未成年者の寸借詐欺事件
20歳未満の未成年者が寸借詐欺事件を繰り返した少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県三浦市在住のAは、三浦市内の中学校に通う中学3年生です。
Aは小遣いを稼ぐため、三浦市内の駅や観光スポット等に行き、「財布を無くしてしまい、横浜市内の家に帰れなくなりました。お返ししますのでお金を貸してください。」と言い、嘘の電話番号を教えた上で現金1,000円から2,000円を不特定多数の人から受け取っていました。
しかし、実際にはAはお金を返すつもりはなく、嘘の電話番号を教えていたことから被害者たちは連絡を取る術もない状況でした。
そして、被害者の内の一人が、三浦市内を管轄する三崎警察署の警察官に寸借詐欺事件での被害届を提出しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【寸借詐欺について】
寸借詐欺とは、決して高額ではないお金を貸すようにお願いし、実際には返済しないという犯行手口でお金を手に入れる行為です。
少額であるが故に被害者も被害届を提出する等しないこともあるようですが、この行為は①実際には返済する意思がないにもかかわらず、相手を騙して(欺罔行為)②被害者が財物(お金)を出して、③被疑者のもとにお金が移動し、④①~③の間に因果関係が認められることから、詐欺罪に当たることが考えられます。
詐欺罪は、刑法246条で「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と定められています。
寸借詐欺は軽い犯罪にも思えそうですが、詐欺罪は懲役刑のみで罰金刑がないため、成人が寸借詐欺などの詐欺事件を起こしてしまった場合には起訴され、裁判になってしまう可能性があるのです。
ただし、必ずしも裁判になるというわけではなく、寸借詐欺をしていた期間や金額、被害弁償の状況などを考慮したうえで、検察官は当該被疑者を寸借詐欺事件として起訴するか否か、検討すると考えられます。
【少年事件とは】
少年事件は、少年法の定める少年(20歳未満)が、刑事事件などを起こした場合に対象となります。
少年事件では、原則として詐欺罪の条文でお伝えした「懲役」をはじめ、死刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料といった刑事罰を科せられることがありません。
しかし、少年事件で少年は家庭裁判所に送致され、家庭裁判所調査官の調査を受けたのち少年審判を受けることになります。
少年事件では、単に加害者である少年を処罰することを目的としているわけではなく、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」ことを目的としています。(少年法1条)
そのため、少年審判では「刑罰」ではなく、少年院送致・観護措置決定・各都道府県知事送致(児童相談所送致)・不処分、といった「処分」が下されます。
それらの目的を踏まえ、付添人という立場に就く弁護士は、少年事件に於いて事件の被害回復等を行うだけでなく、少年の周囲に対して環境調整を働きかける必要があります。
その中には、例えば学校に状況や今後なすべきことについての説明を行ったり、少年の生活習慣改善を促したり、ボランティア活動への参加や読書などを通じた内省を深める行動をとるなどのアドバイスを行うなどといった成人の刑事事件と異なる対応が考えられます。
よって少年事件では、少年事件を専門とする弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門に行う弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多く少年事件ご依頼を受けてきたため、豊富な経験と実績がございます。
神奈川県三浦市にて、お子さんが寸借詐欺事件を起こしてしまい少年事件を専門とする弁護士をお探しの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご連絡ください。