強姦等と呼ばれている強制性交等事件で逮捕されたものの、最終的には淫行等と呼ばれる青少年保護育成条例違反で罰金刑に処されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部が解説致します。
【事例】
神奈川県川崎市川崎区在住のAさんは、川崎市川崎区在住のXさんと飲み仲間になり、しばしAさんがXさんの、XさんがAさんの家に行って酒を飲むということがありました。
その過程で、AさんはXさんの娘Vさん(当時14歳)から悩み相談を受けることがあり、その関係がエスカレートしてAさんはVさんと性行為をしました。(金銭のやり取りなし)
VさんとAさんの関係に気付いたXさんは、AさんがVさんに対して無理やり性行為をしたとして、川崎市川崎区を管轄する川崎臨港警察署に被害届を提出しました。
Aさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部で無料相談を受けた際、Vさんと性行為をしたことは事実だが強制性交等罪(いわゆる強姦)の要件でもある暴行や脅迫はなかったと説明しました。
依頼を受けた当事務所の弁護士は、Aさんの話を確認して強制性交等罪が適用されない事案であると判断し、逮捕される前にAさんの供述をまとめた書類を作成するとともに、逮捕・勾留される可能性が高い事案である旨の説明と取調べの重要性について説明しました。
弁護士の予想どおり、Aさんは逮捕・勾留されましたが、最終的にAさんは青少年保護育成条例違反での略式起訴となり、懲役刑という厳しい刑事処分が科されることなく事件が終了しました。
≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫
【未成年者との性行為で問題となる罪】
事例のAさんは、当時14歳、すなわち18歳未満の青少年と性行為をしています。
その際、お金のやり取りはありませんでした。
赤の他人である青少年と性行為をしたことで問題となるのが、各都道府県の定める青少年保護育成条例違反です。
神奈川県川崎市川崎区の場合、神奈川県青少年保護育成条例(いわゆる淫行条例)が問題となります。
条文は以下のとおりです。
神奈川県青少年保護育成条例7条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
1号 青少年 満18歳に達するまでの者をいう。
同条例31条1項 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
同条例53条1項 第31条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
「みだらな性行為又はわいせつな行為」というのは、(先の民法改正前に)18歳未満で婚姻している、あるいは婚姻を前提にしている関係性のもとで行われた性行為や、それに類するような行為を指します。
なお、お金を渡して青少年と性行為をした場合には児童買春という罪に当たり、より厳しい刑事処罰が科せられる恐れがあります。
【強制性交等(いわゆる強姦)について】
Aさんが事例で疑いをかけられたのは、強制性交等罪でした。
条文は以下のとおりです。
刑法177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
条文を見ると、まずは相手が13歳以上/未満で要件が異なります。
13歳未満の方が被害に遭っていた場合は暴行・脅迫を要件としていないため、13歳未満(13歳の誕生日を迎える前の児童)に対して性行為やそれに類する行為をした場合には強制性交等罪にあたります。
今回Aさんは当時14歳の女子児童と性行為をしていることから、「暴行又は脅迫」があったのかという点がポイントでした。
Vさんとその保護者はAさんによる脅迫行為があったと主張していたと考えられますが、弁護士はAさんの逮捕前の話に加えメッセージの履歴などを示し、Aさんが脅迫行為をしていないため強制性交等罪には当たらないという主張をしました。
捜査機関としても脅迫行為があったのかどうか重要な関心事だったと考えられますが、逮捕前・勾留中の弁護士接見で取調べの状況を逐一確認してアドバイスを行っていたこともあり、Aさんの認識どおりの受け答えが出来た様子でした。
強制性交等罪で起訴された場合には罰金刑はなく5年以上の懲役刑が科される可能性があったAさんですが、検察官は、弁護士の主張どおりAさんの行為は強制性交等罪には当たらず神奈川県青少年保護育成条例違反のみが成立すると判断して、Aさんを略式起訴し、Aさんは正式裁判を受けることなく罰金刑となりました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの性犯罪事件に対応してきました。
神奈川県川崎市川崎区にて、18歳未満の青少年と性行為をしたことは事実だがいわゆる強姦行為はしていないにも拘らずそれを疑われているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
ご家族が身柄拘束されている場合は≪初回接見≫をご利用ください。