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【報道解説】神奈川県横浜市で建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕

2025-09-30

【報道解説】神奈川県横浜市で建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕

建造物侵入罪と窃盗罪の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道】

神奈川県横浜市のビルの敷地内に侵入したとしてインドネシア国籍の22歳の容疑者が逮捕されました。
神奈川県警は、このビルに入る店で高級ブランドのバッグなどおよそ900万円相当を盗んだとして、窃盗の疑いでも詳しく調べています。
逮捕されたのは、インドネシア国籍で住所・職業不詳のA容疑者(22)です。
神奈川県警によりますと、25日午前2時ごろ、神奈川県横浜市のビルの店舗の窓ガラスが割られ警備会社から通報を受けた警察官が駆けつけたところ、敷地内で容疑者を見つけ、その場で逮捕しました。
容疑者の足元にはビルに入るブランド品販売店の値札がついたままの高級ブランドのバッグやTシャツなど18点の商品およそ900万円相当があったということで、防犯カメラに盗むような様子が写っていたことなどから、神奈川県警は26日、建造物侵入と窃盗の疑いで容疑者を検察庁に送りました。
調べに対し容疑を認め「昼に一度、インドネシアの友達に頼まれたバッグをさがしにお店に1人で行った。ホテルに戻ったあと再び出かけ、このお店に泥棒に入ろうと思った」などと供述しているということです。
容疑者は今月22日に来日したばかりで、警視庁は詳しい経緯を調べています。
(令和7年9月26日に配信された「首都圏NEWS WEB」記事を参考に、一部事実を改変したフィクションです。)

【下着窃盗事件の刑事処罰とは】

他人の住居や建造物に侵入して窃盗事件を起こした場合には、「他人の財物を盗んだ」として窃盗罪に問われるとともに、住居侵入罪(建造物侵入罪)に問われるケースが多いです。
住居や庭に不法侵入した場合には「窃盗罪と住居侵入罪」が成立し、他方で、事務所や店舗等に不法侵入して窃盗事件を起こした場合には「窃盗罪と建造物侵入罪」が成立すると考えられます。

窃盗罪の刑事処罰の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とされており、住居侵入罪や建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」とされています。
窃盗事件の場合には、窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)とは、手段と目的の関係にある「牽連犯」に当たることから、成立する犯罪のうち、最も重い犯罪の刑である窃盗罪の法定刑で、刑事処罰を受ける形になります。

・刑法 第235条(窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

・刑法 第130条(住居侵入等)
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」

【被害者示談交渉による弁護活動】

他人の住居等に侵入しての窃盗事件は、被害者の存在する犯罪であるため、弁護士に示談交渉活動を依頼することで、被害者側に対して、謝罪や被害弁償・慰謝料支払いの意思を伝え、被害者からの許しの意思を含む示談を成立させることが、早期釈放や刑事処罰の軽減のための、重要な弁護活動となります。

建造物侵入による窃盗事件においては、被害者側が自分の生活領域等に侵入されたことよる恐怖心を抱いているケースが多く、加害者やその家族が、直接に被害者側との示談交渉を行うことは、原則として認められないことが多いです。
そこで、刑事事件に強い弁護士が示談交渉を仲介することで、弁護士だけに被害者側の連絡先が伝えられる形での示談交渉を進めることを、被害者側に打診することが、下着窃盗事件の示談解決に向けて必要となります。

まずは、建造物侵入による窃盗事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横浜市の建造物侵入による窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】交際相手とのトラブルから傷害罪へ

2025-09-26

【報道解説】交際相手とのトラブルから傷害罪へ

交際相手とのトラブルが暴力犯罪の刑事事件へと発展して逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

座間警察署は25日、傷害の疑いで、神奈川県座間市の自営業40代男を逮捕した。
逮捕容疑は14日午後10時15分ごろ、座間市内で停車中の車内で、交際相手の40代会社員女性に対し、髪をつかみ車から引きずり出すなどの暴行を加え、頭にけがを負わせた疑い。
(令和7年9月25日に「岩手日報ONLINE」より配信された記事を参考に、場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪(刑法第204条)は他人の身体に傷害を与えた場合に成立します。

ここで言う「傷害」とは、外傷だけでなく、内臓損傷や精神的な苦痛も含まれます。
具体的には、殴る、蹴るなどの暴力行為や、毒物を飲ませるなどの手段を通じて他人の健康を害する行為が該当します。

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金とされています。
傷害罪の法定刑においてこのような幅広い法定刑が定められているのは、傷害行為の悪質性や被害者の受けた傷害の程度等が非常に多種多様であることが想定されるためであると考えられています。

例えば、軽い負傷の場合は罰金刑で済むこともありますが、重傷を負わせた場合や、反復的な暴力行為の場合は、長期の懲役刑が科されることがあります。
また、傷害の結果、被害者が死亡した場合は、傷害致死罪(刑法第205条)が適用され、より重い罰則が科されることとなります。

【傷害罪と示談】

示談とは、被害者と加害者が話し合いにより合意し、事件の解決や紛争の終了を図る手続きです。

示談には様々な合意内容が含まれますが、具体的には、示談の過程では、被害者に対して慰謝料や治療費などの賠償金が支払われます。
このように示談が成立すると、被害者は加害者に対する被害届や刑事告訴を取り下げることを約束する場合が多く見受けられます。

示談は、加害者が事実を認めて被害者に謝罪し、同時に加害者が被害者に対して損害賠償(示談金の支払い等)をすることによって、被害者の損害を事後的に回復することになるため、刑事手続き上では、加害者の悪質性や法的責任を軽減しても良いと考える重要な判断材料(情状)となります。

そのため、加害者にとっては自分の刑事責任を事後的に軽減できる重要な手段の一つであり、不起訴処分等の軽い処罰を希望する場合には、何としても示談を成立させることが非常に重要です。

ただし、示談交渉はあくまで、加害者と被害者の自由意思が合致しなければなりません。
上記事案のように、交際相手との口論などからヒートアップして暴力行為へ発展した場合、被害者は加害者に対して恨みに思って処罰感情が高くなることが多く予想され、被害者に対して処罰感情を和らげてもらうことは一般的には難しいと言えます。

そこで、このような暴力犯罪の示談交渉が経験豊富な弁護士に頼ることで、再犯防止のための誓約等をして何とか被害者の恨みや処罰感情を和らげる経験が豊富な弁護士に依頼をすることが望ましいと言えるでしょう。

【交際相手とのトラブルが警察沙汰になってしまいお困りの方は】

今回取り上げた報道のように、交際相手とのトラブルが警察沙汰に発展した場合してしまうことがよくあります。
例えば、夫婦関係であれば、夫が家で暴れており、警察にいさめてもらうために妻が通報したところ、意図せず夫が逮捕されてしまったというケースは珍しくありません。

このように、ご家族の方が突然目の前で警察に逮捕されてしまい、何をどうしたらよいか分からず、ご不安に思っている方は、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼することをお勧めします。
この初回接見によって、今後、逮捕されたご家族の方がどのようになってしまうのか、今後についての見通しを知ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
交際相手とのトラブルがきっかけで、ご家族の方が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】電車内の痴漢事件 示談で不起訴を目指す

2025-09-22

【報道解説】電車内の痴漢事件 示談で不起訴を目指す

電車内での痴漢による迷惑防止条例違反について、主に示談の締結により不起訴を目指す刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事件概要】

女性に痴漢行為をした容疑者の男を現行犯逮捕したとして、平塚市の女子高校生に18日、警察から感謝状が贈られました。
平塚警察署から感謝状が贈られたのは、高校3年生のXさん(18)です。
Xさんは5月、平塚市で、隣を歩いていた女性の上半身を触って逃げた男を追いかけ、男が乗っていた自転車の荷台をつかんで取り押さえました。
Xさんは「その時に捕まえないと、ほかにも被害が出ると思って行動に移しました」と話していました。
警察は、夏には性犯罪などが多くなるため、出歩く際には不審な人物とは距離をとってほしいと注意を呼びかけています。

(令和6年7月19日の「福岡・佐賀 KBC NEWS」の記事をもとに、場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【不同意わいせつ罪】

不同意わいせつ罪では、「次のような行為」等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず処罰されることになります(刑法第176条第1項)。

「次のような行為」等を簡潔にまとめると、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害(おそれも含む)」、「アルコール若しくは薬物の摂取」、「睡眠その他の意識不明瞭状態」、「不同意を形成・表明するいとまがない」、「予想と異なる事態への恐怖・驚愕」「虐待に起因する心理的反応」、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8項目が列挙されています。

不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑となっています。

【痴漢(迷惑防止条例違反)】

不同意わいせつ罪に定める「暴行」等には該当しない場合でも、各都道府県が定める迷惑防止条例の痴漢の処罰規定で処罰される可能性があります。

神奈川県での痴漢の処罰について、神奈川県迷惑行為防止条例の第3条第1項は、公共の場所や乗り物で、正当な理由もなく人を著しく羞恥させるような行為を禁止しています。
具体的な行為として、衣服の上から又は直接人の身体に触れたり、卑わいな言動をしたりといった行為が痴漢として認められます。

神奈川県の痴漢の罰則については、神奈川県迷惑行為防止条例の第15条第1項により、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金とされています。

【痴漢の刑事弁護活動】

痴漢による迷惑防止条例違反の刑事事件で弁護依頼を受けた弁護士は、被疑者の不起訴処分の獲得を目指して弁護活動を行います。
痴漢行為で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談締結の有無が大きく影響されます。

被害者との示談が成立すれば、検察官も不起訴処分と判断することが実務上多いです。
反対に、被害者との示談が成立しなければ、罰金刑などの罰則が科すされて前科がつく可能性があります。

ただ、痴漢行為のような性犯罪では、当事者同士で直接示談することは非現実的なので、被害者に示談交渉を提案したい場合は弁護士への依頼が必要です。
弁護士に依頼する際は、過去に痴漢事件で示談締結をして不起訴処分を獲得した実績が数多くある、経験豊富な刑事事件弁護士に依頼することをお勧めします。

【痴漢事件の刑事弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、痴漢行為による刑事事件で不起訴処分を目的とした示談締結などの弁護活動を数多く経験し、不起訴処分を獲得した実績も多数あります。
ご家族が痴漢事件を起こしてお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談サービスをご検討ください。

【報道解説】神奈川で改造玩具拳銃所持の銃刀法違反で逮捕

2025-09-10

【報道解説】神奈川で改造玩具拳銃所持の銃刀法違反で逮捕

刃物を外に持ち出すなどして銃刀法違反で警察沙汰になった場合の、一般的な刑事手続きと刑事責任ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

実弾を発射できる構造をもつおもちゃの拳銃1丁を中国から輸入したとして、神奈川県の男性が銃刀法違反の疑いで書類送検されました。
調べに対し、「通販サイトで興味本位で購入した」などと供述しているということです。
書類送検されたのは神奈川県横浜市に住む自営業の53歳の男性です。
警察によりますと今年5月、実弾を発射できる構造をもつおもちゃの拳銃1丁を中国から関西空港経由で輸入したとして銃刀法違反の疑いが持たれています。
税関が見つけて警察に連絡しました。
拳銃はプラスチック製で一見すると、おもちゃに見えますが警察が調べたところ、金属の実弾を発射する機能があると確認されたということです。
調べに対し、「中国の商品を扱う通販サイトで1000円ほどだった。興味本位で購入したが違法な拳銃だとは思わなかった」などと供述しているということです。
同じような見かけがおもちゃで実弾を発射できる構造の拳銃は国内のゲームセンターのクレーンゲームの景品として出回るなどしたため回収が急がれています。
警察は安易に購入せず、もし、持っていた場合は、警察に届け出てほしいと呼びかけています。
(令和7年9月11日の「NHK NEWS WEB」の記事を参考に、事実を一部変更したフィクションです。)

【違法と認定された玩具拳銃は所持しないこと】

従来より、実銃に近い精巧な設計のものや、破壊力を向上させたカスタムを施したものなど、エアガンやモデルガンが銃刀法に抵触するとして処罰されてきた経緯があります。

上記刑事事件例の背景として、インターネット通販サイトで販売されている海外製の玩具拳銃の一部に、真正拳銃と同様の発射機能を有する違法な製品が確認されているとして、警察庁が、このような違法な玩具拳銃の所持者に対して任意の提出を呼び掛けていた経緯があります。

このような危険な構造の製品は、玩具と称していても真正拳銃に該当するため、国内で所持や販売した場合は犯罪となると呼びかけていた中で、上記の事件が起きたこともあり、警察は慎重に捜査を進めて刑事責任の有無を追及していくものと思われます。

【銃刀法違反が刑事事件化するケースの例】

一般に、警察官は「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある」人を「停止させて質問することができ」ます(警察官職務執行法第2条第1項)。
ただし、同条第3項では、「その意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない」とありますので、あくまでも職務質問は任意です。

とはいえ、警察官の職務質問の実効性をあげるうえで、必要性・緊急性等も踏まえ、任意の捜査であっても、具体的状況下では警察官による有形力の行使が認められると解されています(最高裁判例)。

また、正当な理由なく、刃渡り5.5cm以上の剣・あいくち、その他、刃の長さが6センチを超える刃物等を所持していた場合、銃刀法違反で罰則を受ける可能性があります。
例えば、刃の長さが6センチを超える刃物を正当な理由なく所持していた場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(銃刀法第31条の18)。

上記事例のように、銃刀法違反と疑われる刃物の所持が、外部から見て取れる場合には、「疑うに足りる相当な理由」があるとして警察官の質問を受けることになるでしょう。

いずれにせよ、警察官の任意の捜査であっても、強硬な態度や反抗的な態度はとらず、疑われている事実を聞き、その合理性を判断したうえで捜査協力に応じるべきでしょう。

一般に、何らかの正当な理由で刃物を所持していたのであれば、警察官に対して真摯にその理由を釈明すべきですし、何の理由もなく警察官の任意捜査に応じない場合には、人に言えない不法な理由で刃物を所持していたとの疑いを強めますので、逮捕リスクを高めてしまうことにつながることを自覚しておくべきです。

ですので、基本的には警察官の事情聴取等の任意捜査に応じつつ、その時点では逮捕されるリスクは低いと思われ、家に帰されることが多いと思われますので、捜査を終えた時点で、刑事事件の可能性についてすぐに弁護士に相談することをお勧めします。

神奈川県で違法な拳銃や刃物等を所持して銃刀法違反で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方またはそのご家族は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

【報道解説】神奈川県横浜市のリベンジポルノと脅迫の逮捕事件

2025-07-20

【報道解説】神奈川県横浜市のリベンジポルノと脅迫の逮捕事件

神奈川県横浜市のリベンジポルノによる脅迫で逮捕されたリベンジポルノ防止法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

いわゆるリベンジポルノで元交際相手だった女子生徒を脅したとして、脅迫罪の疑いで、神奈川県横浜市在住の男性(21歳、会社員)が、神奈川県戸塚警察署で逮捕された。
警察によると、男性は、元交際相手の10代の女子生徒に対して、「これ以上相手の男と関わったら学校中に動画ばらまくぞ」と脅迫した疑いが持たれている。
男性は女子生徒と破局後に、女子生徒が別の男性と親しくしているところを見て、脅迫行為に及んだとみられる。
女子生徒が警察に被害届を出して、事件が発覚した。
警察取調べに対して、男性は「脅迫したことに間違いありません」と容疑を認めていて、警察は日常的に脅迫行為がなかったかなど詳しい事件の経緯を調べている。
(令和7年6月20日に配信された「MBSニュース」の記事を参考に、事件場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【リベンジポルノ防止法の刑事処罰とは】

リベンジポルノを防止する目的で、平成26年11月に、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)が施行されました。
私的に撮影した性的画像等を、インターネット上にアップロードした場合には、リベンジポルノ防止法違反に当たるとして、「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」という刑事処罰が科される可能性があります。

・私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第3条1項
「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

同様に、「私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者」にも、「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」という刑事処罰が科されます。(第3条2項)

また、上記に挙げたリベンジポルノ行為をさせる目的で、「電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者」には、「1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金」という刑事処罰が科されます。(第3条3項)

【リベンジポルノ防止法の「私事性的画像記録」とは】

リベンジポルノ防止法では、取り締まりの対象とされる「私事性的画像記録」として、以下のものが挙げられています。

・性交又は性交類似行為に係る人の姿態
・他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
・衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

ただし、撮影対象者の側が、「撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の第三者が閲覧すること」を認識した上で、任意に撮影を承諾したものは、取り締まりの対象とされる「私事性的画像記録」には、該当しません。

まずは、リベンジポルノ脅迫事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横浜市のリベンジポルノ脅迫事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県横浜市の性犯罪の同種前科がある事例と執行猶予判決

2024-10-02

【報道解説】神奈川県横浜市の性犯罪の同種前科がある事例と執行猶予判決

逮捕されてしまったら

盗撮等による性犯罪において同種前科による刑事罰への影響について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

2023年に、神奈川県横浜市内の小学校の教室で女子児童の着替えを盗撮し、性的姿態等撮影などの罪に問われた元講師の男性の裁判で、横浜地方裁判所は2024年5月16日に、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
判決などによると、元小学校講師の男性(23歳)は、2023年10月中旬から12月上旬までの間に、当時勤めていた横浜市内の小学校の教室で、女子児童の着替えをペン型のカメラで盗撮するなどした。
16日の判決公判で、裁判官は「立場を悪用した犯行は悪質で、身勝手な動機」と指摘した。
一方で、本人がカウンセリングの受診など再犯防止に向けた取り組みを行っていることや、反省の態度を示していることなどを考慮し、男性に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
(令和6年5月17日に配信された「奈良テレビ放送」の報道について、犯行場所や管轄裁判所等の事実の一部を変更したフィクションです。)

【盗撮による性的姿態等撮影罪の刑事処罰とは】

ひそかに、人の性的な部位や、人が身に着けている下着を盗撮した場合には、性的姿態撮影等処罰法の「性的姿態等撮影罪」や、あるいは各都道府県の「迷惑防止条例違反」に当たるとして、刑事処罰を受けます。
性的姿態等撮影罪の刑罰の法定刑は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」とされています。

・性的姿態撮影等処罰法 2条1項1号
「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(略)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(略)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(略)又は人が身に着けている下着(略)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態」

【同種前科による刑事罰への影響】

同種前科とは、再犯事件を起こした場合に、以前に同じような種類の犯罪を起こして刑事罰を受けていることをいいます。
再犯事件の裁判において、同種前科があるという事情は大きく考慮されて、刑事罰の量刑の判断が厳しくなります。

同種前科があれば、執行猶予についても、付される可能性は低くなると考えられます。
初犯においては、執行猶予の付されやすい犯罪内容であったとしても、再犯を繰り返せば繰り返すほどに、刑事罰の量刑は重くなり、執行猶予は付され難くなります。

同種前科で量刑が重くなる理由は、本人の反省が見られないことや、本人の犯罪に対する規範意識の欠如、累犯性、常習性が大きく考慮されるところにあります。
刑事事件に強い弁護士に、同種前科のある再犯事件を起こしたことについてご相談いただければ、弁護士の側から、再犯事件の犯行態様や、再犯事件を起こすに至った原因などを、具体的な事件証拠をもとに本人に有利な形で主張することで、できるだけ刑事処罰の量刑を減らすよう働きかけ、執行猶予付き判決の獲得を目指した弁護活動をいたします。

まずは、盗撮事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横浜市の盗撮事件等の性犯罪でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県川崎市で夫婦喧嘩から銃刀法違反の暴力犯罪へ発展

2024-09-28

【報道解説】神奈川県川崎市で夫婦喧嘩から銃刀法違反の暴力犯罪へ発展

夫婦間のトラブルから刃物を持ち出す銃刀法違反の暴力犯罪の刑事事件へと発展して逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜が解説します。

【報道紹介】

「今月28日夕方、神奈川県川崎市高津区の住宅の敷地内で、正当な理由なく出刃包丁を所持したとして、46歳の女が逮捕されました。きっかけは、パチンコでした。
銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは、川崎市高津区の46歳の清掃員の女です。
この女は28日午後5時15分ごろ、自宅の敷地内で、業務等、正当な理由がないのに台所にあった刃渡り17センチほどの出刃包丁を所持した疑いが持たれています。
警察によりますと、女は夫に『パチンコに行きたい、お金を』などの話をしましたが、夫に止められると口論になり、カッとなって犯行に及んだとみられています。
夫が『妻が包丁を持って暴れている』と通報、駆け付けた警察官がその場で女を逮捕しました。
取り調べに対して46歳の清掃員の女は『包丁を持っていたのは、間違いない』などと話し、容疑を認めているということです。
警察は、女のふだんの様子も含め、引き続き調べをすすめています。」

(令和4年7月28日にHBC北海道放送より配信された報道を基に、事実を一部変更したフィクションです。)

【自宅の敷地名で出刃包丁を所持すると…?】

銃刀法(正式には、「銃砲刀剣類所持等取締法」といいます)では、一定の場合を除いて、鉄砲や刀剣類を所持することを禁止しています(銃刀法3条1条)。

このような所持が禁止されている「刀剣類」とは、刀剣類とは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフのことをいいます(銃刀法2条2項)。
そうすると、今回取り上げた報道では、逮捕された女性は刃渡り17センチメートルほどの出刃包丁を所持していたとのことですので、出刃包丁は、刀、やり、なぎなた、剣、あいくち、飛出しナイフのいずれにも該当しないため、上記「刀剣類」には当たらないことになりますので、銃刀法3条1項には違反していません。

しかし、だからといって、銃刀法では、このような刀剣類に当たらない刃物について無条件に所持を認めている訳ではありません。
銃刀法22条では、何人も、業務その他正当な理由による場合を除いて、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならないとしています。

そして、屋外・屋内を問わず自身の手で刃物を持っていた場合には「携帯」に当たると考えられていますので、たとえ自宅の敷地内であっても、刃渡り17センチメートルほどの出刃包丁を手に持っていた場合は、この銃刀法22条に違反していると考えられます。
銃刀法22条に違反すると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(銃刀法31条の18第2項2号)。

【夫婦間のトラブルが警察沙汰になってしまいお困りの方は】

今回取り上げた報道のように、夫婦間のトラブルが警察沙汰に発展した場合してしまうことがよくあります。
例えば、夫が家で暴れており、警察にいさめてもらうために妻が通報したところ、意図せず夫が逮捕されてしまったというケースは珍しくありません。

このように、ご家族の方が突然目の前で警察に逮捕されてしまい、何をどうしたらよいか分からず、ご不安に思っている方は、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことを依頼することをお勧めします。
この初回接見によって、今後、逮捕されたご家族の方がどのようになってしまうのか、今後についての見通しを知ることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
夫婦間のトラブルがきっかけで、ご家族の方が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】自転車事故ひき逃げ事件で示談解決

2024-09-20

【事例解説】自転車事故ひき逃げ事件で示談解決

示談で解決したい

神奈川県川崎市宮前区の自転車事故の刑事処罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例紹介】

神奈川県川崎市宮前区に住む、40歳代女性のAさんは、通勤の際に自転車を運転していたところ、歩行者の70歳代男性と接触して、男性は転倒してしまった。
被害者男性は、すぐに起き上がり、無事そうに見えたので、通勤中で急いでいたAさんは、そのまま自転車で走り去った。
実際には、被害者男性は、この事故により腕を骨折しており、後日に神奈川県宮前警察署に被害届を提出した。
事故現場周辺の防犯カメラの映像から、自転車事故の加害者がAさんであることが判明し、Aさんは、宮前警察署から取調べの呼び出しを受けた。
自転車事故のひき逃げ事件で、どのような刑事処罰を受けるのか不安になったAさんは、刑事事件に強い弁護士に法律相談することにした。
(弊所に寄せられた法律相談を基にして事実を一部変更したフィクションです。)

【自転車事故の刑事処罰とは】

「自転車事故」を起こした場合と、「自動車事故」を起こした場合とでは、刑事処罰を科すための法律や、刑罰の法定刑が大きく異なります。

自転車事故を起こして、被害者に怪我をさせた場合には、刑法の「過失傷害罪」や「重過失傷害罪」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性があります。
過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金又は科料」とされており、重過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」とされています。

他方で、自動車事故を起こして、被害者に怪我をさせた場合には、自動車運転処罰法の「過失運転致死傷罪」が成立するとして、刑罰の法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金」とされています。

自転車事故を起こして、被害者に怪我をさせ、そのまま現場を立ち去って「自転車ひき逃げ事件」となった場合には、道路交通法に違反するとして、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金刑」という法定刑で、刑事処罰を受けます。

他方で、自動車事故を起こして、被害者に怪我をさせ、そのまま現場を立ち去って「自動車ひき逃げ事件」となった場合には、道路交通法に違反するとして、刑事処罰の法定刑は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。

【自転車の交通事故に対する今後の法規制】

自転車による交通違反への反則金制度(青切符)の導入を柱とする道路交通法改正案が閣議決定され、改正案は今の通常国会に提出され、成立すれば2026年までに実施される見込みです。

自転車は私達にとって身近な交通手段ですが、昨今では「ながら運転」や過度に改造されて相当なスピードが出る電気自動車等によって、悪質な違反や大きな事故が目立っており、自転車の交通違反に対する規制への必要性が高まっています。

反則金は、比較的軽微な違反を対象に現場で警察官が青切符を交付し、違反者が反則金を納めれば刑事罰を科されない制度です。
現状は、自動車の違反の多くに適用されているが、自転車は対象外で、刑事手続に乗る交通切符(赤切符)で対応しています。

改正案では、自転車の反則制度は16歳以上の人が対象となり、比較的軽微な112種類の違反が対象で、酒酔い運転や妨害運転など24種類は対象外となる見込みで、反則金の額は原付きバイクと同等にする方針とのことです。

実際の取り締まりは、警察官の指導警告に従わず違反行為を続けた時や悪質、危険な違反を対象となるようで、従来赤切符で取り締まっている違反の多くは青切符による処理に変わるとみられています。

このような自転車への反則金制度の導入により、捜査機関による警備の強化も十分予想されるため、今後自転車による交通犯罪の検挙数も増加することが予想されます。

【自転車事故の弁護活動】

自転車事故は、被害者側が被害届を出す前に、示談交渉の話し合いをまとめて、被害者側から許しを得られるような示談が成立すれば、刑事事件化を阻止できるケースが多いです。
警察に被害届を出される前の、事件早期の段階で、弁護士を依頼して、弁護士を仲介させた適切な示談交渉活動を行うことが重要となります。

また、被害届が出されてしまって、警察取調べが開始されてしまったケースにおいては、事故当時の状況をどのように取調べで供述するかを、弁護士に法律相談して、弁護方針を検討することが、刑事処罰軽減のために重要となります。
被害届が出されてしまった後でも、被害者側との円満な示談が成立すれば、不起訴処分を獲得して、前科を回避できる可能性が高まります。

まずは、自転車事故ひき逃げ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県川崎市宮前区の自転車事故ひき逃げ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【事例解説】商品をレジに通すのを忘れて窃盗罪で逮捕

2024-07-22

【事例解説】商品をレジに通すのを忘れて窃盗罪で逮捕

前科を避けたい

神奈川県横浜市でスーパーマーケットで商品をセルフレジに通すのを忘れたまま店を出たことで、窃盗罪で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例紹介】

「神奈川県横浜市中区にあるスーパーマーケットで日用品の買い物をしていたAさんは、商品の会計をセルフレジで行いました。
かごに入れた商品をセルフレジに通している最中に電話が鳴ったので、Aさんは電話に出ながら商品をレジに通していましたが、電話に出た際に一部の商品(2千円相当)をレジに通すのを忘れてマイバッグに商品を入れました。
Aさんは、未会計の商品が入っているマイバッグを持った状態でスーパーの外に出ようとしたところ、出入り口に設置している防犯のセンサーが反応して、お店の人にバックヤードに連れていかれました。
Aさんは、会計をうっかり忘れていただけと弁解して万引きをしたことを認めなかったので、店長に警察に通報されて、駆け付けた神奈川県警伊勢佐木署の警察官に窃盗罪の疑いで逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【うっかり商品をレジに通さずに店の外に出てしまうと?】

最初から商品をレジを通さずに未精算のまま持ち出そうという意思で、スーパーの棚から商品を手持ちの鞄にいれて精算せずに店の外にでるという万引き行為は、刑法235条に規定されている窃盗罪に当たる行為です。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

事例のAさんの行為も、精算せずに商品を店外に持ち出しているという点で上記万引き行為と違いがありませんので、事例のAさんの行為は客観的には窃盗罪に当たることになります。
ただ、Aさんには商品をレジに通さずに未精算のまま持ち出そうという意思はありません。

あくまで、セルフレジでかごに入れた商品をレジに通している最中にかかってきた電話に気を取られて、うっかり一部の商品をレジに通さずに未精算のままマイバッグに入れてしまったという状況ですので、このような状況のAさんには窃盗罪を犯す意思がないということができます。
刑法38条1項の本文が「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」と定めていますので、窃盗罪を犯す意思(窃盗罪の故意)がない事例のAさんには、理屈の上では窃盗罪が成立しないことになります。

【レジに通さなかった窃盗の疑いでお困りの方は】

このように、理屈上は、うっかり商品をレジに通さなかった場合は窃盗罪が成立しないことになるのですが、意図的にレジを通さなかったのか、レジを通すのをうっかり忘れだけなのかは自分自身にしか分からない事柄です。
そのため、現実問題として、うっかり商品をレジに通さずに店の外に出たことで警察から窃盗の疑いで捜査を受けているという場合に、「電話に気を取られて、うっかり一部商品をレジに通すのを忘れました」という弁解をしたとしても、その弁解がすんなり受け入れられる可能性は低いといえるでしょう。

多くの警察官は、そのような「うっかり忘れただけ」という弁解を聞いた時は、意図的にレジを通さなかったのに言い訳をして窃盗の成立を免れようとしていると疑ってかかってくることが予想されます。
このような場合でも、真実がうっかりレジを通すのを忘れただけであるならば、警察官に臆することなく「うっかり忘れただけ」と供述する必要があるのですが、捜査のプロである警察官に窃盗を疑われている状況で「うっかり忘れただけ」と供述し続けることは、精神的負担が非常に大きいです。
こうした捜査によるストレスで、途中で警察官の誘導に負けて「意図的にレジを通しませんでした」と供述を変えてしまうことのないよう、窃盗の疑いで警察の捜査を受けている場合は、いちはやく弁護士に事件を依頼されることをお勧めします。
事件の依頼を受けた弁護士は、依頼人の「うっかり忘れただけ」という言い分が認められるよう最善の努力を尽くすことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は窃盗事件などの刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県横浜市で警察から万引き、窃盗の疑いをかけられてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

2024-06-16

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

不同意性交等罪の逮捕事案を紹介しつつ、その刑事責任と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道事例】

令和5年7月14日、神奈川県川崎市で、知人の女性を暴行し同意なく性行為に及んだとして、不同意性交等罪の疑いで19歳の男子大学生が逮捕されました。
神奈川県警多摩警察署によりますと、男子大学生は、14日午後7時すぎ、川崎市多摩区内で、知人の10代女性が拒否しているにも関わらず暴行し、同意なく性行為に及んだ疑いが持たれています。
調べに対し、男子大学生は、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(令和5年7月15日に配信された「仙台放送」の記事を基に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【刑法改定:不同意性交等罪の新設】

令和5年7月13日をもって、「不同意性交等罪」が施行されました。

不同意性交等罪の新設の背景には、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、構成要件の明確化と細分化を進め、以てこの種の性犯罪に適切に対処する必要があるとの理由に基づいています。

このたびの刑法改正により、旧刑法の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」「強制性交等罪」「準強制性交等罪」を統合し、新法における「不同意わいせつ罪」および「不同意性交等罪」を規定することになりました。
あわせて、性犯罪についての公訴時効期間の延長や、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設なども盛り込まれています。

【不同意性交等罪とは】

本ブログでは、主に不同意性交等罪の構成要件と法定刑にしぼって解説します。

不同意性交等罪では、「次のような行為」等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず処罰されることになります(刑法第177条第1項)。

「次のような行為」等を簡潔にまとめると、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害(おそれも含む)」、「アルコール若しくは薬物の摂取」、「睡眠その他の意識不明瞭状態」、「不同意を形成・表明するいとまがない」、「予想と異なる事態への恐怖・驚愕」「虐待に起因する心理的反応」、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8項目が列挙されています。

改定前の強制性交等罪でも「暴行」もしくは「脅迫」が構成要件になっており、この「暴行」「脅迫」は、被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達する必要は無いとされていました(最高裁判例)。
被害者の犯行を著しく困難にする程度とは、具体的には、犯行態様のほか、時間的・場所的状況、被害者の年齢や精神状態等を考慮して客観的に判断されるとされていました。

今回の刑法改正は、上記のような総合的判断から踏み込んで、より具体的な構成要件を提示することで処罰範囲の明確化を図るべく改定されたものと思われます。

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑となっています。

【不同意強制性交等罪の刑事弁護】

今回の刑法改正によって不同意性交等罪が新設されましたが、従来の性犯罪に対する刑事弁護の原則どおり、前科が付くことを避けたい場合は、検察官に事件を起訴される前に被害者の方と示談を締結することが重要になります。
というのも、起訴前に被害者の方と示談を締結したという事実は、検察官が起訴をするかどうかの判断に当たって起訴を回避する判断に傾く考慮要素となるからです。

示談交渉は通常、被害者が成人であれば被害者本人と交渉を進めますが、被害者が未成年である場合は、被害者の保護者の方と示談交渉を行うことになります。

性犯罪全般の傾向として、被害者の方は、不安や恐怖に怯え、傷つけられた自尊心から犯人を許せないという処罰感情が強く、示談が難航することは珍しいことではありません。
しかし、刑事弁護の経験豊富な弁護士が、粘り強く謝罪や示談の条件を提示し、二度とこのような犯罪を起こさないと制約すること等を通じて、最終的に示談の締結に至る実績も多数ございます。
示談交渉は必ずしも決まった方法があるわけではなく、被害者の方が何を望んでいるのかを汲み取り、それに対して最適な問題解決案を提示することが最も重要ですので、示談締結の確率を少しでも上げたいと希望する方は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
不同意性交等罪の性犯罪で被害者の方との示談を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談や初回接見サービスをご利用ください。

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