飲酒運転を疑われて遠方で逮捕されたらどうなる?考えられる不利益は?報道事例を踏まえて検討

飲酒運転を疑われて遠方で逮捕されたらどうなる?考えられる不利益は?報道事例を踏まえて検討

自動車事故

神奈川県に住む男性が宮城県石巻市での飲酒運転の嫌疑で逮捕されたという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が検討します。

【報道】

5日午後、宮城県石巻市の市道で酒を飲んで乗用車を運転したとして神奈川県に住む男が逮捕されました。
男は観光で宮城を訪れ、車はレンタカーでした。
男は「酒を飲んだが車は運転していない」と容疑を否認しています。

酒気帯び運転の疑いで逮捕されたのは神奈川県に住む自称会社員の男(44)です。
警察によりますと、男は5日午後1時半頃、石巻市千石町の市道で酒を飲んで乗用車を運転した疑いが持たれています。
男がパーキングから車を出そうとした際、ゲートバーに衝突する事故を起こし飲酒が発覚しました。
警察に対し男は「酒は飲んだが車は運転していない。飲酒運転の事実は何かの間違いだ」と容疑を否認しています。
男は観光で宮城を訪れ、車はレンタカーでした。警察が当時の状況などを詳しく調べています。

≪TBS NEWS DIG  2024年5月6日(月) 07:14「飲酒運転は何かの間違い」観光で訪れレンタカーで事故起こし飲酒発覚 44歳の男を酒気帯び運転容疑で逮捕 宮城・石巻市≫

【飲酒運転で問題となる罪】

ご案内のとおり、飲酒運転が法律に違反します。
では、どのような罪にあたりどのような刑罰に処されるのでしょうか。
以下で解説します。

・酒気帯び運転
飲酒運転事件の場合、基本的に運転中あるいはその前後を捜査機関に目撃された後、その場で呼気検査を行うことで罪に当たるのか確認します。
その結果、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上だった場合、酒気帯び運転とされます。
なお、Aのように停車中に発覚した場合であっても、居酒屋付近の防犯カメラの映像や居酒屋店員の供述次第で、停車していた場所まで飲酒運転をしていたという立証を行うことができれば、捜査機関が酒気帯び運転を現認していなかった場合でも立証することはできると考えられます。

酒気帯び運転に関する条文は以下のとおりです。

道路交通法65条1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
道路交通法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
同4号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

・酒酔い運転
酒酔い運転は、酒気帯び運転より酷く酒に酔った状態で運転をした場合に成立します。

飲酒運転が酒気帯び運転なのか酒酔い運転なのかについては、呼気検査で呼気に含まれているアルコールの量や、応答の様子、歩行検査(直線を、ふらつかず直進で歩行できるかどうか)等により判断されます。
ここで注意したいのは、酒酔い運転のアルコール基準値自体はないという点です。
酒酔い運転で捜査される方の多くは酒気帯び運転の基準値の数倍が検出されて検挙に至る場合が多いですが、アルコールにとても弱い人などが呼気検査を受けて0.15mg/L未満だった場合でも、歩行検査や応答の様子が明らかに酒酔いの状況であると判断された場合、酒酔い運転として捜査の対象になります。

酒酔い運転に関する条文は以下のとおりです。

道路交通法117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
同1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

【県外で逮捕されたらどこで拘束される?在宅だった場合は?】

まず、飲酒運転のような事件では、警察官が最初の捜査を行い、検察官に送致することになります。
検察官は国家公務員ですが、警察官は都道府県単位の地方公務員です。
そのため、基本的に事件が発生した場所を管轄する警察署の警察官が捜査を行うことになります。

今回の事例であれば、飲酒運転を疑われている男性は神奈川県にお住まいとのことですが、飲酒運転を疑われている場所は宮城県石巻市ですので、宮城県警察が捜査を行うことになります。
そのため、逮捕された場合、宮城県内の警察署の留置施設や拘置所に身柄拘束されることになると考えられます。
そして逮捕から72時間以内に宮城県の検察官が裁判所に勾留請求をして勾留が認められれば身柄拘束が続き、勾留請求をしないあるいは勾留請求が却下された場合には、釈放されて在宅で捜査されます。
逮捕・勾留されて起訴されれば、原則として現地の裁判所で裁判を受けることになります。
今回のケースで仮に勾留され起訴された場合、仙台地方裁判所あるいはその支部にて裁判を受けることになると考えられます。

一方、在宅で捜査を進められる、あるいは釈放されて捜査が進められる場合、現地の警察署で捜査が行われます。
被疑者(容疑者)の方が現地の警察署に行って取調べを受けるか、警察官が被疑者の家の近くの警察署に出張して取調室を借りて取調べが行われます。
そして事件は管轄の検察庁の検察官に送致されますが、その後、被疑者の住所地を管轄する検察庁の検察官に「移送」されることもあります。
移送された後は、被疑者の自宅近くの検察庁で改めて取調べが行われ、起訴された場合には自宅近くの裁判所で裁判を受けることになります。
よって、仮に今回のケースで勾留されずに起訴された場合、宮城県警察の警察官が捜査し、仙台地方検察庁あるいはその支部の検察官に事件送致されたのち、神奈川県の横浜地方検察庁あるいはその支部に移送され、そこで取調べを受けることになります。

【当事務所の強み】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌から福岡まで全国12支部体制で刑事事件・少年事件の弁護活動を行っています。
当事務所では各支部間で連絡・協力し乍ら事件処理をしているため、
●移送されたら弁護士が一から対応する必要がある
⇒他支部との連携ができるため移送された場合もスムーズに対応できる
●対面で弁護士に話を聞きたいが遠方なので難しい
⇒他の都道府県で家族が逮捕・勾留されていても、最寄りの弁護士が対面で説明できる
など、他の都道府県で家族が身体拘束されている場合でも極力不利益が生じないよう事件対応を進めています。

神奈川県にお住まいの方で、飲酒運転などの嫌疑で家族が他の都道府県で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
まずは逮捕・勾留されている場所の最寄りの支部から弁護士が初回接見サービス(有料)を行い、今後の見通し等について御説明致します。

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