【報道解説】会社員男性が女性用トイレに侵入・盗撮して逮捕
女性用トイレに侵入して盗撮して逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
【報道事例】
神奈川県警察南警察署は、2月4日、トイレに侵入して女性を盗撮したなどとして、性的姿態撮影等処罰法違反(性的姿態等撮影)の疑いで会社員の男(32)=横浜市=を同罪と神奈川県迷惑行為防止条例の罪で逮捕しました。
県警によると、被疑者の男は女性の性的姿態を撮影する目的で横浜市南区内のカラオケ店の女性用トイレに侵入し、個室の扉の下の隙間などに自身のスマートフォンを差し込み、トイレを使用中だった女性を撮影したとしています。
通報をうけ駆けつけた警察官に、盗撮した疑いで翌日逮捕されました。
盗撮に使用された携帯には他の映像の記録があり、余罪を調べています。
(令和6年6月4日「南日本新聞 373 news.com」の記事を基に、一部事実を変更したフィクションです。)
【現在の盗撮の処罰:性的姿態等撮影罪】
性的姿態撮影等処罰法は、令和5年7月13日に刑法の不同意性交等罪の改定に合わせて新しく施行された法律です。
従来、盗撮に関しては各都道府県の定める迷惑行為防止条例違反の中で処罰されていました。
しかし、処罰の適用範囲に相違や不十分な点があると指摘されていた点を踏まえ、このたびの改正により全国一律に適用される盗撮を処罰する法令として施行されるに至りました。
性的姿態撮影等処罰法は、第2条においていわゆる「盗撮行為」を規定しており、この部分は実務上「性的姿態等撮影罪」と呼ばれています。
性的姿態撮影罪に関しては、大まかに以下の行為が処罰されることになります。
1.正当な理由がないのに、ひそかに、対象性的姿態等を撮影する行為
2.同意なく人の対象性的姿態等を撮影する行為
3.行為の性質が性的なものではないと誤信させたり、特定の者以外の者が閲覧しないと誤信させ、人の対象性的姿態等を撮影する行
4.正当な理由がないのに、13歳未満の者の性的姿態等を撮影し、または13歳以上16歳未満の者に対して、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
性的姿態等撮影罪の罰則は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となります。
【法改正前:神奈川県迷惑行為防止条例の場合】
性的姿態撮影等処罰法の改正前は、各都道府県の迷惑行為防止条例でそれぞれ罰則が定められていました。
神奈川県迷惑行為防止条例第3条は、公共の場所にいる人に対して、人を著しく羞恥させたり不安を覚えさせるような行動を規制しつつ、具体的には、「人の身体や下着等を見たり、その映像を記録する目的で写真機等を設置したり、人に向けてはならないとしています。
これに違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
盗撮の罰則ついては、神奈川県迷惑行為防止条例の「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」から「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」へ大幅に厳罰化が進んだと言えるでしょう。
【盗撮で逮捕されてしまったら】
上記刑事事件例では、使用中の女子トイレに携帯の記録機材を差し込み、密かにその様子を撮影しております。
その撮影対象物は人の性的な部位又は人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分であり、性的姿態撮影処罰法に該当すると言えるでしょう。
盗撮の疑いで刑事事件化してしまった場合、犯罪証拠の隠滅を防ぐためにも、被疑者を逮捕・勾留する可能性は十分考えられます。
その場合、ご家族が盗撮の事件を起こして逮捕されているけど早期釈放してほしいとご希望であれば、弁護士に早期に相談して、何とか被疑者をいったん釈放してもらい、在宅事件へ切り替えてもらうよう働きかける必要があります。
また、盗撮事件の刑事手続の処分において、不起訴処分や執行猶予付きの判決等、少しでも軽い刑事処分を目指すのであれば、刑事手続き初期の段階から示談交渉の道を探ったり、その他情状酌量の材料を探す弁護活動に早期に取り組むことが重要です。
【刑事弁護のご相談は】
私ども弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮も含め、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。
またその他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。
神奈川県内でご家族が盗撮の刑事事件を起こして逮捕された、あるいは刑事事件化してお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。