市にて、道路にブロックや大きな石を置くなどのいたずらをしてしまい、自首を検討されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
逮捕・勾留されていない場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

他人に体液をかけたという架空の事例について検討―神奈川県横浜市の刑事事件・少年事件を扱う弁護士事務所

2024-04-27

他人に体液をかけたという架空の事例について検討―神奈川県横浜市の刑事事件・少年事件を扱う弁護士事務所

神奈川県横浜市西区にて、他人に体液をかけた嫌疑で逮捕されたという事架空の事例を想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県横浜市西区在住のAさんは、横浜市西区の会社に勤め会社員です。
Aさんは自身の体液をフィルムキャップに入れ、神奈川県横浜市西区の観光地にて観光中の客に対してフィルムキャップに入れていた体液をかけるという行為を繰り返し起こしていました。
複数件の通報を受けていた神奈川県横浜市西区を管轄する戸部警察署の警察官は、捜査の結果Aさんによる犯行の可能性が高いとして、Aさんを逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【体液をかけて問題となる罪―器物損壊罪】

事例でAさんが行った体液をかけるという事件で成立しうる犯罪の1つが、器物損壊罪です。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の条文の「他人の物を損壊し」というのは、器物損壊罪の「損壊」とは、広く物本来の効用を失わせしめる行為を含むとされています。
文字どおり被害品を物理的に破壊してしまうことはもちろんのこと、「(心理的な意味合いも含め)被害品を使えないだろう」という状態にしてしまうことも器物損壊罪の「損壊」に当たるのです。
例えば飲食店にて陶器の食器を意図的に床に叩きつけて割る行為は当然に器物損壊罪に該当しますが、それだけではなく、判例は食器に放尿する行為についても器物損壊罪は成立するとされています(大判明42・4・16)。
これについて、放尿されただけであれば食器自体が物理的に壊れて使えなくなるわけではありませんが、他人が放尿した食器を再び食器として使おうと思える人は少ないでしょう。
そうすると、その食器は「食器」としての効用が失われてしまうと評価され、器物損壊罪のいう「損壊」に当たるということになります。

この「損壊」の意味を考えてみると、今回のAさんの事例で、AさんはVさんの顔や衣服に自身の体液をかけており、その行為がVさんの持ち物を物理的に壊したというわけではありません。
しかし、所有者であるVさんからすれば、他人の体液をかけられた衣服やカバンなどをまた使おうという気にはならないでしょう。
そうなると、AさんがVさんの衣服などの効用を失わせしめる行為をした=器物損壊罪が成立すると考えられるのです。

【体液をかけて問題となる罪―暴行罪】

Aさんがかけた体液がVさんの所持品や衣服ではなくVさんの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。

過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。

他人に体液をかけるという行為は、不法な有形力の行使と評価される可能性があり、暴行罪が成立することが考えられます。

【事務所紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまでに数多くの刑事事件・少年事件の弁護活動を行ってきました。
ケースのように、他人に体液をかけるという事件は少なからず実在します。
今回のケースの事件について考えると、被害者への示談交渉に加え、性犯罪を専門とする医療機関等を紹介し再犯に走らないための対策を講じる必要があります。

神奈川県横浜市西区にて、他人に体液をかけるなどして暴行罪や器物損壊罪に問われている方、家族がそれらの嫌疑で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

神奈川県逗子市の人身事故で被害者が死亡してしまい逮捕されたという事例を想定して釈放を求める弁護活動について検討

2024-04-15

神奈川県逗子市の人身事故で被害者が死亡してしまい逮捕されたという事例を想定して釈放を求める弁護活動について検討

自動車事故

逗子市内で起きた人身事故の事例を想定して、釈放を求める弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が記述するブログです。

【事例】

神奈川県逗子市在住のAさんは、逗子市内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは逗子市内の公道を走行中、交差点で右折しようとしたところ直進してきたバイク(運転手Vさん)と接触するいわゆる右直事故を起こしてしまいました。
事故後Aさんはすぐに消防に通報し、Vさんは臨場した救急隊員によって病院に搬送されましたが、Vさんは死亡しました。
Aさんは過失運転致死罪で逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【人身事故について】

車やバイクといった車両を運転していて事故を起こしてしまい、被害者が死傷してしまった場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)に違反します。
ケースの場合、飲酒や薬物などの影響、あるいは無謀な運転や無免許状態での運転等を想定していない、過失(不注意)による事故を想定していますので、自動車運転処罰法の定める過失運転致傷罪、又は同致死罪により処罰されます。
条文は以下のとおりです。

自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

被害者が死亡した場合には過失運転致死罪、怪我をした場合には過失運転致傷罪と呼ばれ、刑事罰が科せられます。
イメージしやすい事件は
・車やバイクで歩行者や自転車を跳ねてしまった
・車同士や車対バイクの事故で相手が怪我をしてしまった
というものでしょう。
そのほかに、操作ミスなどで事故を起こしてしまい、歩行者や他の車両などには接触していないが、自分の車がガードレールに衝突するなどしてしまい、助手席や後部座席に乗っていた同乗者が死亡してしまった/怪我をしてしまった、という場合にも過失運転致死罪・同致傷罪が成立します。
過失運転致傷罪について、その程度は様々で、救急搬送が必要なほどの怪我は勿論のこと、むち打ち症などの比較的軽微な怪我についても、医師の診断書が出た場合には過失運転致傷罪として取り扱われます。

【釈放を求める弁護活動について】

参考:刑事手続の流れ

今回のケースでは、被疑者を逮捕したことを想定しています。
実際の人身事故で逮捕するかどうかは捜査機関の判断に依るもので、在宅で事件の捜査が進められる場合もあります。
他方で、被疑者が不合理な弁解をしていたり身元が判明されなかったりといった事情があれば、逮捕される可能性があります。
このような場合、弁護士は、釈放を求める弁護活動を行います。

逮捕直後に依頼を受けていた場合、弁護士は、勾留の請求をする検察官や勾留の判断をする勾留裁判官に対して、証拠隠滅のおそれや逃亡の恐れがないことを口頭・書面で主張し、そもそも勾留されないための弁護活動を行います。
また、仮に勾留が認められた場合、勾留に対し不服申立てを行います。(準抗告申立て)

人身事故の場合、弁護士が適切な主張をすることで釈放される可能性が高いため、すぐに弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
神奈川県逗子市にて、家族が人身事故を起こしてしまい過失運転致死罪で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
まずは弁護士が逮捕されているご家族のもとに接見に行き、アドバイスをしたうえで、接見で聴取した内容や今後の見通しについて御家族に御説明致します。(初回接見サービス:有料)

神奈川県厚木市にて20歳未満の少年が特殊詐欺の出し子をして逮捕されたという架空の事件を通じて検討する弁護活動

2024-03-27

神奈川県厚木市にて20歳未満の少年が特殊詐欺の出し子をして逮捕されたという架空の事件を通じて検討する弁護活動

前科を避けたい

特殊詐欺は、電話やインターネットを通じて行われる詐欺の一種で、高齢者を中心に多くの被害が報告されています。この記事では、神奈川県厚木市で発生した20歳未満の少年による特殊詐欺の事例を想定し、詐欺罪・窃盗罪について解説し、少年院送致を回避するための弁護活動について考察します。

1. 特殊詐欺の概要

特殊詐欺とは、電話やインターネットを利用して行われる詐欺のことを指します。
これには、オレオレ詐欺や振り込め詐欺などが含まれ、特に高齢者を狙った犯罪が多く報告されています。
加害者は、被害者の不安や心配を煽り、金銭を騙し取る手口を用います。
特殊詐欺の手口は年々巧妙化しており、社会問題となっています。
被害者は、身近な人からの電話であると信じ込み、大切な財産を失うことになります。
このような詐欺行為は、被害者に精神的な苦痛を与えるだけでなく、経済的な損失も大きいため、社会全体での対策が求められています。

2. 事例

フィクションの事例

神奈川県厚木市に住む高校生A君(17歳)は、インターネット上で「簡単に稼げるバイト」と称する特殊詐欺グループに誘われます。
A君は、グループの指示に従い、見知らぬ人から受け取ったキャッシュカード数枚をもってATMに行き、現金50万円/枚を引き出し、引き出した金の一部を報酬として受け取りその余は厚木市内に設置されているコインロッカーに入れました。
結果的にAさんは特殊詐欺の出し子と呼ばれる行為に加担してしまったこととなり、後日、捜査の結果Aさんを突き止めた神奈川県厚木市を管轄する厚木警察署の警察官によって通常逮捕されました。
この事例はフィクションですが、実際に若年層が特殊詐欺に関与するケースは少なくありません。
社会問題として注目されており、若年層の犯罪防止に向けた取り組みが求められています。

3. 詐欺罪・窃盗罪の成立要件

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる行為を指します。
具体的には、加害者が虚偽の事実を告げるなどして被害者を騙し、その結果、被害者が財物を交付することになれば、詐欺罪が成立します。
この行為には、被害者の誤信と加害者の不正の意図が必要です。

一方、窃盗罪は他人の財物を盗む行為を指します。
ここでいう「盗む」とは、他人の財物を意図的に自己のものとすることを意味し、被害者の意に反して財物を奪い取る行為が含まれます。
窃盗罪の成立には、他人の財物に対する占有の侵害と、不法領得の意図が必要とされます。

A君の行為は、被害者Bさんを欺いて金銭を騙し取ろうとしたため、詐欺罪の成立が考えられます。
A君が直接的にBさんの財物を奪い取ったわけではないため、窃盗罪は成立しない可能性が高いですが、特殊詐欺の手口によっては、窃盗罪に該当するケースもあり得ます。
法律上、これらの犯罪は重大な刑事罰の対象となり、加害者には厳しい処罰が科されることがあります。

4. 少年院送致の可能性と回避策

20歳未満の者が犯罪行為をした場合、その事件は少年法の適用を受け、保護処分を課せられることがあります。
そのうちのひとつが、少年院送致です。
少年院送致は、少年が犯した罪に対する刑罰ではなく、少年の更生を目的とした保護処分の一つです。
しかし、少年院送致は少年の将来に大きな影響を与えるため、可能な限り回避することが望ましいとされています。

少年院送致を回避するためには、以下のような対策が考えられます:

  1. 反省の態度を示す: 少年が犯した行為に対して真摯に反省している態度を示すことが重要です。家庭裁判所における調査や審判の過程で、少年自身が反省の意を強く表明することが求められます。
  2. 更生の意欲を示す: 少年が更生に向けて積極的に努力していることを示す必要があります。例えば、社会奉仕活動への参加や、問題行動を改善するためのプログラムへの参加などが挙げられます。
  3. 家族のサポート: 少年の家族が積極的にサポートし、更生を支援する姿勢を見せることも重要です。家族が一丸となって少年の更生を支えることで、家庭裁判所に対して少年が適切な環境で育っていることをアピールできます。
  4. 被害者との和解: 特殊詐欺などの犯罪で被害者がいる場合、被害者との和解を図ることが少年院送致を回避するために有効です。被害者への謝罪や、可能であれば被害の弁償を行うことで、少年の更生に対する真剣な姿勢を示すことができます。

これらの対策を講じることで、少年院送致を回避し、少年が社会に再び適応していくための支援を受けることが可能になります。

5. 弁護活動の重要性

特殊詐欺に関与した少年が少年院送致を回避し、社会復帰を目指すためには、専門の弁護士による適切な弁護活動が不可欠です。
弁護士は、少年の更生を支援し、被害者との間で適切な示談を行うことで、最終的な処分を軽減することを目指します。

弁護士による支援のポイント

  1. 少年の立場の理解: 弁護士は、少年がどのような環境や背景のもとで犯罪に関与したのかを理解し、その上で最適な支援を提供します。
  2. 法的アドバイスの提供: 少年とその家族に対して、法的な立場や今後取るべき手続きについてのアドバイスを行います。これにより、少年と家族が法的なプロセスを正しく理解し、適切に対応できるようになります。
  3. 被害者との和解交渉: 特殊詐欺事件では、被害者との和解が重要なポイントとなります。弁護士は、被害者との間で和解交渉を進め、双方にとって納得のいく解決を目指します。
  4. 少年法の適用: 少年法は、少年の更生と社会復帰を最優先に考えた法律です。弁護士は、少年法の適用を受けるための手続きをサポートし、少年が適切な保護処分を受けられるように努めます。
  5. 少年の更生支援: 弁護士は、少年が社会に再び適応していくための支援を行います。これには、教育や職業訓練の機会の提供、心理的なサポートなどが含まれます。

弁護士による適切な弁護活動を通じて、少年が一時的な過ちから学び、正しい道へと戻ることができるよう支援することが、社会全体の利益にも繋がります。


6. 事例に見る弁護活動のポイント

A君のケースでは、弁護士はまず、A君が犯した行為の重大性と法的責任を理解させることから始めます。
次に、被害者Bさんとの間で示談交渉を行い、A君が真摯に反省していることを裁判所に訴えます。

弁護活動の具体的なステップ

  1. 事実関係の確認: 弁護士は、A君がどのような経緯で特殊詐欺に関与したのか、詳細な事実関係を確認します。この過程で、A君自身の言葉で事件の経緯を語ってもらうことが重要です。
  2. 法的解説: A君とその家族に対して、詐欺罪や少年法の適用についての法的な解説を行います。これにより、A君と家族が自身の立場を正確に理解し、今後の対応を考える上での基礎知識を得ることができます。
  3. 反省文の作成支援: A君が裁判所や被害者に対して反省の意を示すため、反省文の作成を支援します。この文書は、A君の反省の深さを伝える重要な手段となります。
  4. 被害者との和解交渉: 被害者Bさんとの和解を図るため、弁護士が中心となって交渉を進めます。和解が成立すれば、A君に対する処分が軽減される可能性が高まります。
  5. 裁判所への対応: 家庭裁判所における審判手続きにおいて、A君の更生の意欲や家族のサポート体制など、A君に有利な情報を積極的に提供します。また、必要に応じて専門家の意見を取り入れることも検討します。
  6. 更生プログラムの提案: A君が再び社会で健全に生活できるよう、更生プログラムへの参加を提案します。これには、職業訓練やカウンセリングなどが含まれる場合があります。

A君のケースを通じて、特殊詐欺に関与した少年が社会復帰を果たすためには、専門的な知識を持つ弁護士による適切な支援が不可欠であることがわかります。

7. まとめ

特殊詐欺に関与した少年の更生と社会復帰を目指すためには、専門知識を持つ弁護士による適切な弁護活動が欠かせません。少年法の趣旨に則り、一時的な過ちから学び、正しい道へと導くことが重要です。

弁護活動の役割

  • 少年の保護と更生: 弁護士は、少年が再犯のリスクを減らし、社会に再び適応できるよう支援します。
  • 法的プロセスのナビゲーション: 少年とその家族が、法的なプロセスを理解し、適切に対応できるよう指導します。
  • 被害者との和解: 和解は、少年にとっても社会にとっても最善の解決策となることが多く、弁護士はこのプロセスを促進します。

社会の役割

  • 予防教育の強化: 特殊詐欺をはじめとする犯罪に若年層が関与しないよう、学校教育や社会教育において予防教育を強化する必要があります。
  • 支援体制の整備: 少年が犯罪に手を染める背景には、様々な社会的要因が存在します。家庭、学校、地域社会が連携し、少年たちを支援する体制を整備することが重要です。

結論

特殊詐欺に関与した少年の事件は、単に法的な問題を解決するだけでなく、少年の将来を見据えた支援が求められる複雑な課題です。少年が健全な社会人として成長できるよう、法律専門家、教育関係者、地域社会が一体となって支援することが望まれます。

8. 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、特殊詐欺をはじめとする刑事事件に特化した法律サービスを提供しています。
私たちは、被告人及びその家族が直面する法的な課題を解決するため、専門知識と豊富な経験を持つ弁護士チームを擁しています。

私たちのミッション

  • 迅速な対応: 刑事事件は時間との戦いです。私たちは、クライアントの初期接見から法的手続きのすべてを迅速に対応し、最善の結果を目指します。
  • 全面的なサポート: クライアントとその家族が法的プロセスを理解し、安心して過ごせるよう、心理的なサポートも含めた全面的なサポートを提供します。
  • 更生と社会復帰: 少年事件においては、少年の更生と社会復帰を最優先に考え、適切な保護処分が下されるよう努めます。

私たちのサービス

  • 刑事事件全般の弁護: 特殊詐欺、窃盗、暴力事件など、刑事事件全般にわたる弁護活動を行います。
  • 少年事件の専門対応: 少年法に基づく少年事件の特性を踏まえ、少年及びその家族に寄り添った法的サポートを提供します。
  • 被害者との和解交渉: 事件の解決には、被害者との和解が不可欠です。私たちは、双方にとって最善の解決策を見出すための和解交渉をサポートします。

お問い合わせ

神奈川県厚木市にて、お子さんが特殊詐欺の出し子などの刑事事件を起こしてしまい、少年院送致になる可能性がある場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部のご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
お子さんが逮捕・勾留されている場合、初回接見サービス(有料)をご案内致します。

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