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【報道解説】お店で商品を窃盗して逮捕 被害弁償・示談の可能性を探る弁護活動

2025-09-02

【報道解説】お店で商品を窃盗して逮捕 被害弁償・示談の可能性を探る弁護活動

神奈川県横浜市でお店の商品を盗んだとして窃盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

前科を避けたい

【報道紹介】

令和7年8月27日午後、神奈川県横浜市の複合商業施設内でTシャツ2枚(販売価格5720円)を盗んだとして、55歳の男が逮捕されました。
男は、27日午後1時前、横浜市の商業施設内で、商品として陳列されていたTシャツ2枚1セット(販売価格5720円)を盗んだ疑いが持たれています。
警察によりますと、男が店を出た約45分後、被害にあった店舗から「万引き犯が戻ってきて、返金名目でクレームを入れている」と通報があり、事件が発覚しました。
その後、防犯カメラの捜査などから男の容疑が固まったとして、27日午後、男の逮捕に至りました。
警察の調べに対し、容疑者は「盗んだことは間違いない」と話し、容疑を認めているということです。
(令和7年8月28日づけ「HBC北海道放送」の記事を参考に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【窃盗罪の内容と罰則】

今回取り上げた報道では、お店の商品を盗んだとして被疑者が窃盗罪の疑いで逮捕されています。

窃盗罪を定める刑法第235条によれば、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」としています。

窃盗罪は拘禁刑と罰金の選択刑となっており、具体的は犯行内容の悪質性、被害金額の多寡、犯人は前科や犯行回数の程度、犯行に対して酌量すべき情状などによって、幅広く刑罰を科すことができます。

一般的に、犯人に前科がないこと(初犯であること)や、「万引き」に分類される被害額が少ないものに関しては、罰金刑が科されるケースが多い傾向にあります。
しかし、会社内での窃盗など、数多い反復性が想定されるものや、総額としてかなりの被害額に昇ることが多い犯行については、実刑(法改正前の懲役刑)が科されるケースもあります。

【法改正による拘禁刑の導入】

2025年6月1日の刑法改正の施行により、従来の刑罰である「懲役刑」と「禁固刑」が、新しく「拘禁刑」に一本化されました。
これまでの刑罰では、刑務所に収監されている間に、刑務作業の義務がある懲役刑と、刑務作業が任意となる禁固刑に、区別されていました。

拘禁刑では、個々の受刑者に応じて、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合には、刑務作業を行わせるものとされています。

刑法第12条によれば「拘禁刑は、無期及び有期とし、有期拘禁刑は、一月以上二十年以下」で、「拘禁刑は、刑事施設に拘置する」ことであり、「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うとができる。」としています。

【お店に対する窃盗罪が発覚したら】

お見せの商品を窃盗して窃盗罪等の財産犯罪の疑いが生じた場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に寄せられる、いわゆる万引きの窃盗罪の相談事例について言えば、基本的にはお店は営業として商品やサービスを取り扱っている関係上、万引きによる窃盗犯に対しては即座に被害届を提出する等の厳しい決定をする傾向が多くみられます。

そのため、窃盗罪について会社が被害届をした後に、弁護士を通してお店に対して謝罪や窃盗金額の返金などの被害弁償を申し出て、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった被害の回復ができれば、検察官が窃盗罪の処分を決める際に、被疑者の情状面で反省や被害回復を加味した決定をすることが期待できます。

このように、窃盗罪を刑事事件化してしまった後でも、被害者に対する被害回復や、場合によって当事者間で示談ができれば、前科を付けずに事件を解決することができる可能性があります。
そのような解決を目指すには、窃盗行為が発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県横浜市でお店に対する商品の窃盗罪が発覚してお困りの方や、窃盗罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県川崎区の盗撮事件 逮捕・勾留後の身柄解放弁護活動

2025-08-29

【報道解説】神奈川県川崎区の盗撮事件 逮捕・勾留後の身柄解放弁護活動

盗撮行為で逮捕・勾留された場合の身柄解放のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

神奈川県川崎警察署は8月27日、川崎市中原区に住む男子高校生(16)を、性的姿態等撮影未遂の疑いで逮捕しました。
男子高校生は、27日午後5時ごろ、川崎市の駅構内のエスカレーターで、利用客の女性(10代)のスカート内を、スマートフォンで撮影しようとした疑いが持たれています。
同駅員から「他の客が盗撮犯と被害者を連れてきた」と警察に通報して事件が発覚しました。
警察によりますと、地下鉄駅構内のエスカレーターに乗っていた通行人が、10代女性のスカート内を撮影しようとしている男子高校生を目撃し、駅員のもとへ連れて行ったということです。
調べに対し男子高校生は「盗撮したことに間違いありません」と容疑を認めています。
警察は、詳しい事件の経緯や、男子高校生の余罪について調べています。
(令和7年8月28日づけ「STV NEWS」の記事を参考に、一部事実を変更したフィクションです。)

【逮捕後の勾留】

刑事事件の捜査段階では、逮捕されて身柄拘束を受けたままで警察取調べを受ける逮捕・勾留のパターンと、警察署への呼び出しを受けて日帰りの警察取調べを受ける在宅捜査のパターンの2通りが考えられます。

逮捕・勾留のパターンでは、まず逮捕によって2、3日間の身柄拘束があり、その後、検察官による勾留請求を受けて、裁判所が勾留決定を出せば、勾留により10日間(勾留延長により最長20日間)の身柄拘束が続くことになります。

ですので、逮捕・勾留の一連の流れではほぼ1カ月ちかく身体が拘束されることになるため、会社や学校との社会から切り離されることにより、経済的・社会的信用の点で大きなダメージを受けることになります。

【準抗告】

被疑者に対する勾留が決定した後でも、その決定に対して不服申し立て(準抗告)を行うことができます(刑事訴訟法第429条第1項第2号)。
勾留の決定は、単独の裁判官によってなされますが、その裁判官の判断が誤っていることを準抗告で主張し、最初の勾留決定に関与していない3人の裁判官によって改めて勾留の可否が判断されます。

勾留の理由は、勾留状謄本の交付請求により知ることができ、弁護人はその勾留の理由を分析したうえで、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)や勾留の必要性がない勾留決定であることを準抗告で主張する必要があります。

勾留の必要性がないことの主張としては、例えば、扶養家族や定職があることや身元引受人(家族等)の監視が期待できるため逃亡する可能性はないこと、被害者の接点がないため被疑者が被害者に供述を変えるよう迫る可能性はないこと、勾留されることで失職し本人や家族の生活に支障をきたすおそれがあること、などが考えられます。

勾留に対する準抗告が認容されれば、被疑者は釈放され、以降は在宅での捜査となるため、仕事等への復帰も基本的に可能になります。

【勾留取消請求】

準抗告が却下された場合でも、その後の事情の変化により勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったと判断される時に、勾留の取り消しを請求することができます(刑事訴訟法第87条第1項)。
勾留取消請求においては、起訴後の身柄拘束からの釈放である保釈とは異なり、保証金などの金銭の納付の必要はありません。

裁判所が勾留の取り消しを認めることが考えられる場合として、勾留決定後の被害者との示談の成立があります。
盗撮事件における被害者との示談の成立は、不起訴処分の可能性を高めるものであり、逃亡や罪証隠滅のおそれを低下させるとともに、それに伴い勾留の必要性を低下させるものであると考えられます。

準抗告の認容と同様、勾留取消請求が認容されれば、被疑者は釈放され、以降は在宅での捜査となるため、仕事等への復帰も基本的に可能になると思われます。

【盗撮で逮捕されたら弁護士へ相談を】

このように、盗撮で勾留決定された場合でも、被疑者の身柄解放を諦める必要はなく、勾留の理由を的確に分析し、適切な弁護活動を迅速に開始することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、盗撮事件での弁護活動により身柄解放を実現した実績が多数あります。
ご家族が盗撮事件で逮捕され不安を抱える方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

【報道解説】刃物による暴行事件で現行犯逮捕 傷害と殺人未遂

2025-08-21

【報道解説】刃物による暴行事件で現行犯逮捕 傷害と殺人未遂

神奈川県横浜市の刃物による暴行事件を例に、傷害・暴行事件と殺人未遂事件の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道事例1】

JR東海道線の横浜駅で30代の女性が切りつけられた事件で、傷害の疑いで逮捕された中国籍の女が指輪に仕込まれたナイフで犯行に及んでいたことが新たに分かりました。
この事件は7月28日、JR東海道線の横浜駅のホームで女性(37)の右腕を刃物で切りつけ、軽いけがをさせたとして、中国籍のA容疑者(35)が逮捕されたものです。
その後の警察への取材で、A容疑者は指輪に仕込まれたナイフを使って犯行に及んでいたことが新たに分かりました。
指輪の直径は2センチほどで、ボタンを押すと長さ6ミリほどのナイフが飛び出してくるものでした。
A容疑者は「痴漢の護身用」に身につけていたと説明していて、取り調べに対し、「駅で女性に横入りされてカッとなってしまった」と容疑を認めているということです。
(令和7年8月6日に配信された「TBS NEWS DIG」の記事を参考に、事実を一部変更したフィクションです。当所で受任した事件ではありません。)

【報道事例2】

横浜市港南区の公園近くで、自称ユーチューバーの男性が足を刃物で刺されケガをする事件がありました。
男性を刺した男は刃物を持ったまま逃走しているということで、警察は殺人未遂事件として捜査しています。
8月7日午前5時45分ごろ、横浜市港南区の公園近くの路上で、横浜市に住む自称ユーチューバーの48歳男性が刃物のようなもので右の太ももなどを男に刺されたということです。
男性はケガをしていますが、命に別状はないということです。
男性を刺した男は年齢が60代ぐらいで、現場から刃物を持ったまま逃走しているということです。
男性は刺される直前に男と口論になっていたということです。
警察は男の行方を追うとともに、殺人未遂事件として捜査しています。
(令和7年8月7日に配信された「MBS NEWS」の記事を参考に、犯行場所等の事実を一部変更したフィクションです。実際は大阪府大阪市で発生した事件です。)

【暴行・傷害のケース】

他人に対して、正当な理由が無いにも関わらず、何らかの物理的な力を加えるなどの暴行行為をした場合、暴行罪が成立します。

そしてその暴行の結果、相手がケガをした場合には傷害罪が成立します。

暴行罪の法定刑は「2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」であり、傷害罪の刑事処罰の法定刑は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。

いずれの場合も、暴行の悪質性や被害者の負傷の程度等、違法性に関する事情を総合的に考慮して、法定刑の範囲内で罪の軽重が判断されることになります。

上記報道事例1の場合、指輪に仕込まれた刃の大きさによる危険性や、その目的が痴漢に対する護身用であったこと等を総合的に考慮して、おそらく傷害罪の適用がされたのだと推察されます。

【殺人未遂のケース】

そして、暴行行為の際に、「相手を殺そうとする意思」(殺人の故意)があった場合には、殺人未遂罪が成立する可能性があります。
殺人未遂罪の刑事処罰の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑」とされています。

「殺人の故意」とは、「これをやれば、相手が死ぬかもしれないけれども、それでも構わない」と考えて、暴行行為などをした場合にも、(未必の)故意が認められるとされています。

上記報道事例2の場合、加害者は包丁やナイフ等、社会通念上、人を殺害できるレベルの凶器を用いて被害者を攻撃した点から、殺人未遂罪の線で捜査を進めているのだと思われます。

【暴行事件・殺人未遂事件の刑事弁護】

警察の取調べにおいて、事件当時の具体的な暴行行為の程度や、事件発生に至った経緯などを、どう供述するかが、その後の刑事処罰の判断に大きく影響すると考えられます。
事件捜査の初期段階で、刑事事件に強い弁護士と法律相談することで、警察取調べの供述対応を、弁護士とともに検討することが、その後の刑罰軽減のために重要な弁護活動となります。

また、被害者側との示談交渉活動を、弁護士が仲介して行うことで、被害者側からの許しを得られるような示談が成立した場合には、示談成立の事情が、刑事処罰の軽減に影響することが期待されます。

まずは、刃物による暴行事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横浜市の刃物による暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県藤沢市で未成年者が特殊詐欺に加担して詐欺罪で逮捕

2025-08-17

【報道解説】神奈川県藤沢市で未成年者が特殊詐欺に加担して詐欺罪で逮捕

神奈川県藤沢市の未成年者(少年法上の少年)特殊詐欺事件の刑事手続等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

70代の女性から現金600万円をだまし取ったとして、警察は詐欺罪の疑いで、住所不定の17歳の男子高校生を逮捕しました。
男子高校生は特殊詐欺の「受け子」の役割だったとみられます。
先月15日、神奈川県藤沢市に住む70代の女性の自宅に高校生と共謀したとみられる男から、女性の息子を偽り「バッグを置き引きされた」「会社の契約に1500万円が必要で助けてほしい」と電話がありました。
その後、男子高校生は「息子の上司の甥」になりすまして女性の自宅を訪れ、現金600万円をだまし取った疑いがもたれています。
警察によりますと、男子高校生は別の特殊詐欺事件で千葉県警にすでに逮捕されていて、警察は余罪も含めて捜査しています。
(令和7年8月6日に「FNNプライムオンライン」で配信された報道を参考に、事実を一部変更したフィクションです。)

【高校生が特殊詐欺で逮捕された場合の身柄拘束】

SNS上では「書類を受け取るだけの簡単なバイト」や「指定された口座から現金を引き出すだけの楽なバイト」などの言葉と共に特殊詐欺の受け子・出し子役の勧誘がなされています。
高校生のお子さんが、簡単にお金が稼げるならと、受け子や出し子として実際に特殊詐欺に関わってしまったがために警察に逮捕されるということは全く珍しいことではありません。

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として、刑法246条1項の詐欺罪や刑法235条の窃盗罪に当たり得る行為をしてしまうと、警察に逮捕されて身柄が拘束されてしまうことになるでしょう。
警察に逮捕されると48時間以内に一度警察から検察へと事件が送致されることになり、事件の送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうかの判断を下すことになります。

逮捕した高校生のお子さんの身柄を更に拘束しておくためになされた勾留請求が認められて勾留が決まってしまうと、原則として10日間身柄が拘束されることになりますし、また、勾留期間は最長で10日間延長することができます。
こうした逮捕・勾留は事件ごとに行われることになりますから、特殊詐欺の受け子や出し子を複数件やってしまうと、2回、3回と逮捕・勾留がなされてしまう場合もあり得ます。

こうした逮捕・勾留を経て捜査機関による捜査が終了すると、事件は検察から家庭裁判所へと送られることになります。
家庭裁判所では少年審判を開いて、特殊詐欺の受け子や出し子をした少年の最終的な処遇を決めることになるのですが、少年審判を開く前に、家庭裁判所は観護措置として、事件を起こした少年の身柄を少年鑑別所で収容することができます。
観護措置の期間は原則としては2週間ですが、一度に限って2週間の更新をすることが認められていますので、実務上は、観護措置の期間として4週間がなされることが多いです。

ですので、高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されると、その後の勾留や観護措置の期間と合わせて2か月間に満たないぐらいの期間にわたって身柄が拘束されてしまう可能性があることになります。

【弁護士に依頼するとどのようなメリットがある?】

高校生のお子さんが、特殊詐欺の受け子や出し子として警察に逮捕されたということを知った場合は、いち早く弁護士に事件について依頼することをお勧めします。
弁護士が逮捕直後に事件に介入することができれば、身柄開放に向けた弁護活動について早期に取り組むことが可能になります。
また、最終的に少年の処遇が決定される少年審判において少年院送致といった重い処遇を回避するためにも、早いタイミングから弁護士が対応をとることが非常に重要になるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県藤沢市で、未成年のお子様が詐欺の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県相模原市で窃盗目的の住居侵入事件で逮捕 刑事手続の開始と弁護活動

2025-08-13

【報道解説】神奈川県相模原市で窃盗目的の住居侵入事件で逮捕 刑事手続の開始と弁護活動

神奈川県相模原市で下着窃盗目的の住居侵入事件で逮捕された事案を例に、犯罪捜査開始のきっかけと刑事手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

逮捕されないか不安

【報道紹介】

女性宅に侵入して下着や財布を盗んだとして、神奈川県警は、令和7年7月25日に、相模原市の大学生の男性(19歳)を、窃盗罪と住居侵入罪の疑いで逮捕したと、発表した。
男性は容疑を認め、「髪の長い女性はおとなしそうで抵抗されないと思って狙った。ほかにわいせつ行為や盗撮を数件した」と話しているという。
神奈川県警相模原警察署によると、逮捕容疑は7月4日午後11時半頃に、相模原市内の10代女性が住むマンションの一室に侵入し、下着や財布などを盗んだというもの。
近くの駅から女性の後をつけ、無施錠の玄関から侵入したという。
男性は、別の女性の尻を触ったとして、不同意わいせつ容疑で、7月8日に逮捕された。
相模原市内では7月、帰宅途中の女性がわいせつ行為を受ける被害が相次いでおり、署が関連を調べている。
(令和7年7月25日に配信された「朝日新聞」より抜粋)

【下着窃盗事件の刑事処罰とは】

下着窃盗事件を起こした場合には、刑法の「窃盗罪」に当たるとして、「10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」という法定刑で、刑事処罰を受けます。
また、下着窃盗目的で民家等に不法侵入をした場合には、刑法の「住居侵入罪」に当たるとして、「3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金」という法定刑で、刑事処罰を受ける可能性も考えられます。

下着窃盗事件の刑事処罰の量刑が判断される際には、犯行の悪質性や、前科前歴の有無、被害者側との示談成立の有無、等の事情が考慮されます。
まずは、弁護士に法律相談をして、警察取調べでの供述対応や、被害者との示談対応などについて、今後の弁護方針を立てることが重要となります。

まだ被害者側が、事件のことを警察に通報していない段階においては、加害者側が警察に自首をすることにより、刑事処罰を軽くしたり、逮捕の可能性を低くできる可能性があります。
ただし、自首には、自ら刑事処罰を被りに行くという側面もあるため、自首をするのかどうかの判断や、自首した際の警察取調べで、下着窃盗事件の犯行内容をどのように供述説明していくかを、事前に弁護士と法律相談することが重要です。

【警察による犯罪捜査開始のきっかけ】

警察などの捜査機関が、犯罪の捜査活動を始めるきっかけとなる事情として、「通報」「被害届」「告訴」「告発」「自首」「検視」「職務質問」「所持品検査」などが挙げられます。

「通報」とは、110番に電話するなどして、犯罪事実の発生を警察に伝えることをいいます。
「被害届」とは、犯罪に巻き込まれたことによる被害状況を警察に申告する書類をいいます。

「告訴」とは、犯罪の被害者など告訴する権利を有する者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その捜査と訴追を求める意思表示をいいます。
「告発」とは、被害者などの告訴権者でない第三者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その捜査と訴追を求める意思表示をいいます。
告訴・告発は、正式に受理されれば捜査機関による捜査の開始が義務付けられることになりますが、被害届に比べて、受理されるためのハードルは高くなっています。

「自首」とは、犯罪を起こした者が、そのことが発覚する前に、捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告することをいいます。

「検視」とは、変死の疑いのある遺体の状態や周囲の状況を検分し、犯罪性の有無を確かめる処分をいいます。

「職務質問」とは、警察官が、挙動不審な行動等により何らかの犯罪を犯した疑いのある者等を停止させて、質問することです。
職務質問の際には、警察官によって、質問される者の「所持品検査」が行われる場合があります。

【刑事事件化後は弁護士に相談を】

自分が犯罪に当たる行為をしたという心当たりのある方は、一度、弁護士に法律相談することで、その行為が犯罪に当たるのか否か、あるいは、その行為に対して警察がどう動くのかについて、刑事事件の経験豊富な弁護士より、法的なアドバイスを受けることができます。

まずは、下着窃盗事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県相模原市の下着窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県川崎市の不同意わいせつ事件 逮捕・勾留後の刑事弁護活動

2025-08-09

【報道解説】神奈川県川崎市の不同意わいせつ事件 逮捕・勾留後の刑事弁護活動

神奈川県川崎市の不同意わいせつ事件を例に、逮捕後の勾留(身柄拘束)の要件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

路上を歩いていた女性の尻をつかんだとして、神奈川県警捜査1課と川崎警察署は5日、不同意わいせつの疑いで、川崎市の介護士の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は、7月25日午後11時10分ごろ、川崎市内の路上で、徒歩の女性(22)に後ろから自転車で近づき、追い抜きざまに女性の尻をつかんだ疑い。
同署の調べに「間違いありません」と容疑を認めているという。
同署によると、周辺では1カ月以内に同様の被害が数件あり、同被疑者に対して横浜地方裁判所川崎支部は勾留を決定した。
(令和7年8月5日に配信された「神戸新聞NEXT」の記事を参考に、場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【不同意わいせつ罪の刑事処罰とは】

刑法第176条に定められている「不同意わいせつ罪」は、以下に掲げる行為や状態によって、被害者の同意が無い状態や、不同意を表明することができない状態を利用してわいせつな行為をした場合に成立するとされています。

・暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
・心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
・アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
・睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
・同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
・予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
・虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
・経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意わいせつ罪は、上記の不同意状態に乗じたわいせつ行為であれば、婚姻関係の有無にかかわらず成立します。

不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑とされています。

【勾留(身柄拘束)の要件とは】

刑事犯罪を起こして逮捕された場合には、逮捕から2、3日の間に、さらに身柄拘束が10日間続くのか、あるいは釈放されるか、という勾留判断がなされます。
勾留する(身柄拘束を続ける)ために必要とされる要件として、「犯罪の嫌疑があること」「勾留の理由があること」「勾留の必要性があること」があります。

・刑事訴訟法 第60条第1項
「裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

上記の条文の「住所不定」「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」という3つの事由を、「勾留の理由」といいます。
実際の場面で、逮捕勾留するかどうかを判断する際に考慮される事情としては、「容疑を否認しているか」「証拠隠滅の可能性があるか」「他にも共犯者がいるか」「逮捕しなかった場合に、再犯の可能性があるか」等といった事情が、特に重視される傾向にあります。

【不同意わいせつ罪と勾留の有無】

不同意わいせつ罪は、6月以上10年以下の拘禁刑と比較的法定刑が重く、加害者による被害者への再犯の可能性を防止する必要があること、一般に性犯罪は再犯可能性が高い傾向にあること等から、数ある刑罰の中でも勾留が決定されやすい部類の犯罪と言えます。

また、上記刑事事件例のように、他にも余罪が複数あると疑われている被疑者に対しては、証拠隠滅の防止や再犯防止の必要がより一層高いと判断されるため、より勾留が決定される可能性が高いと言えます。

【勾留された被疑者に対する刑事弁護】

接見依頼を受けて、逮捕者との接見(面会)に向かった弁護士は、逮捕者本人から具体的な事件の詳細を聞いた上で、警察取調べ対応のアドバイスを行うとともに、今後の弁護方針を検討します。
逮捕者の身柄拘束(勾留)が続くか、釈放されるかについての判断は、逮捕後72時間以内の検察官による勾留請求によって手続きが進みます。
弁護士接見(面会)の後、弁護依頼を受けた弁護士は、すぐさま検察官や裁判所に働きかけること等を通じて、勾留決定が出ることのないよう、一日も早い釈放に向けて、弁護活動に尽力いたします。

まずは、不同意わいせつ罪等の犯罪事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県川崎市の不同意わいせつ罪等の性犯罪の刑事事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県海老名市で人身事故を起こして過失運転致傷罪で逮捕

2025-08-05

【報道解説】神奈川県海老名市で人身事故を起こして過失運転致傷罪で逮捕

自動車運転中の過失で人身事故を起こしてしまった場合に生じうる刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

自動車事故

【報道紹介】

きのう、神奈川県海老名市の高速道路で大型トラックなど6台が絡む事故があり、女性1人が死亡しました。
警察は大型トラックの運転手を現行犯逮捕しています。
きのう午前10時半ごろ、神奈川県海老名市の高速道路で大型トラックが渋滞でとまっていた普通乗用車3台に衝突し、ほかの2台も巻きこまれる多重事故が発生しました。
この事故で、大型トラックが最初に衝突した車に乗っていた65歳の女性が死亡したほか、小学生の男の子を含むあわせて6人がけがをしました。
警察は、大型トラックを運転していたA容疑者(49)を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕しました。
A容疑者は容疑を認めていて、警察が事故原因を詳しく調べています。
(令和7年8月4日の「TBS NEWS DIG」の記事を元に、事故場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【過失運転致傷罪の傾向】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部には、自動車運転上の過失によって人を負傷させてしまった等の交通事故に関する刑事事件の相談が数多く寄せられます。

過失運転致傷罪の刑事事件の場合、上記刑事事件のように、交通事故を起こして現場に駆けつけた警察官によって現行犯逮捕される事例も多くみられます。

他方、交通事故が発生したからといって必ずしも逮捕される訳ではなく、事故の程度や被害者の負傷の程度、被疑者が事実を認めており警察の捜査に協力的か否かの判断次第では、後日被疑者が警察に出頭させる在宅捜査が進むケースもあり得ます。

過失運転致傷の事故を起こしてしまったものの在宅捜査となった方は、今後警察においてどのような事情聴取を求められるのか、それに対してどのように答えるべきか等について不安を覚える方が多く、中には自分が厳しい尋問を受けて自白させられ、逮捕されてしまうのではないかと不安になる方もいらっしゃいます。

【過失運転致傷に対する弁護活動】

過失運転致傷罪の被疑事実について心当たりがあるにせよ無いにせよ、この段階では、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、自分の認識や記憶にある限り正しい事実を弁護士に伝え、その中で事実をきちんと認め、捜査機関に対して適切な応答ができるよう助言を受けることが大切です。

なぜなら、加害者(被疑者)の認識や記憶にある事実と、被害者や目撃者の認識や記憶にある事実が食い違うことは往々にしてることで、加害者が少しでも自分の責任となることがないよう事実を過小に申告することもあれば、被害者が加害者に対して多くの法的責任を負わせたいがために過剰に事実を申告することもあり、その事実を、刑事事件の経験に長けた客観的な第三者である刑事弁護士に判断してもらい、その中で最も適切な捜査対応を探っていくことが極めて重要となるからです。

特に、自分の自動車が被害者と接触したことが記憶にないと主張した場合であっても、事実、被害者が負傷をしている以上、その被害者の負傷の原因となった事実の究明に捜査機関は全力を上げることが予想され、特に公道での防犯カメラや目撃者の証言から、被疑者の認識よりも不利な証拠が出てくることも考えられます。

特に、被疑事実をすべて否認するのか、あるいはどの範囲まで否認するのかについては、今後被害者に対して示談を申し出る余地を残すためにも、刑事事件弁護士の客観的な意見を聞いておくことが重要です。

【過失運転致傷の量刑の傾向】

自動車運転死傷処罰法によれば、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑若しくは禁錮又は百万円以下の罰金が科されます。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。

一般的な傾向としては、重篤な傷害が生じていなかったり、過失の程度が悪質でなければ、50万円程度またはそれ以下の罰金が科される事例が多く見受けられます。
ただし、重篤な傷害が生じていたり、過失の程度が悪質な場合、検察官の公判請求(起訴)によって公開の刑事裁判となり、実刑が争われることが予想され、違法性が高い過失運転致傷罪の例では実刑判決も下されています。

【過失運転致傷で軽い処罰を得るには】

逆に、過失運転致傷罪で、被害者への謝罪や賠償金(または謝罪金等の名目)の支払いがなされており、被害者の被害感情が回復されているような事例では、この点を考慮して検察官が不起訴処分を下すこともあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部でも、被害者様への謝罪や自動車保険に上乗せとしての謝罪金・賠償金のお支払いの合意にいたり、結果として不起訴処分を獲得した事例が多数ございます。

神奈川県海老名市で、人身事故を起こして過失運転致傷罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。

【報道解説】神奈川県横須賀市の組織内の暴力行為により傷害罪で逮捕 示談交渉による弁護活動

2025-07-28

【報道解説】神奈川県横須賀市の組織内の暴力行為により傷害罪で逮捕 示談交渉による弁護活動

神奈川県横須賀市の傷害事件で逮捕された事件を例に、示談交渉のメリット・デメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

破壊

【報道紹介】

神奈川県横須賀市にある自衛隊駐屯地の22歳の自衛隊員が、30代の同僚を殴る蹴るなどしけがをさせたとして傷害などの疑いで逮捕されました。
自衛隊の調べに対し、容疑を一部否認しているということです。
自衛隊によりますと、去年11月、同じ教育のコースを受講していた30代の同僚の隊員に対し、教室や廊下で「死ね、殺すぞ」などと脅迫してコースの受講をやめるよう要求し、全身を殴ったり蹴ったりしたほか木の棒で叩くなどしておよそ1週間のけがをさせたとして、傷害や強要未遂などの疑いがもたれています。
数日後、30代の隊員から報告を受けた教育隊長が自衛隊の警務隊に通報し、調べを進めていたということです。
これまでの調べに対し、「木の棒を使って叩いてはいない」という主旨の供述をし、容疑を一部否認しているということで、動機や詳しい経緯などについて調べを進めています。

(令和7年7月22日に配信された「福岡NEWS WEB」の記事を参考に、場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【傷害罪の刑事処罰】

人に対して暴行を行い、結果として負傷させた場合、刑法第204条の傷害罪が適用され処罰されます。

傷害罪の法定刑は、「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」とされています。

暴力犯罪では、暴力行為の悪質性や狂暴さ、犯行の計画性、犯行に至った経緯、結果としての被害者の負傷の程度等を総合的に判断して量刑が決定されます。

同じ傷害罪でも、例えば加療1、2週間程度の比較的軽微なものから、後遺障害が残る重大な負傷と幅広く処罰範囲が想定されるため、傷害罪の法定刑も拘禁刑と罰金刑との選択刑を採用しています。

【示談交渉のメリット】

刑事事件を起こした加害者側は、弁護士を通じて、被害者側と示談交渉を進めることにより、加害者を許す旨を含むような内容の示談を成立させることができれば、刑事処罰を軽くしたり、不起訴処分を獲得できるといったメリットがあります。

前述のとおり、傷害罪では比較的軽微な負傷の事案も見受けられ、基本的には、違法性の比較的小さい事件であればあるほど、被害者に対する示談の成立によって不起訴処分を獲得できる確率が高くなる傾向にあります。

では、示談交渉の被害者側は、示談に応じることに、どういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。
刑事事件の被害者が、示談交渉の申し込みを受け入れる場合に、示談内容の重要視すべき項目として、「治療費や慰謝料等を含めて十分な被害弁償を受け取ること」や、「どの程度まで加害者を許すのかといった処罰感情の有無を明確に示談内容中に示すこと」、「加害者の活動範囲を制限し被害者との接触を禁ずること」などが考えられます。

被害者が示談申し込みを承諾するメリットとしては、①早期に、治療費や慰謝料等の被害弁償を受けられること、②示談の条件として「加害者は被害者との接触を禁じる」といったような接触禁止の遵守事項を設けられること、などが考えられます。

もし犯罪被害について民事訴訟を提起し、民事裁判で被害弁償を受ける判決を得ようとすると、早くても数か月はかかり、手間と時間がかかります。
他方で、刑事事件の示談であれば、示談成立と同時に金銭の受け取りが可能です。

【示談交渉のデメリット】

被害者が示談申し込みを承諾するデメリットとしては、①加害者の刑事処罰の量刑が軽くなる可能性があること、②示談金を総額として受領した場合に、後日に、さらなる追加の被害額が判明しても、示談の際の金額以上を請求できないこと、などが考えられます。

示談金等の被害弁償を受け取ると「被った損害が少しでも回復した」と評価されることになり、加害者の刑事処罰の軽減に繋がります。
さらには、示談内容として「加害者を宥恕する(許す)意思」を含めることもできます。

傷害罪などの暴力事件の加害者と被害者が直接の示談交渉を行うことは、被害者やその保護者にとって恐怖心があることから、困難なケースが多いです。
加害者側が弁護士を依頼して、刑事事件に強い弁護士が仲介する形で、示談の成立を目指して、被害者と弁護士との間で示談交渉を進めることが、事件の早期解決のためには、重要となります。

まずは、傷害罪などの暴力事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横須賀市の傷害事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

【報道解説】神奈川県鎌倉市で携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

2025-07-24

【報道解説】神奈川県鎌倉市で携帯電話を奪って器物損壊罪で逮捕

神奈川県鎌倉市で警察に通報されることを避けるために相手の携帯電話を奪い去ったとして器物損壊罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

逮捕されてしまったら

【報道紹介】

「神奈川県鎌倉市において、会社員Aがタクシー運転手Vのスマートフォンを奪って立ち去ったとして、器物損壊罪の疑いで逮捕されました。
神奈川県警鎌倉警察によると、A容疑者は予約していたタクシーが乗り場にいなかったため、受付カウンターで運転手の男性と口論になり、運転手Vが警察に通報しようとしたところ、スマートフォンを奪ってそのまま立ち去ったということです。」

(令和4年12月20日に関西テレビで配信された報道を参考に、場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【相手の携帯電話を奪い去ったのに窃盗罪ではないのか?】

今回取り上げた報道のAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されています。
Aさんはタクシー運転手の方の携帯電話を奪い去っていますが、このように相手の物を勝手に奪い去るというのは窃盗罪が成立するのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。

窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、仮に窃盗罪で起訴されて有罪となると、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。
このような窃盗罪が成立するためには、相手の物を奪った際の犯人の心の中に「権利者を排除して他人の物を自己の所有物とし、その経済的用法に従って使用し処分する意思」という意思が存在する必要があります。
この意思のことを不法領得の意思といいます。

盗んだ物を転売して利益を得ようとするために相手の物を勝手に持ち去った場合には、不法領得の意思が認められることになりますが、今回のAさんは、奪い去った携帯電話をそのまま使用する目的であったり、転売しようとする目的があった訳ではありません。
Aさんは、あくまで、タクシー運転手の方が警察に通報しないように電話をさせない目的で携帯電話を奪い去っていますので、このような目的は不法領得の意思があるとは言えない可能性が高いです。
そのため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性が低いと言えるでしょう。

なお、記事中ではAさんが携帯電話を奪った旨の記載がありますので、強盗罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、強盗罪の成立に当たっても不法領得の意思が要求されますので、不法領得の意思がない場合は強盗罪は成立しません。
また、そもそも強盗罪が成立するためには、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えたことによって相手の物を奪い去る必要がありますが、このような暴行・脅迫を加えたのでければ強盗罪は成立しません。

【相手の携帯電話を奪い去ったのに器物損壊罪?】

それでは、どうして携帯電話を壊した訳でもないのに器物損壊罪の疑いで逮捕されたのでしょうか。
器物損壊罪は刑法261条に規定されている犯罪で、「他人の物を損壊」した場合に成立する犯罪です。

器物損壊罪が成立する典型的なケースは相手の持ち物を物理的に破壊することですが、実は器物損壊罪の成立に当たって必要とされる「損壊」というのは、その物を本来の目的で使用することができない状態にすることを意味します。
そのため、相手の持ち物を物理的に破壊したときはもちろん、相手の持ち物を持ち去って持ち物を使用できなくさせる行為も「損壊」に当たることになります。

連絡手段である携帯電話を奪い去る行為は、携帯電話の本来的な用法である連絡手段としての使い方を害しているといえるでしょうから、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

【器物損壊の場合の刑事弁護活動】

器物損壊罪は刑法264条によって親告罪という犯罪に当たりますので、器物損壊罪については、被害者の方の告訴がないと検察官は起訴することができません。
そのため、器物損壊罪の場合の刑事弁護活動としては、弁護士を通して被害者の方との示談をして被害者の方に告訴を取り下げてもらうことが非常に重要になるでしょう。

示談締結によって告訴を取り下げてもらうことができれば、検察官は器物損壊罪について起訴をすることができませんから、器物損壊罪について前科が付くことはありません。
このような示談交渉は、刑事事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
器物損壊の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方、被害者の方との示談をお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【報道解説】神奈川県横浜市のリベンジポルノと脅迫の逮捕事件

2025-07-20

【報道解説】神奈川県横浜市のリベンジポルノと脅迫の逮捕事件

神奈川県横浜市のリベンジポルノによる脅迫で逮捕されたリベンジポルノ防止法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

いわゆるリベンジポルノで元交際相手だった女子生徒を脅したとして、脅迫罪の疑いで、神奈川県横浜市在住の男性(21歳、会社員)が、神奈川県戸塚警察署で逮捕された。
警察によると、男性は、元交際相手の10代の女子生徒に対して、「これ以上相手の男と関わったら学校中に動画ばらまくぞ」と脅迫した疑いが持たれている。
男性は女子生徒と破局後に、女子生徒が別の男性と親しくしているところを見て、脅迫行為に及んだとみられる。
女子生徒が警察に被害届を出して、事件が発覚した。
警察取調べに対して、男性は「脅迫したことに間違いありません」と容疑を認めていて、警察は日常的に脅迫行為がなかったかなど詳しい事件の経緯を調べている。
(令和7年6月20日に配信された「MBSニュース」の記事を参考に、事件場所等の一部事実を変更したフィクションです。)

【リベンジポルノ防止法の刑事処罰とは】

リベンジポルノを防止する目的で、平成26年11月に、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)が施行されました。
私的に撮影した性的画像等を、インターネット上にアップロードした場合には、リベンジポルノ防止法違反に当たるとして、「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」という刑事処罰が科される可能性があります。

・私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第3条1項
「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

同様に、「私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者」にも、「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」という刑事処罰が科されます。(第3条2項)

また、上記に挙げたリベンジポルノ行為をさせる目的で、「電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者」には、「1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金」という刑事処罰が科されます。(第3条3項)

【リベンジポルノ防止法の「私事性的画像記録」とは】

リベンジポルノ防止法では、取り締まりの対象とされる「私事性的画像記録」として、以下のものが挙げられています。

・性交又は性交類似行為に係る人の姿態
・他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
・衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

ただし、撮影対象者の側が、「撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の第三者が閲覧すること」を認識した上で、任意に撮影を承諾したものは、取り締まりの対象とされる「私事性的画像記録」には、該当しません。

まずは、リベンジポルノ脅迫事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。

神奈川県横浜市のリベンジポルノ脅迫事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

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