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【報道解説】女性に抱きついて逮捕 暴行罪と不同意わいせつ罪

2024-07-02

【報道解説】女性に抱きついて逮捕 暴行罪と不同意わいせつ罪

淫行

面識の無い女性に背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

「神奈川県逗子警察署は2日、暴行の疑いで、住所不定、無職の男(53)を逮捕した。
逮捕容疑は、1日午後2時40分ごろ、逗子市内の温浴施設内エレベーターで、同市内に住む従業員の女性(47)に背後から抱きついた、としている。
調べに対し『ハグしただけで暴行はしていない』と供述し、容疑を否認している
署によると、エレベーターには2人しかいなかった。
面識はなかったという。」
(令和4年10月2日にカナコロ:神奈川新聞社で配信された報道を参考に、場所等の事実を変更したフィクションです。)

【抱きつきは暴行罪になる?】

今回取りあげた報道では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕された男性には暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。

【抱きつきは不同意わいせつ罪になる?】

報道を読んだ方の中には、抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の不同意わいせつ罪ではないのかと思われた方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては不同意わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。

令和5年7月13日の刑法改正によって、以前は「強制わいせつ罪」とされていた罪が「不同意わいせつ罪」と改定されました。

不同意わいせつ罪とは、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をすることを処罰するとしています。
具体的な行為や事由として、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること等」、「アルコールやは薬物を摂取等」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益」の8項目が列挙されています。

不同意わいせつ罪が成立すると、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑が科されます。

そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の不同意わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。

このように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、不同意わいせつ罪や未遂罪が成立する可能性があります。

【抱きつきで刑事事件化したら】

取り上げた報道では、男性は暴行の疑いで逮捕されていますが、男性が女性に背後から抱きついたという事件ですので、今後の捜査では、男性が女性にわいせつな目的で抱きついたのか、抱きついた際に女性の身体のどこを触ったのかなどの抱きつき行為をしたときの具体的な状況などが詳しく捜査されることが予想されます。
抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。

先ほど説明した暴行罪と不同意わいせつ罪の法定刑を比べるとわかるように、不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。

そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱き着いて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

2024-06-28

【報道解説】業務上横領罪で事件化する前に 示談交渉に強い弁護士

神奈川県で業務上横領の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

「会社の口座から自身の口座に振り込み入金し、現金を着服したとして、神奈川県警本部と山手署は1日、業務上横領の疑いで、麺類製造・販売会社元経理担当で自称パート従業員の男(48)=横浜市=を逮捕した。」
(令和5年2月2日に埼玉新聞で配信された報道より、事実を一部変更したフィクションです。)

【意外に罪が重い業務上横領罪】

今回取り上げた報道では、男性が業務上横領罪の疑いで逮捕されています。

業務上横領罪は刑法253条に規定する犯罪で、「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立する犯罪です。
業務上横領罪が成立する場合としては、会社から割り当てられた業務として会社の備品を管理する業務を担っていた人が管理している会社の備品を転売した場合や、経理として会社の口座を管理している人が会社の口座から自分の口座へと送金して会社の資金を着服した場合などが考えられます。

このような業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっています。
法定刑に罰金が定められていませんので、仮に検察官が業務上横領罪で起訴するという判断をした場合は、略式起訴することができず正式な裁判が開かれることになります。

【業務上横領罪が会社に発覚したら?】

会社の資金を着服してしまったなどの業務上横領罪に当たる行為をしてしまった場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
業務上横領罪については、まず最初に会社内部で調査が行われて、調査の結果、会社が業務上横領罪について刑事告訴をしたところで警察などの捜査機関が捜査に乗り出すという流れで刑事事件化することが多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に寄せられる業務上横領の相談事例についても、まず会社側が業務上横領の事実を認識し、横領が疑われている方と会社側で話し合いを行い、横領した金額を返せば、会社側は被害届や刑事告訴を行わないと申し入れるケースが見受けられます。

そのため、業務上横領罪について会社が被害届や刑事告訴する前に、弁護士を通して会社に対して謝罪や横領金額の返金などの示談交渉をして、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった形で会社と示談を締結することができれば、警察が業務上横領罪について捜査に乗り出す前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。

また、被害を受けた会社側も、少しでも横領された金額が返金されることを望むことが多いので、横領を疑われている方の段階的な財産処分を通じて被害弁償をすることで、事実上の示談が成立することもあり得ます。

このように業務上横領罪を刑事事件化する前に当事者間で示談ができれば業務上横領罪の前科を付けずに事件を解決することができるでしょう。
そのような解決を目指すには、業務上横領罪が会社に発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県で業務上横領罪が会社に発覚してお困りの方や、業務上横領罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

【事例解説】大麻栽培の大麻取締法違反で逮捕

2024-06-24

【事例解説】大麻栽培の大麻取締法違反で逮捕

神奈川県茅ケ崎市の大麻栽培で大麻取締法違反で逮捕された刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【事例紹介】

神奈川県茅ケ崎市の自宅で営利目的に大麻草を栽培していたとして、中国人の留学生の男2人が逮捕されました。
大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのは、茅ケ崎市に住む中国人の留学生A容疑者(23)ら2人です。
警察によりますと、2人は15日、茅ケ崎市内の自宅で、大麻草それぞれ1本を栽培した疑いが持たれています。
2人は容疑を否認しているということです。
2人の自宅からは大麻草の鉢や小分けにするための道具などが押収されていて、警察は2人が大麻を密売していた可能性があるとみて調べています。
(令和5年9月18日のテレ朝NEWSの記事を元に、場所等の事実を改変したフィクションです。)

【大麻栽培の罪と営利目的の加重】

大麻取締法では、大麻について所持していたり、譲り渡したり、逆に譲り受けたりといった、大麻に関係する様々な行為を規制の対象にしています。
このような大麻取締法で規制される行為のひとつには大麻を栽培した場合も含まれています。

具体的な規定を見てみますと、大麻取締法24条1項では、「大麻を、みだりに、栽培し…た者は、7年以下の懲役に処する」と規定しています。
また、大麻取締法24条2項では、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300百万円以下の罰金に処する」と規定されています。

【薬物犯罪の捜査の特徴】

上記刑事事件において、被疑者らは大麻取締法違反の疑いで逮捕されたと報道されましたが、おそらく、逮捕に引き続きさらに10間の身体拘束(勾留)が決まる可能性が高いと見込まれます。
勾留とは、被疑者が住所不定であったり、逃亡や、罪証隠滅(証拠隠滅)をする恐れが見込まれる場合に、検察官が請求し、裁判官が認めることで、10日間の身体拘束を決定する手続きを言います。
さらに、勾留の満期にあたり、さらに最大10日間の勾留延長が決定した場合、合計20日間の身体拘束となる可能性もあります。

大麻取締法違反の薬物犯罪では、薬物の売買等の犯行の広がりから、複数犯あるいは組織的な犯罪になる可能性が高く、口裏合わせ等による罪証隠滅が強く疑われる傾向があります。

また、仮に釈放してしまった場合、薬物は軽量で可燃性であるため、他の犯罪に比べて証拠隠滅が比較的容易とされています。
それゆえ、薬物犯罪は、一般的に罪証隠滅が強く疑われる性質があり、勾留が決定しやすい犯罪類型と言われています。

また、勾留が決定した場合、通常であれば、勾留された被疑者は家族等との面会が許されるのに対し、被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると判断した場合は、被疑者が弁護人以外の人と面会することをを禁止したり、弁護人以外の人と手紙のやり取りをすることを制限することができ(刑事訴訟法81条)、これを「接見等禁止」と呼ぶことがあります。

上記の薬物犯罪の共犯や組織犯罪に結びつく性質から、薬物犯罪の刑事事件では、一般的に、勾留決定にあたって接見等禁止決定が付くことが多いとされています。

【接見等禁止決定が付されている家族と面会したい方は】

接見等禁止決定が付されて長期間にわたって面会できないという状況は、身柄を拘束されているご本人様や、身柄が拘束されている被疑者のご家族様にとって、大変重い苦痛であると思います。
そのため、接見等禁止決定が付されて大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

接見等禁止決定が付されている場合、弁護士は、接見等禁止決定の全部または一部を解除するように裁判官に申立てることができます。
このような接見等禁止決定の全部または一部の解除決定は、刑事訴訟法上に具体的な規定が置かれているわけではありませんが、弁護士が裁判官に働きかけて、裁判官の職権の発動を促すという形になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県茅ケ崎市で大麻取締法違反の疑いで勾留されているご家族の方と面会できずにお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県横浜市戸塚区の電車内の乗客同士の喧嘩で傷害罪 現行犯逮捕で身柄解放

2024-06-20

【報道解説】神奈川県横浜市戸塚区の電車内の乗客同士の喧嘩で傷害罪 現行犯逮捕で身柄解放

破壊

電車トラブルによる傷害罪の刑事事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道解説】

神奈川県在住の会社員男性A(25歳)は、会社帰りのJR東海道線の電車内で、同じ車両にいた会社員V(40歳)の顔を殴って鼻骨骨折させたとして、傷害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
神奈川県警戸塚警察署の調べでは、Aは電車内で座り込んでいたところ、Vに「電車内で座るな、邪魔だ」と言われ逆上し、Vに暴行を加えたとのことで、Aは逮捕容疑を認めている模様です。
(令和4年6月23日の神奈川新聞「カナコロ」の記事をもとに、犯行場所等の事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪は刑法第204条に規定されています。
傷害罪は、「人の身体を傷害した」場合に成立し、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。

刑法に規定する暴力犯罪において、傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯と言われています。
つまり、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立し、その結果「人の身体を傷害した」場合に傷害罪が成立することになります。

ここで言う「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力の行使」とされており、上記刑事事件例のように、人の顔を殴るという行為は、明確に「暴行」に該当し、その結果鼻骨骨折という傷害の結果が生じているため、傷害罪が成立することになります。

【電車トラブルから発展した傷害罪】

本来、犯罪行為が行われたからといって、すべての犯罪を警察が逮捕権を行使する訳ではありません。
警察は、逮捕のような強制処分ではなく任意の方法で捜査を進めることが原則とされており、逮捕が必要な場合には、裁判所が逮捕を必要と判断し、逮捕を許可して逮捕状を発行することが必要とされています(通常逮捕)。

しかし、上記刑事事件例のように、電車トラブルによる傷害罪という事案では、多くの人の目の前で傷害罪という犯罪が行われるため、逮捕状の発行を必要としない「現行犯逮捕」される可能性が非常に高いと言えます。
電車トラブルによる傷害罪で現行犯逮捕されてしまうと、そのまま警察の留置場で身柄を拘束されることになるため、それ以後、会社や学校に行けなくなる等の社会的不利益が生じます。

【傷害罪の刑事弁護活動】

そのため、電車トラブルの傷害罪で現行犯逮捕された場合、まずは早期に身柄を解放してほしいというニーズが考えられます。

被疑者が逮捕されると、警察は事件を検察官に送致します。
検察官は、逮捕に引き続いて被疑者の身柄を最大10日間拘束する「勾留」の必要の有無を判断し、検察官が勾留請求してこれを裁判所が認めると勾留が決定していまいます。
さらに勾留の満期において、さらに最大10日間の勾留延長が可能であるため、被疑者は最大20日間勾留されることもあり得ます。

これだけ長期間身柄が拘束されると、会社を解雇されたり、会社を辞職せざるを得なくなったり、その他重い懲戒処分を受けたり、様々な生活に支障をきたすことになるでしょう。
このような逮捕事案では、逮捕された段階ですぐに刑事事件の経験豊富な弁護士に弁護を依頼し、勾留が決定されることを回避する活動をしてもらうことで、早期に身柄が解放できるよう手を打つことをお勧めします。

【傷害罪の刑事弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪等の逮捕事案を数多く受任し、勾留阻止のための活動を数多く経験し、勾留阻止による早期釈放の実績を多数挙げております。
電車トラブルの傷害罪で逮捕されお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

2024-06-16

【報道解説】神奈川県川崎市多摩区の不同意性交等罪の逮捕事件

不同意性交等罪の逮捕事案を紹介しつつ、その刑事責任と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道事例】

令和5年7月14日、神奈川県川崎市で、知人の女性を暴行し同意なく性行為に及んだとして、不同意性交等罪の疑いで19歳の男子大学生が逮捕されました。
神奈川県警多摩警察署によりますと、男子大学生は、14日午後7時すぎ、川崎市多摩区内で、知人の10代女性が拒否しているにも関わらず暴行し、同意なく性行為に及んだ疑いが持たれています。
調べに対し、男子大学生は、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(令和5年7月15日に配信された「仙台放送」の記事を基に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【刑法改定:不同意性交等罪の新設】

令和5年7月13日をもって、「不同意性交等罪」が施行されました。

不同意性交等罪の新設の背景には、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、構成要件の明確化と細分化を進め、以てこの種の性犯罪に適切に対処する必要があるとの理由に基づいています。

このたびの刑法改正により、旧刑法の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」「強制性交等罪」「準強制性交等罪」を統合し、新法における「不同意わいせつ罪」および「不同意性交等罪」を規定することになりました。
あわせて、性犯罪についての公訴時効期間の延長や、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設なども盛り込まれています。

【不同意性交等罪とは】

本ブログでは、主に不同意性交等罪の構成要件と法定刑にしぼって解説します。

不同意性交等罪では、「次のような行為」等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず処罰されることになります(刑法第177条第1項)。

「次のような行為」等を簡潔にまとめると、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害(おそれも含む)」、「アルコール若しくは薬物の摂取」、「睡眠その他の意識不明瞭状態」、「不同意を形成・表明するいとまがない」、「予想と異なる事態への恐怖・驚愕」「虐待に起因する心理的反応」、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8項目が列挙されています。

改定前の強制性交等罪でも「暴行」もしくは「脅迫」が構成要件になっており、この「暴行」「脅迫」は、被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達する必要は無いとされていました(最高裁判例)。
被害者の犯行を著しく困難にする程度とは、具体的には、犯行態様のほか、時間的・場所的状況、被害者の年齢や精神状態等を考慮して客観的に判断されるとされていました。

今回の刑法改正は、上記のような総合的判断から踏み込んで、より具体的な構成要件を提示することで処罰範囲の明確化を図るべく改定されたものと思われます。

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑となっています。

【不同意強制性交等罪の刑事弁護】

今回の刑法改正によって不同意性交等罪が新設されましたが、従来の性犯罪に対する刑事弁護の原則どおり、前科が付くことを避けたい場合は、検察官に事件を起訴される前に被害者の方と示談を締結することが重要になります。
というのも、起訴前に被害者の方と示談を締結したという事実は、検察官が起訴をするかどうかの判断に当たって起訴を回避する判断に傾く考慮要素となるからです。

示談交渉は通常、被害者が成人であれば被害者本人と交渉を進めますが、被害者が未成年である場合は、被害者の保護者の方と示談交渉を行うことになります。

性犯罪全般の傾向として、被害者の方は、不安や恐怖に怯え、傷つけられた自尊心から犯人を許せないという処罰感情が強く、示談が難航することは珍しいことではありません。
しかし、刑事弁護の経験豊富な弁護士が、粘り強く謝罪や示談の条件を提示し、二度とこのような犯罪を起こさないと制約すること等を通じて、最終的に示談の締結に至る実績も多数ございます。
示談交渉は必ずしも決まった方法があるわけではなく、被害者の方が何を望んでいるのかを汲み取り、それに対して最適な問題解決案を提示することが最も重要ですので、示談締結の確率を少しでも上げたいと希望する方は、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
不同意性交等罪の性犯罪で被害者の方との示談を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談や初回接見サービスをご利用ください。

神奈川県藤沢市で傷害事件を起こしてしまった-成立する罪と準抗告申立による釈放を求める弁護活動について検討

2024-06-12

神奈川県藤沢市で傷害事件を起こしてしまった-成立する罪と準抗告申立による釈放を求める弁護活動について検討

神奈川県藤沢市で発生したとする架空の傷害事件を踏まえて、成立する罪と釈放を求める準抗告申立の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県藤沢市在住のAさんは、神奈川県内で自営業をしています。
事件当日、Aさんは藤沢市内の路上でタバコを吸っていたところ、見知らぬ高齢者Vさんから喫煙について指摘され、詰め寄られました。
その際、AさんはVさんを突き飛ばし蹴りを数発入れ、Vさんは怪我を負いました。
Vさんによる通報を受けて臨場した藤沢市内を管轄する藤沢北警察署の警察官は、Aさんを傷害罪で逮捕しました。
Aさんの家族は、担当弁護士から「既に勾留されているが準抗告申立により釈放される可能性がある」と説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【傷害罪について】

今回の事例では、Aさんは藤沢市内の路上で高齢者Vさんとトラブルになり、その際に暴力行為に及んだ結果、Vさんが怪我をしたというものを想定しています。
この場合、傷害罪の適用が考えられます。
条文は以下のとおりです。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

【準抗告申立により釈放を求める】

罪を犯した疑われる「被疑者」が警察官等によって逮捕された場合、逮捕から72時間以内に釈放されるか、勾留裁判を担当する裁判官により勾留質問という手続を経て勾留が認められるか、どちらかになります。
勾留が認められた場合、原則として10日間、その後1度延長が認められるので最大で20日間、身柄拘束されることになります。
なお、起訴後も勾留が続くことも十分に考えられます。

勾留を回避し釈放を求めるためには、弁護士により、勾留の裁判が行われる前に検察官や裁判官に対して勾留が不要であることを主張していく必要があります。
とはいえ、逮捕から勾留が認められるまでの手続きは、通常逮捕の翌日や翌々日頃までに行われるのが一般的で、それまでに弁護人を選任していないという事件が大半です。

勾留が認められた場合には最大20日間の勾留が避けられないのかというと、必ずしもそうではありません。
勾留が認められた場合、
・勾留裁判に対する不服申し立てる(勾留を認めた勾留裁判を取り消すよう申し立てる)準抗告申立て
・勾留裁判後に変更した事情を主張し釈放を目指す勾留取消請求
という方法で釈放を求めます。

このうち準抗告申立てについては、勾留の判断に対して「逃亡や証拠隠滅の恐れ等がないため勾留を認めた判断は誤りである」という主張を行います。
準抗告の判断は、勾留の判断を下した裁判官とは別の裁判官3名で行われます。
とはいえ、別の裁判官が判断するとはいえ、一度裁判官が認めた勾留を覆すことは容易ではありません。
その意味で、勾留される前に弁護士に弁護を依頼し、勾留の判断前に検察官・裁判官に対して勾留が不要である旨意見することが望ましいと言えます。

先述のとおり、被疑者段階での勾留は最大で20日間認められるものであり、学校や会社などに行けなくなるなど社会的な不利益は甚大です。
少しでも釈放される可能性がある事案では、積極的に準抗告申立を行うなどして釈放を求める必要があるでしょう。

神奈川県藤沢市にて、家族が傷害事件で逮捕されてしまい勾留が認められた場合でも、諦めることなく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
初回接見サービス(有料)を行ったうえで、準抗告申立が認められる可能性などについて丁寧にお伝えします。

神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい逮捕された場合にはどのような罪に問われる?

2024-06-09

神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい逮捕された場合にはどのような罪に問われる?

神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしてしまい取調べを受けているという事例を想定して、弁護活動や示談交渉について弁護士法人あいち刑事総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】

神奈川県相模原市緑区在住のAさんは、相模原市緑区の会社に務める会社員です。
Aさんは事件当日、相模原市緑区の駅構内でトイレの個室に忍び込み小型カメラを設置しました。
トイレを利用したVさんが小型カメラに気づき、警察に通報したことで、相模原市緑区を管轄する相模原北警察署の警察官が捜査を開始し、Aさんによる犯行であると認め、Aさんを盗撮による性的姿態等撮影罪で通常逮捕しました。

《ケースはすべてフィクションです。》

【盗撮で問題となる罪】

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
 1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
  イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
  ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
 2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
 4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
第2項 前項の罪の未遂は、罰する。
第3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。

神奈川県迷惑行為防止条例
第3条第3項
何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。

今回のAさんの事例について、Aさんはトイレでのいわゆる盗撮をしたことで逮捕されました。
盗撮については、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)または各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。

まず、性的姿態撮影等処罰法について、これは2023年に新設された法律で、スカートの中やトイレなどの盗撮、あるいは性的な行為や性行為を撮影した場合などに成立する罪で、性的姿態等撮影罪と呼ばれています。
次に、各都道府県の定める迷惑防止条例の問題について、これは2023年の性的姿態撮影等処罰法の施行以前からあるものです。
Aさんの場合は神奈川県相模原市緑区にて盗撮事件を起こしたことを想定していますので、神奈川県迷惑行為防止条例に違反すると考えられます。

【盗撮~性的姿態等撮影罪について~】

性的姿態等撮影罪は、
・正当な理由がなく
・性的な部位や性的な行為を
・密かに撮影する
場合に成立します。

また、いわゆる盗撮ではなくても
・突然撮影をしたり、酒に酔うなど意識がはっきりしない状況での性的な撮影
・16歳未満の性的な撮影
については、性的姿態等撮影罪が成立します。

また、未遂(被害者がカメラに気付いたりカメラがうまく作動しないなど実際には盗撮に至らなかった場合)も処罰されます。

【盗撮~迷惑防止条例違反について~】

盗撮は、従来どおり各都道府県の定める迷惑防止条例にも違反するおそれがあります。
神奈川県の定める神奈川県迷惑行為防止条例の場合、
・公共の場所や公共の乗り物の中で
・下着や服で隠された部分を見る、あるいはカメラなどを差し向ける行為
あるいは
・人を羞恥、あるいは人が不安を覚える方法で
・更衣室やトイレなどの衣服等を一部でも着けないでいるような場所において
・覗き見たり撮影したりする行為
が対象です。

【ケースの盗撮について】

ケースの場合、トイレという性器や肛門、臀部といった「人の性的な部位」を撮影する行為ですので、性的姿態等撮影罪に問われる可能性があります。
また、駅構内のトイレという、通常衣服等の一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を撮影する行為ですので、神奈川県迷惑行為防止条例にも違反することが考えられます。

1つの行為が2つ以上の罪に当たる場合は、いずれかの罪で処理されることになりますが、その場合は観念的競合といってより重い罪で処理されることになるため、性的姿態等撮影罪の量刑である3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処される可能性があります。
但し、実務では、被害者が特定されていない事件の場合、「正当な理由」があるのか否か確認できないとして、性的姿態等撮影罪ではなく神奈川県迷惑行為防止条例違反で処理することが考えられます。
例えば、Vさんがトイレの掃除などのために個室に入った人で、盗撮された被害者が特定されない場合など、

また、トイレに侵入したことによる建造物侵入罪の成立も検討されます。

【盗撮事件での弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに盗撮事件の弁護活動を数多く経験してきました。
主たる弁護活動としては、
・身柄解放活動
・不起訴や減刑を求める弁護活動
が挙げられます。

前者について、盗撮事件の場合は被疑者が逮捕される場合があります。
とりわけ、加害者が被害者の名前や連絡先を知っている場合などで、身体拘束しなければ被害者に接触して口止めなどをしてしまう恐れがあるとして、逮捕・勾留に踏み切ることが考えられます。
弁護士としては、家族の監督のもと、勾留の必要性がないことを主張して、勾留の回避・勾留決定の取消しや破棄を求める弁護活動が必要になります。

後者について、盗撮事件の場合は被害者がいます。
被害者が特定している場合、被害者に対し謝罪と賠償を行う示談交渉が必要不可欠になるでしょう。
また、窃視症の恐れがある場合には再犯防止のため依存症の専門医等の診断を勧めたり、家族全員で再犯を防ぐため相談する時間を設けて頂くなど、様々な対応が必要です。

神奈川県相模原市緑区にて、家族がトイレに侵入して盗撮事件を起こしてしまい、性的姿態等撮影罪や神奈川県迷惑行為防止条例違反で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまった場合を想定―痴漢で問題となる罪と略式手続について

2024-06-06

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまった場合を想定―痴漢で問題となる罪と略式手続について

神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて痴漢事件を起こしてしまったという架空の事例に沿って、痴漢事件で問題となる罪と略式手続について検討します。

【ケース】

神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAさんは、横浜市保土ヶ谷区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、横浜市保土ヶ谷区を走行するバス車内にて、右前に立っていたVさんの臀部(お尻)に右手で触るという痴漢行為をしました。
Vさんはすぐに運転手に被害を申告し、Aさんは通報を受けて臨場した横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官によって捜査されることになりました。
Aさんはインターネットなどで痴漢事件の手続の流れについて調べたところ、略式手続の可能性があるという記事を目にしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【横浜市保土ヶ谷区での痴漢事件について】

今回Aさんが行った、Vさんの臀部に触れるという行為は、俗に痴漢と呼ばれ各都道府県の定める迷惑行為防止条例に違反することとなります。
ケースでは横浜市保土ヶ谷区での事件を想定しているため、下記の神奈川県迷惑行為防止条例が問題となります。

神奈川県迷惑行為防止条例3条1項 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
罰条:「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(同条例15条1項)

【略式手続とは】

通常の刑事手続では、検察官が裁判所に被疑者を起訴をし、起訴された被疑者は被告人という立場になり、裁判所の法廷で裁判が行われ判決が言い渡されます。
しかし、比較的軽微な事件(100万円以下の罰金又は科料に相当する事件)の場合、通常の手続を簡略化した略式起訴が行われる場合があります。
検察官が略式起訴を決め、被疑者の異議がなかった場合、検察官は簡易裁判所に書類を送り、書面にて処分を下します。
公開の裁判等は行われません。
略式起訴は通常の刑事手続きに比べ、公開の裁判を受けずに済み、その場合に必要な弁護士費用等の負担もなくなるため、被疑者・被告人にとって有利であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの痴漢事件に携わってきました。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、痴漢などの刑事事件を起こしてしまい略式手続の可能性がある方は、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

神奈川県川崎市中原区での架空の事例を踏まえて検討:窃盗事件などで見受けられる微罪処分とは?

2024-06-03

神奈川県川崎市中原区での架空の事例を踏まえて検討:窃盗事件などで見受けられる微罪処分とは?

刑事事件で捜査をした場合、警察官などの捜査機関は原則として全件を検察官に送致する必要があります。
しかし、一定の軽微な犯罪の場合、警察官の判断で処分する微罪処分という手続があります。

【ケース】

神奈川県川崎市中原区在住のAさんは、川崎市中原区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、川崎市中原区の駅構内のトイレで被害者Vさんが置き忘れていた財布を見つけ、中に入っていた現金8.200円を抜き取りました。
後日、Aさんの家に川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官が来て、捜査を受けることになりました。
Aさんは弁護士に弁護を依頼して誠心誠意対応した結果、微罪処分となりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【微罪処分について】

まず、警察官をはじめとした捜査機関が刑事事件の捜査を行い、犯人の疑いがあるとされた人は「被疑者」という立場になります。
警察官等はまず被疑者の捜査(取調べや客観証拠の収集など)を行ったうえで、原則として、在宅事件の場合は書類を、身体拘束している事案であれば書類と被疑者の身柄を、検察官に送致しなければなりません。(全件送致主義)
送致を受けた検察官は、警察官などが作成した書類などを確認し、必要に応じて追加の捜査を指示した自ら取調べを行うなどして、被疑者を起訴するかどうか判断します。(起訴便宜主義)

但し、検察官が予め指定した軽微な事件について、警察官は検察官に送致しなくてもよいとされています。(刑事訴訟法246条但書)
これを、微罪処分と呼びます。
微罪処分となった場合の効果は検察官が行う不起訴処分と同様で、基本的に、その後刑事罰が科されることはありません。

微罪処分の条件(要件)は公開されていないものの、被害金額の軽微な窃盗事件や詐欺事件等一部の犯罪に限られます。

神奈川県川崎市中原区にて、置き忘れの財布などの中身を抜き取って窃盗罪や遺失物横領罪で捜査を受けていて、微罪処分について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
ご予約はこちらから。

転売目的で万引きを繰り返し家宅捜索を受けたという架空の事例を踏まえて手続と刑事罰について検討

2024-05-30

転売目的で万引きを繰り返し家宅捜索を受けたという架空の事例を踏まえて手続と刑事罰について検討

逮捕されないか不安

自分で消費する目的ではなく、転売する目的で万引き行為を繰り返していたところ家宅捜索を受けたという架空の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【ケース】

神奈川県秦野市在住のAさんは、秦野市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、秦野市内の大型商業施設にて、万引き行為を繰り返してはインターネットオークションサイトで転売する行為を繰り返していました。
ある日、Aさんの自宅に秦野市内を管轄する秦野警察署の警察官が来て、裁判所から発付された令状を示し、家宅捜索が行われることになりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【いわゆる万引きで問題となる窃盗罪について】

ケースのAさんは、いわゆる万引き行為を繰り返していました。
万引き行為は窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗をしてしまう方の中には軽い気持ちでやってしまう方もおられます。
しかし、窃盗罪は懲役刑も用意されている罪です。
そして、何より被害者である店舗オーナーにとっては重大な損失であることから被害感情は厳しいものである場合が多く、とりわけチェーン店の場合には示談はもとより被害弁償(買取り)にも応じないという場合が少なくありません。

更に、ケースの場合には窃盗を繰返し行っていて、その目的は転売です。
よって、この事案は極めて悪質と言えることから、たとえ初犯であったとしても公判請求(起訴)され裁判を受ける可能性があります。
但し、捜査機関は被疑者が「いつ・どの店で・どの商品を・何点窃取したか」を立証していく必要があります。
そのため、繰返し窃盗したからといって全てを立件されるわけではありません。

【家宅捜索とは?】

捜査機関が対象者の家や職場などを捜査するいわゆる家宅捜索は、正式には「捜索」と「差押え」という2つの手続きが行われているものです。
両者は強制処分ですので、原則として令状に基づいてのみ行われます。

まず、警察官などの捜査官は、裁判所に対し令状を請求します。
この令状は、捜索と差押えの双方を許可する「捜索差押許可状」という書類で発付される場合が一般的です。
捜索差押許可状の発付を受けた捜査官は、令状を執行することになります。
執行に際しては、処分を受ける者に対し、事前に令状を示す必要があります。
また、捜索・差押えに際しては立会人が必要です。

差し押さえられた物は、裁判等での証拠品として扱われます。
差押えの対象となるのは、例えば
・万引きの被害品
・犯行当時着ていた衣服
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
など様々です。

家宅捜索を受けたのち、在宅で捜査が続けられる可能性もありますが、家宅捜索で押収された証拠を元に逮捕状が発付され、後日逮捕されるという場合も少なくありません。

神奈川県秦野市にて、転売目的で窃盗行為を繰り返してしまい家宅捜索を受けた場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

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