常習的な万引き事件
万引きなどの窃盗事件を繰り返し行った場合の刑事上の問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県横浜市港北区在住のAさんは、これまでに何度も万引きをして窃盗事件の被疑者となっていて、うち2回については窃盗罪で起訴されて懲役刑を受けています。
刑務所から仮釈放により出所したAさんですが、それから1週間と経たないうちに横浜市港北区内のコンビニエンスストアで万引きをしてしまい、店員に止められ通報を受けて臨場した横浜市港北区を管轄する港北警察署の警察官に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けAさんの家族は、横浜市内で刑事事件を専門としている弁護士に初回接見を依頼しました。
(事件は全てフィクションです)
【窃盗累犯】
Aさんはコンビニで万引きを行いました。
ご案内のとおり、万引き行為でまず検討される罪は窃盗罪です。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
しかし、Aさんは過去2度にわたって窃盗罪により懲役刑を受けています。
Aさんのように犯罪を繰り返すことを一般的には再犯と呼ぶことが多いですが、刑法上、そのような再犯と似た概念として累犯(法律上の累犯)があります。
刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
つまり、法律上の累犯は一般的にいうところの再犯の中でも、
①懲役の執行が終わった日,または
②懲役の執行が免除された日
の日の翌日から5年以内にさらに罪を犯して有期懲役に処せられた場合をいいます。
①の懲役の執行が終わった日とは,刑期が満了した日という意味です。
②の懲役の執行が免除された日というのは,懲役刑の言い渡しを受けたものの執行猶予期間を満了して刑罰権が消滅した日などが当たります。
犯罪を繰り返したからと言ってすぐさま累犯と扱われるわけではありません。
しかし、前述の用件を満たして法律上の累犯と扱われる場合、言い渡される刑罰は重くなります。
刑法第57条
再犯の刑は,その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。
この規定により、窃盗罪の法律上の累犯になった場合では法定刑の上限は10年以下の懲役ではなく20年以下の懲役となります。
なお、累犯と評価された場合には罰金刑にはならず、必ず有期懲役となります。
20年以下の懲役となるというのはあくまでも上限(長期)がそうなるということであって、実際に言い渡される刑期(量刑)はこれまでの被告人の生活や今回の犯行の内容などを総合的に考慮した裁判官の評価によって変わります。
窃盗罪の場合、刑法典に定められた再犯加重規定のほかに、盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(通称として盗犯等防止法といいます)の中に常習累犯窃盗罪(盗犯等防止法第3条)が規定されています。
常習累犯窃盗罪の構成要件は
Ⅰ.過去10年以内に3回以上6月以上の懲役刑を受けた(執行が免除された場合を含む)者が
Ⅱ.常習として窃盗を行うこと
となっています。
常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
有期懲役の上限は20年なので、3年以上の20年以下の懲役ということになります。
Aさんは過去2度にわたって窃盗罪で懲役刑を受けています。
今回のコンビニでの万引きを行った日が少なくとも最後に受けた懲役刑の刑期満了日から5年以内であった場合,刑法第57条の規定によって刑が加重されることが考えられます。
また,世間で一般的に言われる,ただ単に犯罪を繰り返すことという意味での再犯に当たるAさんが不起訴や執行猶予を得られる可能性は限りなく低いです。
ただし,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することによって,Aさんが再び刑務所に入らなければいけなくなるリスクを下げることができます。
窃盗の被害額が少額であること,被害者との間に示談が成立していること,前回の懲役刑の執行満了日や執行猶予期間満了日から期間が開いていること,そのほか考慮すべき事情があることなどの事実を積み重ねることで,執行猶予を得られる可能性をわずかでも高めることができます。
よって,再犯あるいは法律上の累犯に当たるような場合であっても,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することの重要性は依然として高いです。
また,窃盗は精神的な病気が原因であることによって本人だけでは再犯を止めることができない場合もあります。
窃盗事件を多く経験した弁護士は,そのような状態からの改善のお手伝いをすることもできます。
万引き等窃盗の再犯者となってしまった方,常習累犯窃盗罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が神奈川県港北警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
初回法律相談:無料
逮捕・勾留されている場合は弁護士が警察署等に接見に向かいます。(有料)