【報道解説】会社の金庫から現金窃盗して逮捕 被害弁償・示談の可能性を探る弁護活動

【報道解説】会社の金庫から現金窃盗して逮捕 被害弁償・示談の可能性を探る弁護活動

神奈川県川崎市で会社のお金を盗んだとして窃盗罪の疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。

【報道紹介】

神奈川県川崎市のスーパーの金庫から現金およそ7500万円を盗んだとして、従業員として働いていた44歳の派遣社員Aが逮捕されました。
警察の調べに対し、「SNS型投資詐欺にはまり、被害金を捻出するために使った」などと容疑を認めているということです。
警察によりますと、去年(2024年)2月までのおよそ3か月間に、30回余りにわたって、川崎市にあるスーパーの金庫に保管されていた現金あわせておよそ7500万円を盗んだとして、窃盗の疑いが持たれています。
金庫の中の現金が減っているのに店長が気づき、警察に被害届を出したということです。
Aは去年2月にこのスーパーの金庫から現金250万円を盗んだとして、すでに逮捕・起訴されていました。
(令和7年6月9日づけ「滋賀NEWS WEB」の記事を参考に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【窃盗罪の内容と罰則】

今回取り上げた報道では、会社の現金を盗んだとして被疑者が窃盗罪の疑いで逮捕されています。

窃盗罪を定める刑法第235条によれば、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」としています。

窃盗罪は拘禁刑と罰金の選択刑となっており、具体的は犯行内容の悪質性、被害金額の多寡、犯人は前科や犯行回数の程度、犯行に対して酌量すべき情状などによって、幅広く刑罰を科すことができます。

一般的に、犯人に前科がないこと(初犯であること)や、「万引き」に分類される被害額が少ないものに関しては、罰金刑が科されるケースが多い傾向にあります。
しかし、会社内での窃盗など、数多い反復性が想定されるものや、総額としてかなりの被害額に昇ることが多い犯行については、実刑(法改正前の懲役刑)が科されるケースもあります。

【法改正による拘禁刑の導入】

2025年6月1日の刑法改正の施行により、従来の刑罰である「懲役刑」と「禁固刑」が、新しく「拘禁刑」に一本化されました。
これまでの刑罰では、刑務所に収監されている間に、刑務作業の義務がある懲役刑と、刑務作業が任意となる禁固刑に、区別されていました。

拘禁刑では、個々の受刑者に応じて、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合には、刑務作業を行わせるものとされています。

刑法第12条によれば「拘禁刑は、無期及び有期とし、有期拘禁刑は、一月以上二十年以下」で、「拘禁刑は、刑事施設に拘置する」ことであり、「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うとができる。」としています。

【勤務先会社に対する窃盗罪が発覚したら】

会社の資金を窃盗したり、着服してしまったなどで窃盗罪等の財産犯罪の疑いが生じた場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
会社内部での窃盗罪については、まず最初に、窃盗の事実に対して会社内部で調査が行われて、調査の結果、会社が窃盗行為に対して刑事告訴を行い、警察などの捜査機関が捜査に乗り出すという流れで刑事事件化することが多く見受けられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に寄せられる会社内部の窃盗罪の相談事例についても、まず会社側が窃盗被害の事実を認識し、窃盗行為が疑われている会社員と会社側で話し合いを行い、事実を認め真摯に謝罪して盗んだ現金等を返せば、会社側は刑事処罰については見合わせると申し入れるケースもしばし見受けられます。

そのため、窃盗罪について会社が被害届や刑事告訴する前に、弁護士を通して会社に対して謝罪や窃盗金額の返金などの示談交渉をして、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった形で会社と示談を締結することができれば、警察が窃盗罪について捜査に乗り出す前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。

また、被害を受けた会社側も、少しでも窃盗された金額が返金されることを望むことが多いので、窃盗を疑われている方の段階的な財産処分を通じて被害弁償をすることで、事実上の示談が成立することもあり得ます。

このように会社内部での窃盗罪を刑事事件化する前に当事者間で示談ができれば、前科を付けずに事件を解決することができる可能性があります。
そのような解決を目指すには、窃盗行為が会社に発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
神奈川県川崎市で会社内部での窃盗罪が発覚してお困りの方や、窃盗罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部まで一度ご相談ください。

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