神奈川県伊勢原市の器物損壊罪で告訴取消し
Aさんは、神奈川県伊勢原市にあるX株式会社で正社員として働いており、同僚であるVさんをかねてよりライバル視していました。
ある日、人づてにVさんが栄転することを知ったAさんは、腹いせにVさんに対していやがらせをしようと企みました。
そして、Aさんは会社の駐車場に停まっているVさんの自動車に対し、10円玉で至る所にひっかき傷をつけました。
その夜、Vさんは何者かにより自身の車が傷つけられたことを知り、会社に伝えたうえで伊勢原警察署に相談しに行きました。
後日、AさんはVさんが告訴を検討していると知り、「器物損壊罪を犯してしたので告訴を取り消してほしい」と弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
【器物損壊罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百六十一条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第二百六十四条
…第二百六十一条…の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
刑法261条は、物を壊したり隠したりする毀棄・隠匿の罪について定めています。
器物損壊罪はその代表例であり、建造物等および文書以外の物を壊す、もしくは隠した場合に成立する可能性のある罪です。
ちなみに、建造物等損壊罪および文書毀棄罪については、対象の重大性に鑑みて器物損壊罪より重い刑が法定されています。
器物損壊罪における「損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為を指すと考えられています。
そのため、必ずしも対象物を永遠に利用できなくする行為に限られるわけではありません。
上記事例では、AさんがVさんの自動車の至る所にひっかき傷をつけています。
このような行為は、自動車の走行を不可能にするわけではないものの、自動車の外観を損なうものであると評価できます。
そうすると、AさんはVさんの自動車の効用を害したとして、器物損壊罪に当たる余地があると考えられます。
【示談による告訴取消しの有用性】
器物損壊罪は、侵害される利益が比較的軽微であることから、刑法264条により親告罪とされています。
親告罪とは、検察官が起訴して裁判を行おうとする場合に、犯人の処罰を求める意思表示である告訴を要する罪です。
告訴がないことを看過して起訴が行われても、その事件については裁判を行う要件を備えていないとして、有罪無罪を問わず手続が打ち切られることになります。
以上のことから、示談などにより告訴の取消しが実現できると、その事件については不起訴となって刑罰や前科の心配をする必要がなくなります。
そこで、器物損壊事件においては、第一に告訴の取消しを目指して示談交渉を行うことが考えられます。
ただ、器物損壊罪は人の財産を侵害する罪であることから、当然ながら被害者が強い怒りを抱いている可能性は否定できません。
そうしたケースでは、やはり示談交渉の経験を有する弁護士に事件を依頼してしまうのが得策です。
弁護士による示談は、交渉決裂のリスクを最小限にしつつ示談交渉を進められる点、および最終的な合意の内容が適正なものになる点で優れていると言えます。
こうしたメリットは、告訴を取り消して不起訴を実現するうえで非常に有益となるでしょう。
ですので、もし器物損壊罪を犯してしまったら、一度告訴取消しのことを含めて弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談交渉の経験豊富な弁護士が、自身の知識と経験を武器に告訴取消しによる不起訴を目指します。
器物損壊罪を犯して告訴すると言われたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(伊勢原警察署までの初回接見費用:39,700円)