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【事例解説】商品をレジに通すのを忘れて窃盗罪で逮捕

2024-07-22

【事例解説】商品をレジに通すのを忘れて窃盗罪で逮捕

前科を避けたい

神奈川県横浜市でスーパーマーケットで商品をセルフレジに通すのを忘れたまま店を出たことで、窃盗罪で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例紹介】

「神奈川県横浜市中区にあるスーパーマーケットで日用品の買い物をしていたAさんは、商品の会計をセルフレジで行いました。
かごに入れた商品をセルフレジに通している最中に電話が鳴ったので、Aさんは電話に出ながら商品をレジに通していましたが、電話に出た際に一部の商品(2千円相当)をレジに通すのを忘れてマイバッグに商品を入れました。
Aさんは、未会計の商品が入っているマイバッグを持った状態でスーパーの外に出ようとしたところ、出入り口に設置している防犯のセンサーが反応して、お店の人にバックヤードに連れていかれました。
Aさんは、会計をうっかり忘れていただけと弁解して万引きをしたことを認めなかったので、店長に警察に通報されて、駆け付けた神奈川県警伊勢佐木署の警察官に窃盗罪の疑いで逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)

【うっかり商品をレジに通さずに店の外に出てしまうと?】

最初から商品をレジを通さずに未精算のまま持ち出そうという意思で、スーパーの棚から商品を手持ちの鞄にいれて精算せずに店の外にでるという万引き行為は、刑法235条に規定されている窃盗罪に当たる行為です。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

事例のAさんの行為も、精算せずに商品を店外に持ち出しているという点で上記万引き行為と違いがありませんので、事例のAさんの行為は客観的には窃盗罪に当たることになります。
ただ、Aさんには商品をレジに通さずに未精算のまま持ち出そうという意思はありません。

あくまで、セルフレジでかごに入れた商品をレジに通している最中にかかってきた電話に気を取られて、うっかり一部の商品をレジに通さずに未精算のままマイバッグに入れてしまったという状況ですので、このような状況のAさんには窃盗罪を犯す意思がないということができます。
刑法38条1項の本文が「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」と定めていますので、窃盗罪を犯す意思(窃盗罪の故意)がない事例のAさんには、理屈の上では窃盗罪が成立しないことになります。

【レジに通さなかった窃盗の疑いでお困りの方は】

このように、理屈上は、うっかり商品をレジに通さなかった場合は窃盗罪が成立しないことになるのですが、意図的にレジを通さなかったのか、レジを通すのをうっかり忘れだけなのかは自分自身にしか分からない事柄です。
そのため、現実問題として、うっかり商品をレジに通さずに店の外に出たことで警察から窃盗の疑いで捜査を受けているという場合に、「電話に気を取られて、うっかり一部商品をレジに通すのを忘れました」という弁解をしたとしても、その弁解がすんなり受け入れられる可能性は低いといえるでしょう。

多くの警察官は、そのような「うっかり忘れただけ」という弁解を聞いた時は、意図的にレジを通さなかったのに言い訳をして窃盗の成立を免れようとしていると疑ってかかってくることが予想されます。
このような場合でも、真実がうっかりレジを通すのを忘れただけであるならば、警察官に臆することなく「うっかり忘れただけ」と供述する必要があるのですが、捜査のプロである警察官に窃盗を疑われている状況で「うっかり忘れただけ」と供述し続けることは、精神的負担が非常に大きいです。
こうした捜査によるストレスで、途中で警察官の誘導に負けて「意図的にレジを通しませんでした」と供述を変えてしまうことのないよう、窃盗の疑いで警察の捜査を受けている場合は、いちはやく弁護士に事件を依頼されることをお勧めします。
事件の依頼を受けた弁護士は、依頼人の「うっかり忘れただけ」という言い分が認められるよう最善の努力を尽くすことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は窃盗事件などの刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県横浜市で警察から万引き、窃盗の疑いをかけられてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

2024-06-16

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

不同意性交等罪の逮捕事案を紹介しつつ、その刑事責任と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道事例】

令和5年7月14日、神奈川県川崎市で、知人の女性を暴行し同意なく性行為に及んだとして、不同意性交等罪の疑いで19歳の男子大学生が逮捕されました。
神奈川県警多摩警察署によりますと、男子大学生は、14日午後7時すぎ、川崎市多摩区内で、知人の10代女性が拒否しているにも関わらず暴行し、同意なく性行為に及んだ疑いが持たれています。
調べに対し、男子大学生は、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(令和5年7月15日に配信された「仙台放送」の記事を基に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【刑法改定:不同意性交等罪の新設】

令和5年7月13日をもって、「不同意性交等罪」が施行されました。

不同意性交等罪の新設の背景には、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、構成要件の明確化と細分化を進め、以てこの種の性犯罪に適切に対処する必要があるとの理由に基づいています。

このたびの刑法改正により、旧刑法の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」「強制性交等罪」「準強制性交等罪」を統合し、新法における「不同意わいせつ罪」および「不同意性交等罪」を規定することになりました。
あわせて、性犯罪についての公訴時効期間の延長や、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設なども盛り込まれています。

【不同意性交等罪とは】

本ブログでは、主に不同意性交等罪の構成要件と法定刑にしぼって解説します。

不同意性交等罪では、「次のような行為」等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず処罰されることになります(刑法第177条第1項)。

「次のような行為」等を簡潔にまとめると、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害(おそれも含む)」、「アルコール若しくは薬物の摂取」、「睡眠その他の意識不明瞭状態」、「不同意を形成・表明するいとまがない」、「予想と異なる事態への恐怖・驚愕」「虐待に起因する心理的反応」、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8項目が列挙されています。

改定前の強制性交等罪でも「暴行」もしくは「脅迫」が構成要件になっており、この「暴行」「脅迫」は、被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達する必要は無いとされていました(最高裁判例)。
被害者の犯行を著しく困難にする程度とは、具体的には、犯行態様のほか、時間的・場所的状況、被害者の年齢や精神状態等を考慮して客観的に判断されるとされていました。

今回の刑法改正は、上記のような総合的判断から踏み込んで、より具体的な構成要件を提示することで処罰範囲の明確化を図るべく改定されたものと思われます。

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑となっています。

【不同意強制性交等罪の刑事弁護】

今回の刑法改正によって不同意性交等罪が新設されましたが、従来の性犯罪に対する刑事弁護の原則どおり、前科が付くことを避けたい場合は、検察官に事件を起訴される前に被害者の方と示談を締結することが重要になります。
というのも、起訴前に被害者の方と示談を締結したという事実は、検察官が起訴をするかどうかの判断に当たって起訴を回避する判断に傾く考慮要素となるからです。

示談交渉は通常、被害者が成人であれば被害者本人と交渉を進めますが、被害者が未成年である場合は、被害者の保護者の方と示談交渉を行うことになります。

性犯罪全般の傾向として、被害者の方は、不安や恐怖に怯え、傷つけられた自尊心から犯人を許せないという処罰感情が強く、示談が難航することは珍しいことではありません。
しかし、刑事弁護の経験豊富な弁護士が、粘り強く謝罪や示談の条件を提示し、二度とこのような犯罪を起こさないと制約すること等を通じて、最終的に示談の締結に至る実績も多数ございます。
示談交渉は必ずしも決まった方法があるわけではなく、被害者の方が何を望んでいるのかを汲み取り、それに対して最適な問題解決案を提示することが最も重要ですので、示談締結の確率を少しでも上げたいと希望する方は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
不同意性交等罪の性犯罪で被害者の方との示談を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談や初回接見サービスをご利用ください。

刑事事件における初回接見サービスとは?メリットは何?国選弁護人が就いている場合でも受けられるの?

2024-05-18

刑事事件における初回接見サービスとは?メリットは何?国選弁護人が就いている場合でも受けられるの?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、初回接見サービスを有料で行っています。
この意義について、ご紹介します。

【刑事事件について】

刑事事件は、刑法をはじめ、大麻取締法・ストーカー規制法・性的姿態撮影等処罰法・各都道府県の定める迷惑行為防止条例・犯罪収益移転防止法など、様々な法律に違反したことで警察官・検察官をはじめとする捜査機関から捜査を受け、事案によっては裁判を受けるということを意味します。

例えば道端で知らない人を殴打した場合、刑法の定める暴行罪(刑法208条)や傷害罪(刑法204条)に該当する行為で、警察官により捜査され、検察官に送致された後検察官が改めて捜査を行ったうえで、刑事裁判に付されて刑事罰が科せられる可能性がある、というものです。
ちなみに、罰金刑が科せられた場合、そのお金は国庫に帰属し、被害者が受け取るわけではありません。

この場合の被害者は、被疑者・被告人(加害者)に対し、損害賠償請求権があり、治療費や慰謝料、休業補償などの金銭を請求することができます。
これを民事事件と呼びます。

【刑事事件での初回接見サービス】

刑事事件の場合、在宅で捜査を受けることもありますが、捜査機関が捜査をするうえで必要と考えた場合には警察官に逮捕状や勾留状といった身体拘束のための令状を請求し、発付された場合には被疑者を身体拘束することができます。

その際、当事務所をはじめ、刑事事件・少年事件に積極的に取り組んでいる事務所では、初回接見サービスを行っている場合があります。
以下で申し上げるのは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部における初回接見サービスです。

【初回接見サービスの流れ・特徴】

初回接見サービスは、家族等が逮捕・勾留されている場合に、1度限り申し込むことができるサービスです。
0120-631-881にてご予約を頂き、初回接見費用(33,000円+みなし交通費)をお振込み頂いた後、原則24時間以内に弁護士が接見に伺います。
接見とは、被疑者・被告人の方が居られる警察署や拘置所などの留置施設に弁護士が直接赴いてお話を聞くことです。
初回接見サービスでは、弁護士が逮捕・勾留されている方から事件についての内容・認識や、既に弁解録取や取調べが行われている場合には捜査機関にどのような取調べを受けたか等確認したうえで、見通しや考えられる弁護活動について説明します。
また、事務所に戻った後は、初回接見サービスの依頼者にその内容を御報告します。
※守秘義務の都合で、報告ができない場合があります。

通常、弁護士に弁護を依頼する場合には、ある程度のまとまったお金を着手金などとして支払うことになります。
しかし、初回接見サービスは1度限りの接見についての依頼で、弁護士の説明や見通し、相性などを見極めた上でその後の弁護を依頼するかどうか、検討して頂くことができます。

【国選弁護人と私選弁護人の違いは?】

罪を犯したと疑われている被疑者の方が逮捕された後勾留された場合で、被疑者の方の資力(預貯金)が50万円未満だった場合等の条件をクリアすると、国の選んだ弁護士が弁護人として就くことになります。
これが、国選弁護人です。
国選弁護人は原則として弁護費用は発生しませんが、国が選ぶことになるため、必ずしも刑事事件・少年事件の経験が豊富な弁護士が選任されるとは限りません。
また、国選弁護人は被疑者・被告人の弁護人ですので、留置場の外にいるご家族に報告する義務はなく、家族の方は国選弁護人から何も連絡が来ていないという場合も少なくありません。

他方で私選弁護人は、御自身で選んでいただいて弁護を依頼することになります。
そのため、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士を選んで弁護を依頼することが可能です。
また、当事務所では、初回接見サービスを依頼して頂いた場合、被疑者・被告人の方との守秘義務に反しない限りすべて状況を御説明します。

【国選弁護人が就いていても初回接見サービスは受けられるの?】

国選弁護人が就いていて、私選弁護人に依頼した場合、私選弁護人が「弁護人選任届」を警察署・検察庁(起訴後は裁判所)に提出することで、国選弁護人は自動的に解任されます。
但し、その後に私選弁護人を解任した場合(私選弁護人が辞任届を提出した場合)には改めて国選弁護人が選定されます。

当事務所が行う初回接見サービスは、その時点では私選弁護人として弁護を依頼するわけではなく、弁護人となろうとする者(刑事訴訟法39条1項ほか)の立場で接見を行います。
そのため、初回接見サービスを受けた時点では国選弁護人が解任されることはありません。

神奈川県横浜市・川崎市のほか、神奈川県内で家族が刑事事件を起こしてしまった、あるいは起こしたとされてしまい、逮捕・勾留されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

未成年者を無理やり働かせた疑いで児童福祉法違反と労働基準法違反に問われたという記事について検討

2024-04-12

未成年者を無理やり働かせた疑いで児童福祉法違反と労働基準法違反に問われたという記事について検討

18歳未満である未成年者を働かせたという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

男子高校生を無理やり、祭りの露店で働かせたとして、警視庁少年育成課は5日、露天商の男性(63)ら男女6人を児童福祉法違反(有害目的支配)と労働基準法違反(深夜業の規制)の疑いで逮捕したと発表した。
警視庁によると、男性は祭りの露店を収入源とする「テキ屋」団体のトップで、神奈川県綾瀬市に拠点を置いている。少年グループに声をかけ、同県内で10人以上の少年を金魚すくいやかき氷などの露店で働かせていたという。

逮捕容疑は2023年4~10月ごろ、17歳だった高校2年生の少年を相模原市や同県厚木市などの祭りの露店で、深夜から早朝にかけて働かせたなどとしている。
男性は「18歳未満の子どもが働いているのは知らなかった」と容疑を否認しているという。

警視庁によると、露店の従業員らは、遅刻や欠勤をした少年らに殴る蹴るなどの暴行を加えたうえ、高額な制裁金を要求し「払えなかったら特殊詐欺とか強盗とかをやらせるぞ」などと脅して働かせていたとされる。

≪毎日新聞 2024/4/5 12:48配信記事 引用≫

【未成年者の雇用】

[労働基準法違反]

■年齢の制限
我が国では、労働する上での最低限のルールを労働基準法をはじめとする法律・規則で規定しています。
そのうちの1つに、被用者の最低年齢が挙げられます。

労働基準法56条
1項 使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。
2項 前項の規定にかかわらず、別表第一第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。

つまり、一般的な進学状況だと仮定すると高校1年生になる年の4月1日以降でなければ、原則として未成年者を雇用できません。
特例として、一部の業種については、13歳以上で行政官庁の許可を得て就労することができます。

■未成年者の就労時間帯
次に、就労の時間帯です。
未成年者を雇用する場合、就労時間にも制限があります。
18歳以上の場合、深夜帯でも(深夜割増料金を支払うことで)従業員に勤務してもらうことができます。
しかし、18歳未満の場合、原則として22時~5時の間、仕事をしてもらうことは出来ません。(労働基準法61条1項)
また、例外的に、厚生労働省が「地域又は期間を限つて」未成年者の労働禁止の時間帯を23時~6時に変更することができます。

報道では、「17歳だった高校2年生の少年」を「深夜から早朝にかけて働かせた」と報じられていますので、詳細な時間は不明ですが、この未成年者の労働禁止の時間帯に働かせたことが嫌疑の一つになっている可能性があります。

[児童福祉法違反]

児童福祉法34条1項 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
9号 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

同60条2項 第34条第1項第1号から第5号まで又は第7号から第9号までの規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

児童福祉法は「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く」行為を禁止しています。
報道によると、児童らは露天商として働かされていたとされています。
露天商としての営業だけを以て「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的」があったとは考えにくいですが、労働基準法に違反して深夜・早朝に営業させるなどの行為は「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的」に該当すると考えられます。
また、遅刻や欠勤した場合に殴る蹴るの暴行を加えたり、賠償と称し高額な金銭を要求することで事実上支配下に置いていたと評価され、児童福祉法違反の嫌疑がかけられたと考えられます。

【労働基準法・児童福祉法に違反した場合の弁護活動】

労働基準法や児童福祉法は、児童らの生命や身体を保護する目的と、公益的目的の両側面があると考えられます。
特に報道事例では実際に被害に遭っていた児童がいると考えられます。
罪を認め反省している場合には、児童・保護者に謝罪と賠償を行い、示談の交渉を行う弁護活動が検討されます。

また、今回は計6名の方が逮捕されているため、各人がどのような立場であったか、という点も重要です。
トップで指示をしていた者と、指示を受けて児童を支配していた者との場合は、量刑に影響が生じる恐れも考えられます。

最終的に、担当する検察官は被疑者について
・犯罪を立証できるだけの証拠があるか否か
・罪を認めているか否か
・各人の立場(支配関係)はどのようなものか
・児童に直接的な暴行や脅迫を行っていたか否か
・前科や前歴はあるか
などの様々な情報を総合的に判断して、起訴するかどうか判断します。
そのため、取調べでの受け答えも重要になってくると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、労働基準法違反や児童福祉法違反といった未成年者の労働で刑事事件に発展したケースでの弁護活動にも対応しています。
神奈川県横浜市、厚木市、相模原市など関東一円で、家族が労働基準法違反や児童福祉法違反により逮捕され場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

神奈川県横須賀市で放火したフィクションの事例を踏まえて成立する罪について検討する

2024-01-15

神奈川県横須賀市で放火したフィクションの事例を踏まえて成立する罪について検討する

放火

この記事では、現住建造物等放火罪に関する法律的な側面が詳細に説明されています。この罪は、人が住んでいる建物に放火する行為を対象とし、非常に重い罪とされています。最高刑は死刑もあり得るほどです。この罪の成立には、以下の要素が必要です:

  1. 放火行為: 物理的な燃焼を引き起こす行為、またはその原因となる行為。
  2. 現住建造物: 人が現に住んでいる、または人が現にいる建造物。
  3. 焼損: 火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼する状態。
  4. 故意: 目的物の独立燃焼を引き起こす意図と、現住建造物であることの認識。

また、未遂や予備も罰せられること、不作為による放火も考慮されることが説明されています。さらに、現住建造物等放火罪に該当しない場合の他の犯罪についても触れられています。

1: 現住建造物等放火罪の概要

現住建造物等放火罪は、人が住んでいる建物や、人がいる建造物に故意に火を放つ行為を対象とする重大な犯罪です。この罪は、日本の刑法第108条に規定されており、最も重い場合には死刑に処される可能性もあります。この罪の成立には、以下の要素が必要です:

  • 放火行為: 物理的な燃焼を引き起こす行為、またはその原因となる行為。
  • 現住建造物: 人が現に住んでいる、または人が現にいる建造物。
  • 焼損: 火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼する状態。
  • 故意: 目的物の独立燃焼を引き起こす意図と、現住建造物であることの認識。

この罪は、公共の平穏を保護する法益を目的としており、未遂や予備も罰せられます。また、不作為による放火も考慮されることがあります。神奈川県横須賀市で発生したフィクションの事例では、横須賀警察署の警察官によって逮捕された容疑者が、この罪で検察官に起訴される可能性があります。

2: 事例 – 神奈川県横須賀市における現住建造物等放火罪の裁判員裁判

神奈川県横須賀市で発生したフィクションの事案を想定し、現住建造物等放火罪に関する裁判員裁判の流れを解説します。この事例では、横須賀警察署の警察官によって逮捕された容疑者が、現住建造物等放火罪で起訴され、横浜地方裁判所で裁判員裁判にかけられることになります。

神奈川県横須賀市在住のAさんは、横須賀市内の会社でパワハラを受けていて、精神的に追い詰められたことからストーブのタンクに入っていた灯油を会社にまき散らし、火を放つという放火事件を起こしてしまい、神奈川県横須賀市を管轄する横須賀警察署の警察官によって現行犯逮捕されました。捜査状況を踏まえて検察官は起訴するべき事案であると考え、横浜地方裁判所に公判請求(起訴)しました。

※横須賀市の場合は横浜地方裁判所横須賀支部の管轄ですが、裁判員裁判対象事件で起訴する場合には横浜地方裁判所に起訴する場合が一般的です。

  1. 裁判員の選出: 裁判員は選挙権のある一般市民から無作為に選ばれ、裁判官と共に裁判に参加します。
  2. 公判前整理手続: 事件についての争点や証拠を洗い出し、裁判の効率化を図ります。
  3. 裁判の進行: 裁判員は、証拠の提示や証人尋問、被告人の陳述などを通じて、事件の事実を把握します。
  4. 判決の決定: 裁判員は裁判官と協議し、被告人の有罪・無罪、及び刑罰を決定します。

この事例では、裁判員が法律の専門家ではないため、事件の事実や法的な側面を分かりやすく理解することが重要です。裁判員裁判は、市民が直接司法に参加することで、より公平で透明な司法手続きを目指しています。

3: 現住建造物等放火罪の成立要件

現住建造物等放火罪の成立には、特定の要件が必要です。これらの要件は、法律上の定義と実際の事例に基づいて判断されます。以下は、神奈川県横須賀市でのフィクション事案における現住建造物等放火罪の成立要件についての解説です。

  1. 放火行為: 火を放つことにより、建物などに火災を引き起こす行為。これには、直接的な点火や、火災を引き起こす原因を作る行為が含まれます。
  2. 現住建造物の定義: 現住建造物とは、人が住居として使用している、または人がいる建物を指します。この定義には、アパートやマンションなどの住宅のほか、人が一時的に滞在しているホテルなども含まれる場合があります。
  3. 焼損の程度: 建造物が火災により燃焼し、その構造や用途に影響を及ぼす程度の損傷を受けること。完全に破壊されなくても、部分的な焼損があればこの要件は満たされます。
  4. 故意: 放火行為が故意によるものであること。計画的、または意図的に火を放った場合に該当します。過失による火災は、この罪の成立要件を満たしません。

この事例では、横須賀警察署によって逮捕された容疑者が、意図的に住居を焼損させたとされる場合、現住建造物等放火罪の成立要件を満たす可能性があります。このような事案では、放火の動機や方法、被害の範囲などが重要な審理の対象となります。

4: 放火罪の刑罰とその適用

現住建造物等放火罪に対する刑罰は、日本の刑法において非常に重く規定されています。神奈川県横須賀市でのフィクション事案における刑罰の適用を考慮する際、以下の点が重要です。

  1. 法定刑の範囲: 現住建造物等放火罪の法定刑は、死刑、無期懲役、または5年以上の懲役です。この罪は、人命に対する危険性が高いため、法定刑が非常に重いことが特徴です。
  2. 判決における考慮事項: 判決時には、犯行の動機、方法、結果の重大性、被害者への影響、犯行後の行動などが考慮されます。また、被告人の過去の犯罪歴や社会的背景も重要な要素となり得ます。
  3. 未遂の場合の刑罰: 放火の未遂も罰せられます。未遂の場合でも、放火を試みた意図と危険性が評価され、相応の刑罰が科される可能性があります。
  4. 裁判員裁判における影響: 裁判員裁判では、裁判員の意見も刑罰決定に影響を与えます。裁判員は一般市民の視点から、犯罪の社会的影響や被害者の感情を考慮することが期待されます。

この事例では、横須賀警察署によって逮捕された容疑者に対する刑罰は、犯行の具体的な状況や被害の程度に基づいて検討されます。重大な放火事件では、法定刑の上限に近い厳しい刑罰が科されることもあります。

5: 放火罪における被害者の権利と支援

現住建造物等放火罪における被害者は、しばしば深刻な物理的、心理的、経済的損害を被ります。神奈川県横須賀市のフィクション事案においても、被害者の権利と支援は重要な側面です。

  1. 被害者の権利: 被害者は、裁判過程において意見を述べる権利や、犯罪被害者支援制度を利用する権利を有します。これには、心理的カウンセリングや法的支援などが含まれます。
  2. 損害賠償請求: 被害者は、放火によって生じた損害に対して、加害者に損害賠償を請求することができます。これには、物的損害のほか、精神的苦痛に対する慰謝料も含まれることがあります。
  3. 被害者支援制度の利用: 政府や地方自治体、非政府組織(NGO)による被害者支援制度が存在し、これらを通じて被害者は必要な支援を受けることができます。これには、住居の再建、生活支援、心理的ケアなどが含まれます。
  4. 裁判過程での被害者の役割: 被害者は、裁判過程で証人として意見を述べることができ、事件の影響について裁判所に伝えることが可能です。これは、裁判の判決に影響を与えることがあります。

この事例では、被害者の権利と支援は、事件の解決と被害者の回復過程の両方において重要な要素となります。被害者の声が適切に聞かれ、必要な支援が提供されることは、公正な司法手続きの実現に不可欠です。

6: 放火罪に関する弁護士の役割

放火罪、特に現住建造物等放火罪のような重大な犯罪において、弁護士の役割は極めて重要です。神奈川県横須賀市のフィクション事案における弁護士の役割を考察します。

  1. 被告人の権利の保護: 弁護士は、被告人の法的権利を保護し、公正な裁判が行われるように努めます。これには、適切な法的代理、証拠の収集と提示、効果的な弁護戦略の策定が含まれます。
  2. 事実関係の明確化: 弁護士は、事件の事実関係を明確にし、被告人の立場から事実を裁判所に提示します。これには、目撃者の証言や物的証拠の分析が含まれることがあります。
  3. 被告人の弁護: 被告人が無罪を主張する場合、弁護士はその主張を裏付けるための証拠や論拠を提供します。また、有罪の場合でも、刑罰の軽減を求めるための弁護を行います。
  4. 被告人とのコミュニケーション: 弁護士は、被告人と密接にコミュニケーションを取り、事件の詳細、法的選択肢、可能な結果について説明します。これにより、被告人は自身の状況をよりよく理解し、適切な決定を下すことができます。

この事例では、弁護士は被告人が公正な裁判を受け、その権利が保護されるように重要な役割を果たします。また、被告人の社会的、心理的背景を考慮し、裁判所に対して人間的な側面を提示することも弁護士の重要な任務です。

7: 裁判員裁判における社会的影響と教訓

裁判員裁判は、一般市民が刑事裁判に参加することで、法の適用と司法制度への理解を深める機会を提供します。神奈川県横須賀市でのフィクション事案における現住建造物等放火罪の裁判員裁判は、社会に対して重要な影響と教訓を与えます。

  1. 司法への市民参加の重要性: 裁判員裁判は、司法プロセスへの市民参加を促進し、法の適用における透明性と公平性を高めます。市民が直接裁判過程に関与することで、法律と司法制度への理解が深まります。
  2. 公正な裁判の実現: 裁判員は、法律の専門家ではない一般市民の視点から事件を評価します。これにより、裁判がより広い社会的視野を持って行われ、公正な判決が下される可能性が高まります。
  3. 法律教育と意識の向上: 裁判員として参加する市民だけでなく、裁判員裁判に関心を持つ一般市民も、法律に関する知識と意識が高まります。これは、法律遵守の意識向上にも寄与します。
  4. 社会的な教訓と議論の促進: 重大な犯罪事件に対する裁判員裁判は、その犯罪が持つ社会的な背景や原因についての議論を促進します。これにより、犯罪の予防や再発防止に向けた社会的な対策が検討されるきっかけとなります。

この事例では、裁判員裁判が社会に与える影響は大きく、法律と司法制度に対する一般市民の理解と関与を深める重要な機会となります。また、放火という重大な犯罪に対する社会的な認識と対策の必要性についての議論を促進することも期待されます。

8:まとめ

本記事では、神奈川県横須賀市で発生したフィクションの事案を基に、現住建造物等放火罪と裁判員裁判のプロセスについて詳細に解説しました。放火罪の成立要件、刑罰の範囲、被害者の権利と支援、弁護士の役割、そして裁判員裁

判の社会的影響と教訓について考察しました。この事例を通じて、放火罪が個人と社会に与える影響の深刻さと、裁判員裁判の重要性を理解することができます。法律の専門家だけでなく、一般市民が司法プロセスに参加することの意義と、それによってもたらされる公正な裁判の実現についても考察しました。

9:弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件に特化した法律事務所です。私たちは、刑事事件における被告人の権利保護と、公正な裁判を受けるためのサポートを提供しています。経験豊富な弁護士チームが、事件の初期段階から最終判決まで、クライアントの権利と利益を守るために尽力します。

私たちは、裁判員裁判を含むあらゆる刑事事件に対応しており、法律の専門知識と実務経験を活かして、最適な解決策を提案します。クライアントとの密接なコミュニケーションを重視し、個々の事案に合わせたパーソナライズされたアプローチを取ります。また、被害者の権利と支援にも注力し、事件の全体的な解決を目指しています。

刑事事件に直面した際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。私たちは、クライアントとその家族が抱える

不安や疑問に対応し、法的な側面から最善のサポートを提供します。迅速かつ丁寧な対応を心がけ、クライアントの権利を守るために全力を尽くします。神奈川県横須賀市にて、放火の嫌疑で家族が逮捕されていて裁判員裁判になる可能性がある場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

【解決事例】失火による森林法違反事件で早期釈放

2022-11-24

【解決事例】失火による森林法違反事件で早期釈放

失火により火災を引き起こしてしまい森林法違反事件で捜査を受けたのち逮捕されたものの早期の釈放が実現したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【事例】

神奈川県横浜市栄区在住のAさんは、横浜市栄区に住む会社員です。
Aさんは事件当日、自宅から出た木材を処分しようとして、家から少し離れた空き地のような場所で木材に燃料をかけて着火したところ、自身が想定していた以上に火が燃え広がり、森林約800㎡を燃焼させてしまいました。
また、Aさん自身は怖くなってしまい消防などに通報することなく、現場を離れてしまいました。
しかし、自身の行為で火災が発生してしまったという罪の意識から自首を検討していて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談を利用されました。
Aさんは無料相談後に当事務所に依頼をし、依頼を受けた弁護士は横浜市栄区を管轄する栄警察署に連絡して時間調整を行いました。
また、自首の前日までに弁護士として話を聞き、その内容を上申書という書類にまとめました。
Aさんは当初在宅で捜査を受けましたが、数ヶ月経った後、森林法違反被疑事件として通常逮捕されました。
弁護士は逮捕後すぐに接見に行き、検察官送致された日に弁護人としての意見書や自首前に作成した上申書を提出することで釈放を求めました。
担当検察官は、Aさんについて勾留は必要ないと判断し、勾留請求を行いませんでした。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【森林法違反事件】

放火・失火の場合、刑法の第9章が問題となる場合が一般的です。
今回の事例では、燃えた対象(客体)が森林であったことから、森林法が適用されました。
森林法制定の目的は「森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もつて国土の保全と国民経済の発展とに資すること」としています。(森林法1条)
今回のAさんは失火により森林を燃してしまったという事例ですので、以下の条文が問題となります。

刑法203条1項 火を失して他人の森林を焼燬した者は、五十万円以下の罰金に処する。

【逮捕後早期の釈放に備えて弁護を依頼】

罪を犯したと疑われる捜査の対象者は「被疑者」と呼ばれます。
被疑者は、原則として在宅で捜査されますが、必要に応じて逮捕され、証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがあると判断された場合には勾留が行われます。
勾留は延長期間を含めて20日間で、起訴された場合にはその後も引き続き勾留されます。

多くの事件では、
・被疑者の知らない間に捜査が開始され、取調べなどが行われる前に被疑者を逮捕し、引き続き勾留して取調べ等を行う場合
・最初から在宅で取調べ等の捜査を行う場合
が大半です。
但し、
・逮捕されたものの勾留されずに釈放されたり、勾留後の準抗告により釈放されるなどして、その後在宅で捜査が行われる場合
・Aさんのように在宅で捜査を受けていて突然逮捕される場合
もあります。

今回のAさんの場合、逮捕される可能性があると考えたため、早期に上申書を作成していました。
その後Aさんは逮捕されましたが、担当検察官に対し上申書を含む弁護人意見書を提出したことで、勾留されることなく釈放されたと言えます。
このように、逮捕される可能性がある事件では、予め書類を作成する等して、逮捕された後にすぐに書面提出を行えるよう準備を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、森林法違反などの事例の少ない事件にも対応しています。
森林などの失火による森林法違反事件で自首を検討している方、逮捕されるか不安な方、家族が森林法違反で逮捕・勾留されているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
逮捕・勾留されている場合、弁護士が接見を行い、今後の見通しや釈放の可能性、弁護活動についてご説明致します。(初回接見・有料)

【解決事例】住居侵入事件で略式手続

2022-10-12

【解決事例】住居侵入事件で略式手続

住居侵入事件を起こしてしまい略式手続を受けたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県横浜市西区在住のAさんは、横浜市西区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、性的な欲求を抑えられず、横浜市西区内のアパート1階のベランダに干されていた女性用の下着を盗もうと、アパートの敷地内に侵入しベランダに上り下着を盗もうとしました。
しかし、通行人が事件を目撃し通報したため、臨場した横浜市西区内を管轄する戸部警察署の警察官によって現行犯逮捕されました。

Aさんは当初国選弁護人に弁護を依頼していましたが、親族の方が当事務所の弁護士に依頼をされました。
被害者の方は国選弁護人が捜査機関を通じて謝罪の申し出をした時点でそれを拒否されていて、当事務所の弁護士が改めて申し出をしたのですがやはり御意向は変わりませんでした。
最終的に、Aさんは余罪捜査を行われることはなく、略式手続によって釈放されることとなりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【住居侵入事件について】

今回のAさんの事例では、見知らぬアパートの敷地内に侵入したうえ、他人の部屋のベランダに上がっています。
これは、住居侵入罪に該当します。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

住居侵入事件の場合、法定刑は比較的軽微と言えるかもしれませんが、被害者の住居地を知っているという犯罪の性質上、身柄拘束されるリスクが高いです。
弁護活動としては示談交渉がありますが、被害者の御意向によっては「被疑者(加害者)から家を知られているのでこの家に居たくない。引越し費用を要求する」ということになり、引越しに係る費用の一部または全部を負担することを求められる場合があります。

なお、Aさんが住居に侵入した目的は女性の下着を盗むということでした。
これについては、窃盗未遂罪が適用される可能性がありましたが、捜査機関はこの点については捜査を行いませんでした。

【住居侵入事件で略式手続】

今回の事件については、被害者の方との示談交渉が出来なかったこともあり、刑事罰は免れない状況でした。
しかし、Aさんは余罪での捜査を受ける恐れがあったのですが、その点については取調べ対応が功を奏し、立件には至りませんでした。
最終的に、検察官はAさんに対し略式起訴を行い、Aさんは略式手続に付されることになりました。
略式手続についての条文は以下のとおりです。

刑事訴訟法461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行を猶予し、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

略式手続は、比較的軽微な事件で被疑者が罪を認めていて、略式手続を行うことに同意(略受け)している場合に行われます。
正式起訴と異なり、公開の法廷で裁判が行われることなく書面上の手続きで、
・100万円以下の罰金
・科料(1,000円以上1万円未満)
の財産刑が科せられます。
略式手続は、正式裁判のように傍聴人に傍聴されることなく、淡々と手続きが進められるため、心理的な負担は軽いと言えます。
また、正式裁判は起訴から2ヶ月~数年と長期に亘って裁判が行われますが略式手続は納付書に従って罰金・科料の金額を納付するだけですので、その点でも負担は軽いと感じるでしょう。

神奈川県横浜市西区にて、住居侵入事件を起こしてしまった家族が逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の初回接見サービスをご利用ください。(有料)
弁護士が逮捕・勾留されている方の下に接見に伺い、今後の見通しや略式手続の可能性についてご説明いたします。

【解決事例】被害届取下げと告訴取消し

2022-10-09

【解決事例】被害届取下げと告訴取消し

名誉毀損の罪で捜査を受けたものの不起訴になったという事例をもとに、被害届取下げと刑事告訴取消しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県茅ヶ崎市在住のAさんは、茅ヶ崎市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは交際相手Xさんと交際していたつもりでしたが、Xさんには交際相手Vさんがいることが発覚しました。
そこで、AさんはVさんが勤務する勤務先の問い合わせフォームにて、「お宅の社員であるVさんは誰とでも寝るので、皆さん性病には注意してください。」という内容のメッセージを複数回、書き込みしました。
Vさんからの相談を受けた茅ヶ崎市内を管轄する茅ヶ崎警察署の警察官は、捜査の結果Aさんによる犯行と断定し、Aさんの取調べを開始しました。

依頼を受けた当事務所の弁護士は、担当する警察官に被害届や刑事告訴の提出状況を確認したうえでVさんの勤務先である会社に連絡し、Vさんとの示談交渉に挑みました。
最終的に、示談をお受けいただくことができて、送致を受けた検察官はAさんに刑事処分を科さない「不起訴」の判断を下しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【名誉毀損罪について】

名誉毀損罪の条文は以下のとおりです。

刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

・公然性
名誉毀損罪は公然性をその要件としています。
Aさんは、問い合わせフォームにVさんの名誉を毀損する事実を記載し送っていますが、この点で公然性が認められるかどうかについては争いがありました。
もっとも、Aさんとしてはやってしまった行為は事実で、相談の時点では反省して被害者に謝罪と賠償をしたいというご意向でしたので、迷惑をかけたという点について謝罪と賠償を行う示談交渉を行いました。

・事実の摘示
名誉毀損罪のいう「事実」は、真実である必要はありません。
ここでいう事実は、ある程度具体的な内容であり、且つ、他人や法人などの名誉を傷つけるような内容である必要があります。
例えば、「○○さんは阿呆だ」などという表現については、具体的な事実を摘示していないため名誉毀損罪には当たりません。(侮辱罪の成立は検討されます。)
また、摘示した事実は真実である必要はないため、事例でVさんが実際には複数の者と関係を持っていなかったとしても、名誉毀損罪は成立します。

・親告罪
刑法232条1項は、「この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」と定めています。
これは親告罪と呼ばれ、被害者等による刑事告訴がなければ、検察官は被疑者に対する公訴の提起、つまりは起訴することができません。
起訴されなかった場合、刑事裁判には発展しないため、刑事罰を科されません。

【被害届取下げと刑事告訴取消し】

刑事事件に当たる行為で被害を受けた被害者(本人やそのご家族)が加害者(被疑者)に刑事処罰を求める場合、捜査機関に捜査を求めることができます。
その際、
被害届の提出
②刑事告訴
③告発
といった手続きが用意されています。

被害届の提出について、これは、犯罪被害を捜査機関に申告するという内容です。
②の刑事告訴とは異なり、厳しい刑事処罰を求めるという意味合いは含みません。
とはいえ、捜査機関の捜査の端緒(捜査を開始するきっかけ)にはなります。

②刑事告訴は、犯罪被害者等の告訴権者が、犯罪被害を捜査機関に申告することに加え、犯人の厳しい刑事処罰をも求めるものです。
前章で触れたとおり、名誉毀損罪などの親告罪では告訴がなければ検察官は起訴することができません。

③の告発は、告訴権者以外の者が犯罪の事実を申告して、被疑者・被告人の刑事処罰を求めるものです。
国税庁の査察部などが脱税等違反を認めた場合や、市民団体が公職選挙法や政治資金規正法などの政治犯罪等の場合に行われます。

告訴されている事件では、被疑者の弁護人は「刑事告訴取消し」を求める示談交渉を行います。
親告罪で刑事告訴取消しを求めることで刑事罰が科せられないということは繰り返しお伝えしたとおりです。

被害届が出されている事件では、被疑者の弁護人は「被害届取下げ」を求める示談交渉を行います。
被害届取下げは、被害届が取り下げられたからといって刑事罰が科せられないわけではなく、検察官は捜査の結果、被害者の意思に関わらず被疑者を起訴することができます。
しかし、被害届取下げの有無は、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断するうえで極めて重要な要素です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの名誉毀損事件に携わってきました。
名誉毀損事件の場合、検察官による起訴がなされる前に告訴の取消しを求めることが効果的です。
神奈川県茅ヶ崎市にて、名誉毀損事件で被害届告訴状を提出され捜査を受けている方、あるいは名誉毀損罪に当たる行為か不安という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の無料相談をご利用ください。

【解決事例】有印公文書偽造事件で執行猶予

2022-08-13

【解決事例】有印公文書偽造事件で執行猶予

有印公文書偽造等の罪で起訴されたものの執行猶予判決を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県小田原市在住のAさんは、小田原市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、過去にいじめを受けて実名をインターネット掲示板に書き込まれた過去があり、実名を避ける生活を送っていました。
生活をするうえで身分証明書を提示する必要があることから、Aさんは本名で作成した運転免許証に上から違和感のないように書き込むことで、本名とは異なる名前の運転免許証として所持していました。
ある日、Aさんは自宅で宅配便の荷物を受け取ることができず小田原市内の配送センターに赴き荷物を受け取ろうとしたところ、身分証明書の提示を求められ、偽造した身分証明書を提示したところ従業員が不正に気付き、警察に連絡をしました。
通報を受けて臨場した小田原市内を管轄する小田原警察署の警察官は、Aさんに事情を聞き、有印公文書偽造罪で在宅捜査を行うことにしました。

Aさんからの依頼を受けた当事務所の弁護士は、Aさんが罪を認めていることを前提として、Aさんの主張を丁寧に聞き取った上で取調べで誤解を招かないためのアドバイスを行いました。
有印公文書偽造罪には罰金刑が用意されていないため、Aさんは公判請求され刑事裁判になりましたが、弁護士による弁護活動の結果Aさんは執行猶予判決となりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【有印公文書行使罪について】

文書を偽造・変造したり、偽造・変造された文章を使った場合、刑法第17章の文書偽造の罪に定める各罪に問われる可能性があります。

政府や公務員などの肩書きをもって作成された文書は、「公文書」として扱われます。
公文書には、住民票・戸籍謄本・パスポート・運転免許証・健康保険証などがあります。
公文書は社会的な信用性が高いことから、それ以外の文書である私文書に比べ法定刑が重く設定されています。
条文は以下のとおりです。

(公文書偽造等)


・刑法155条
1項 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2項 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3項 前2項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

(偽造公文書行使等)

・刑法158条 
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

公文書偽造罪は、公務員の肩書での署名や押印がなされている書類を「有印」、それ以外を「無印」として取り扱われ、
・有印の場合には刑法155条1項の有印公文書偽造罪に問われ、1年以上10年以下の懲役
・無印の場合には刑法155条3項の無印公文書偽造罪に問われ、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金
それぞれ処されます。

また、仮に自身で偽造をしていない場合でも、偽造した有印公文書を利用することは偽造有印公文書行使罪に問われます。

【有印公文書偽造罪での弁護活動】

有印公文書偽造罪については、その目的がどのようなものだったのかという点が問題となります。
例えば、詐欺などを行う際に使用する目的で公文書を偽造した場合、悪質であると判断され、厳しい刑事処罰が科せられる可能性があります。
それに対して、Aさんの場合は詐欺などの目的ではなく、恐怖体験から本名の使用を恐れてしまったというもので、悪質とまでは言えないという主張を行いました。
裁判官は、そのような事情を汲んだうえで、Aさんに対し執行猶予判決を下しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
有印公文書偽造罪のような、ともすれば厳しい刑事処罰を科せられる事件についても数多く対応してきました。
神奈川県小田原市にて、有印公文書偽造罪で捜査され執行猶予の付いた判決を目指したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合は初回接見サービスをご案内いたします。(有料)

【解決事例】住居侵入事件で学校対応

2022-08-10

【解決事例】住居侵入事件で学校対応

住居侵入事件で逮捕されたものの不起訴となった事案について、及びその際に在学していた学校対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。

【事例】

神奈川県中郡在住のAさんは、神奈川県内の大学に通う大学3年生(20歳)でした。
Aさんは、同じ大学に通う大学生Vさんに交際相手がいないのか知りたいと考え、Vさんの住む部屋を訪れベランダ側に回り込んだところ鍵が開いていたため、ベランダから侵入しました。
ところがその直後、Vさんは帰宅してAさんの存在を認め、警察署に通報しました。
通報を受けて臨場した神奈川県中郡を管轄する大磯警察署の警察官は、Aさんを住居侵入罪で現行犯逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族はすぐに当事務所に初回接見を依頼し、その後ご依頼いただきました。

依頼を受けた弁護士は、すぐに家族からAさんの学校生活の状況や今後の監督体制がどのようなものになるか確認をしたうえで、Aさんの事件の送致を受けた検察官に対して勾留の必要がない旨を主張しましたが、検察官は勾留請求しました。
次に弁護士は、勾留請求を受けて勾留の判断をする裁判官に対して勾留の必要がない旨を主張したところ、裁判官は勾留の必要がないと判断を下し、勾留請求を却下したため、Aさんは逮捕から2~3日で釈放されました。

今回の事案では、被害者であるVさんがAさんと同じ大学に通っていて、Vさんの報告を受けた大学はAさんの事案を把握していました。
そこで弁護士は、Aさんの捜査状況・示談状況について、各方面に了承を得た上で学校側に連絡し、最終的にVさんとの示談が締結されたことやAさんが不起訴になったことを踏まえ、学校がAさんに処分をしないよう求めました。
結果として、Aさんは不利益処分を受けることはありませんでした。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【住居侵入事件と釈放を求める弁護活動】

他人の家やアパートに無断で侵入する行為は、住居侵入の罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

なお、住居侵入の目的が金や下着などを盗む目的だった場合には窃盗未遂罪が、無理やり性的な行為をしようとする目的だった場合には強制性交等未遂罪や強制わいせつ未遂罪が、適用されます。

【刑事事件で学校対応】

コチラも併せてご参照ください。≪【解決事例】少年の盗撮事件で高校対応

Aさんのように、大学や専門学校といった在籍学校が事件について把握している場合、学校側から訓告・停学・退学といった懲戒処分を受ける恐れがあります。
よって、学校側に対し刑事手続きについて説明を行うとともに、事件がどのような内容であり、示談等の状況がどのようになっているか、刑事手続きがどのような状況にあるか、どのような結果になったか、といった説明を丁寧に行い、できるだけ学校側の処分を受けない方法を模索する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、単に刑事手続きについての対応を行うだけでなく、刑事事件を起こしてしまった方の社会復帰に必要な方法について考えるとともに、できる限りの対応を行っています。
神奈川県中郡にて、お子さんが住居侵入の罪で逮捕されて釈放を求める方、学校に知られてしまったことで学校に対し説明し不利益処分を回避したいとお思いの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

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